2020年10月06日
【短編エッセイ】『-Tomiko 74-』 〜初めてのファストフード、74歳の挑戦〜。
ー目次ー
僕の名前は舞人(マイト)、21歳。
市内のとある大学に通いながら、
某ファストフードチェーン店でバイトしている。
都心の賑やかなこの店に入って、
なんだかんだで半年。
仲間うちではベテランの領域に入り、
最近、レジ業務を担当するようになった。
レジカウンターで接客にあたっていると、
いろんなお客さんが来る。
普段は若い人と外国人観光客が多い。
けど、
たまに
思いつめたような顔をした人や、
初めてファストフード店に来たような
初々しい人もいる。
嫌な思いをすることもあるけど、
ここに立ってると、いろんな人間模様が垣間見える。
ある日の夕方、
20人くらいの女子高生の団体が来店した。
ウチの店はとても広い。
5〜6人の中高生は毎日のように来るけど、
さすがに20人は初めてだ。
彼女らの中で、まとめ役らしき1人がこう言った。
「私がまとめて注文するから、先に行ってて」
そして、彼女1人がカウンターに並び、
残りは2階席への階段を上っていった。
直後、店の自動ドアが開き、
1人のおばあちゃんが入ってきた。
穏やかで、柔和な表情が印象的な彼女は、
さっきのまとめ役の女子高生のすぐ後ろに並んだ。
どうやら、
ファストフード店に入るのは初めてらしい。
いくつになっても、新しいことに挑戦する、
そんなエネルギッシュさと初々しさが同居していた。
まとめ役の彼女の順番が来た。
さっき、みんなから取っていた注文を僕に告げる。
「アイコ18」
?
あ、アイスコーヒーを18個か。
省略形から入るとは、これが若者言葉か。
なんて、数年しか歳が違わない僕まで感心した。
まとめ役の彼女の注文が終わり、
おばあちゃんの順番が来た。
初めてのファストフード店に、
少しおどおどしながらも、
「アイコ18」のやり取りを微笑ましく眺めていた。
いったい何を注文するんだろう。
興味しんしんの僕に、
おばあちゃんはまっすぐな口調でこう言った。
「トミコ74!」
トミコばあちゃん!
「アイコ18」は自己紹介じゃないよ!(汗)
カウンターでは名乗らなくていいんだよ!^^;(滝汗)
きっと、
直前の女子高生とのやり取りを聞いて、
ファストフード店で注文する時は
最初に名前と年齢を伝えるんだと思ったんだろう。
かわいい…!!!!^^;
あまりにも衝撃的なかわいさに、
僕の心はほっこりあたたまった。
そんな、トミコばあちゃん(74歳)の
ファストフード初挑戦。
彼女の人生の、新たな1ページに、
図らずも立ち会うことができた。
純粋でまっすぐな「トミコ74」。
そこからは、
いくつになっても新しいことに挑戦する気概と、
周りをよく観察し学ぼうという姿勢が
びしびし伝わってきた。
ーーーーー完ーーーーー
※このお話は、
僕の友人が語ってくれた実体験を
アレンジ、再構成したノンフィクションです。
公開を快諾してくれた友人に、
この場を借りて感謝いたします。
- マイト。ファストフード店のレジカウンター
- アイコ?女子高生20名の団体が来店
- トミコ!初めてのファストフード店
1.マイト。ファストフード店のレジカウンター
僕の名前は舞人(マイト)、21歳。
市内のとある大学に通いながら、
某ファストフードチェーン店でバイトしている。
都心の賑やかなこの店に入って、
なんだかんだで半年。
仲間うちではベテランの領域に入り、
最近、レジ業務を担当するようになった。
レジカウンターで接客にあたっていると、
いろんなお客さんが来る。
普段は若い人と外国人観光客が多い。
けど、
たまに
思いつめたような顔をした人や、
初めてファストフード店に来たような
初々しい人もいる。
嫌な思いをすることもあるけど、
ここに立ってると、いろんな人間模様が垣間見える。
2.アイコ?女子高生20名の団体が来店
ある日の夕方、
20人くらいの女子高生の団体が来店した。
ウチの店はとても広い。
5〜6人の中高生は毎日のように来るけど、
さすがに20人は初めてだ。
彼女らの中で、まとめ役らしき1人がこう言った。
「私がまとめて注文するから、先に行ってて」
そして、彼女1人がカウンターに並び、
残りは2階席への階段を上っていった。
直後、店の自動ドアが開き、
1人のおばあちゃんが入ってきた。
穏やかで、柔和な表情が印象的な彼女は、
さっきのまとめ役の女子高生のすぐ後ろに並んだ。
どうやら、
ファストフード店に入るのは初めてらしい。
いくつになっても、新しいことに挑戦する、
そんなエネルギッシュさと初々しさが同居していた。
まとめ役の彼女の順番が来た。
さっき、みんなから取っていた注文を僕に告げる。
「アイコ18」
?
あ、アイスコーヒーを18個か。
省略形から入るとは、これが若者言葉か。
なんて、数年しか歳が違わない僕まで感心した。
3.トミコ!初めてのファストフード店
まとめ役の彼女の注文が終わり、
おばあちゃんの順番が来た。
初めてのファストフード店に、
少しおどおどしながらも、
「アイコ18」のやり取りを微笑ましく眺めていた。
いったい何を注文するんだろう。
興味しんしんの僕に、
おばあちゃんはまっすぐな口調でこう言った。
「トミコ74!」
トミコばあちゃん!
「アイコ18」は自己紹介じゃないよ!(汗)
カウンターでは名乗らなくていいんだよ!^^;(滝汗)
きっと、
直前の女子高生とのやり取りを聞いて、
ファストフード店で注文する時は
最初に名前と年齢を伝えるんだと思ったんだろう。
かわいい…!!!!^^;
あまりにも衝撃的なかわいさに、
僕の心はほっこりあたたまった。
そんな、トミコばあちゃん(74歳)の
ファストフード初挑戦。
彼女の人生の、新たな1ページに、
図らずも立ち会うことができた。
純粋でまっすぐな「トミコ74」。
そこからは、
いくつになっても新しいことに挑戦する気概と、
周りをよく観察し学ぼうという姿勢が
びしびし伝わってきた。
ーーーーー完ーーーーー
※このお話は、
僕の友人が語ってくれた実体験を
アレンジ、再構成したノンフィクションです。
公開を快諾してくれた友人に、
この場を借りて感謝いたします。
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