アフィリエイト広告を利用しています

広告

posted by fanblog

2020年07月26日

【ノンフィクション怪談】『赤い自転車』。

ある晴れた、夏の日。

ぼくの家の前に、
見慣れない『赤い自転車』が停まっていた。



ぼくの住む田舎町では、みんな顔見知り。
誰がどんな自転車に乗ってるか知っている。

誰のだろう。お客さんでも来たのかな。

気になりながらも、ぼくはいつしか忘れ、
夕暮れが町を照らした。





夜になっても、この日は暑さが続いた。

ぼくは夕涼みしようと、
通りに面した縁側に出た。

縁側からは、
まばらにしかない街灯がちょうど正面に見え、
通りを照らしていた。

そんな、いつもの景色を眺めながら、
ぼくは物思いにふけっていた。






その時。

街灯のあかりの中に、
ふと、何かの影が浮かんできた。


街灯が映し出す、まあるい光。
左側から、何かが進んでくるようだった。

珍しいな。こんな夜に通行人かな。



車輪のような、大きくてまるい影が2つ。
どうやら、人ではないみたいだ。

そして、
黒かった影に、だんだんと色がついてきた。

昼間、ぼくの家の前で見た、あの『赤い自転車』の色。






「あぁ。あの『赤い自転車』の持ち主が通るのか」

そんなことをぼんやり考えるうちに、
自転車の影は、あかりの中心まで進んできた。

自転車が夜道を通り、街灯の下にさしかかる。
何の変哲もない風景のはずだった。


ただ1つ、























『赤い自転車』に、誰も乗っていないことを除いては。

















あまりの恐怖に、
ぼくは縁側で凍りついたまま、動けなくなった。

「誰か乗ってたんだろう?見えなかっただけだろう?」

固まった身体に必死で訴えかけ、
何とか目をこすることができた。

何度みても、
サドルから上に人影は見つけられなかった。







気がつくと、朝になっていた。

ぼくは恐怖に動けなくなったと思いきや、
いつの間にか縁側で眠ってしまったらしい。

ぼくは急いで、
昨日『赤い自転車』が停めてあった場所へ走った。



そこにはもう、
あの『赤い自転車』は無かった。


昨日と同じ、
雲ひとつない夏の青空がまぶしかった。



ーーーーーーーーーー



こんな、暑い夏の夜には。



もしかしたら、
次はあなたの家の前に『赤い自転車』が停まっている、

かも知れません。






この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/10042792

※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
検索
プロフィール
理琉(ワタル)さんの画像
理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
プロフィール
最新記事
カテゴリーアーカイブ
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。