明日死んでも後悔しない生き方をする

※今回の登場人(？)物には
　気持ちよくはない存在感が抜群の方が含まれています。
　トラウマのある方、心臓の弱い方は閲覧をお控えください。



その神々しいまでの黒光り、
音速を優に超える速さはまさに「黒い弾丸」。

忍びも恐れるほど、あらゆる場所へ侵入可能な体躯、
断食修行僧も恐れるほどの生存能力の高さ。

ショックで卒倒する方が多数出てしまうため、
僕から名前を言うことなどできません。

「G(仮名)」とさせていただきます。

伝説の生物

僕がG(仮名)と初めて出遭ったのは
19歳、大学1年生の時でした。

「父との関係。(4) -高校3年-」で綴りましたが、
僕は地元から2000キロ遠方の大学へ進学したため、
南北に長い日本では当然、気候も地元と全く異なりました。
https://fanblogs.jp/yaritaikotohanokosazuyaru/archive/21/0

地元は進学先に比べ高緯度に位置し、
温暖とは言い切れない気候ながら、

夏季には幾ばくかの昆虫、
もしくはそれに準ずる類の侵入はありました。

そのため、
住環境への人類以外の侵入に対しては
全く免疫ゼロというわけではありませんでした。

地元に比べて温暖な地域へ移り住むにあたり、
数少ない高校の友人に念を押されました。

「かの地域では我々にとって未知の脅威である
G(仮名)が出るらしい、心して行け。」

夜は大猿の化け物が出るから寝ていなさいと
幼き日の孫悟空に伝える孫悟飯のようでした。

悟空よ、満月の夜は大猿の化け物がでよる…
けっして外に出てはいかん

DRAGON BALL 20巻 233話 孫悟空の回想より

未知との遭遇

G(仮名)はどうやら寒い場所にはいないらしく、
気候区分が冷帯の地元で18年生きていた限り
遭遇履歴はありませんでした。

そのためか、スーパーの侵入者対策コーナーには
彼ら専用の飛び道具や地雷は販売がほとんどなく、
我々の住む地域にはいないものと高を括っていました。

みんなお遭いしたことがないので、
時折TVなどで語られる彼らの猛威は他人事であり、
遠い異世界での出来事のようでした。

そんなぬるま湯から飛び出し、
たどり着いたこの大学の体育館。

練習を終え、足早に帰路に着こうとした折、
フロアに見慣れた木目とは違う、黒い点が見えました。

未知との遭遇、
人生で初めての、G(仮名)との対峙。

「先輩、何だか黒くて気持ち悪いのがいます。
彼は何でしょうか？」

「お前それ！G(仮名)じゃ！」

そうです、わからなかったんです。

彼らの侵入により、
快適な住空間を脅かされている皆々様には

初めて相まみえた未知の生物の正体に気付かず、
人に聞くという暴挙に出てしまったことを
深くお詫び申し上げます。

気持ち悪さと清々しさと

僕の地元ではカブトムシは滅多に逢えませんが、
夏季の短い期間、クワガタには逢えました。

彼らの勇ましい姿とおおよその色は合致、
殻に覆われた体躯も似ていると言えば似ています。

なのに、
大学の体育館で出遭った彼の姿から、
なぜあんなに気持ち悪さを感じたのでしょうか。

専用の武器が販売されておらず、
地元では半ば伝説と化していた彼らの脅威、

今、まさに自分がその現場にいる。

大きなショックを隠し切れず、
身体中を動揺と気持ち悪さが駆け巡りました。

と同時に、
伝説とまで言われた生物との遭遇、
さらに正体がわかってスッキリした自分もいました。

まるでワンピース・グランドライン最終地点、
伝説の島ラフテルへ到達したかのような清々しさも同居した
初謁見でした。

そして最後にたどり着く島の名前は
「ラフテル」

グランドラインの最終地点であり、
歴史上にもその島を確認したのは海賊王の一団だけだ
伝説の島なのだ

ONE PIECE 12巻 105話 クロッカスさんのセリフより

彼らの侵入により、
快適な住空間を脅かされている皆々様には

本来、断固回避すべきG(仮名)との遭遇時に
あらぬ清々しさを感じてしまったことを
深くお詫び申し上げます。