2020年04月24日
『Zepp Tokyo出演オーディション』は、アーティストの夢を食い物にする罠だった。
音楽活動、モデル・タレント活動、アーティスト活動。
芸能活動は夢を売る仕事。
応援してくれる人がいる一方で、夢を食い物にする人にも遭遇する。
その時に、自分をどう守るか。
今回は、僕が音楽活動をする中で、
『Zepp東京イベント出演オーディション』と称して
60万円を払わされる寸前まで行った経験を話してみる。
ー目次ー
当時はシアーミュージックで音楽を学んで2〜3年目。
ボイストレーニングを受けつつ、空きブースをレンタルして自主練。
独学で鍵盤、作詞、作曲を進めていた。
オリジナル曲も、ライブ出演経験も増えてきたある日、
『Zepp東京でのビッグイベント、出演アーティスト募集』
という広告を見つけた。
「よし、東京進出の第一歩に、挑戦しよう!」
そう思った僕は、深く考えずに
東京で行われるオーディション参加申込を済ませた。
オーディションは一次・二次あると知らされた。
一次審査は豊島区駒込。
そのイベントを主催する音楽事務所の
オフィス兼スタジオにて、オリジナル曲を披露する。
応接室から、順番にスタジオに入ると、
事務所の代表、プロデューサーを含む3〜4名の審査員が出迎えた。
僕は選曲に悩んだ末、「きみらしく」を歌った。
その場での評価や合否判定は特になかった。
駒込での実技が終わった16時頃、
「代表がアーティストと1対1で面談したい」と告げられた。
個別面談の場所に指定されたのは、新宿駅すぐの
セガフレード・ザネッティ 新宿南口店。
カフェに着くと、スタジオでは無口だった、
セミロングヘアのオールバック、サングラスをかけた代表が、
恐ろしい顔でこちらを睨みつけてきた。
そこから小1時間、
壮絶な罵詈雑言の嵐。
人格否定という言葉にすらできないほどの凄絶さ。
人間は本当に心が折れると涙すら出ないことを知った。
地獄絵図のような人格否定がおさまった頃、
少し口調をやわらげた代表がこう言った。
「Zepp東京、出たいか?
アーティストとして大成したいか?
Zeppに出たければウチの事務所に所属しろ。
お前をビッグなアーティストに育ててやる。
そのための勉強代だ。
所属料、レッスン料、合わせて60万円、即金で今すぐ払え。」
そんな大金、持ち合わせていないと答えると、
「すぐ向かいのビルにアコムが入ってる。借りて来い!」
怒鳴られるままにカフェを追い出され、指定されたビルに入ると、
消費者金融の無人契約機が並んでいた。
僕はあまりの恐怖と混乱で頭が真っ白になり、
契約機の前で立ち尽くした。
僕がカフェを追い出されるのと入れ替わりで、
若い男性が代表の待つ席についた。
どうやら、僕の次に「個別面談」を受けた人らしい。
僕が無人契約機の前で立ち尽くしていると、
その男性がスタスタとアコムの契約機のカーテンをくぐっていった。
そして、
何ごともなかったかのように60万円を借り入れ、
スタスタと立ち去っていった。
え…?!本当に借りた…。
僕は我に返り、
シアーミュージックの先生や受付の方に電話をかけた。
音楽業界では、これが日常なの?おかしいんじゃない?
それを確かめたかった。
講師陣の答えは、僕の疑問と一致した。
僕は恐怖心と闘いながら、断る決意をした。
「無人契約機の操作がわからないなら俺に電話しろ」
そう言われ、教えられていた番号に電話をかけた。
「やはり60万円は払えないし、事務所への所属も
すぐには決められないのでお断りさせてください。」
僕がそう断った後は、
携帯スピーカーの限界強度に迫る、罵詈雑言と脅迫の嵐。
「俺がどれだけの大物とつながってるか、さっき名刺見せたよな?
圧力かけりゃ、お前を今後一切、
東京で活動できなくさせることぐらい容易いんだぞ?
お前の携帯番号は俺にバレてることを忘れたのか?
いつでも取り立てに行けるんだぞ?!」
代表が電話越しで怒鳴っている途中に、
僕は覚悟を決めて電話を切った。
もう一度、シアーの講師に電話し、断ったと伝えた。
すっかり暗くなった空を照らす、新宿のネオンがまぶしかった。
その後、代表から脅迫めいた連絡が来ることはなかった。
カフェでのやり取りと、
電話での会話をもし記録していたら。
脅迫行為なにがしかで訴訟できたかも知れない。
残念ながら記録できなかったけど、
恐怖の中でよく立ち止まり、断れたと思う。
あの時、スタスタとアコムに入り、
ためらいなく借り入れた彼と鉢合わせなければ。
僕も同じように、大金を失っていたかも知れない。
あの時、突然の相談に親身に応えてくれた
シアー講師の皆さんには本当に感謝している。
何も知らない、大舞台を夢見る純粋な者。
それを食い物にして儲けようとする者。
上を目指す限り、どこかで必ず出くわす。
夢を売るには、騙されない知識と度胸、
そして、立ち止まれる勇気が明暗を分ける。
芸能活動は夢を売る仕事。
応援してくれる人がいる一方で、夢を食い物にする人にも遭遇する。
その時に、自分をどう守るか。
今回は、僕が音楽活動をする中で、
『Zepp東京イベント出演オーディション』と称して
60万円を払わされる寸前まで行った経験を話してみる。
ー目次ー
- オーディション応募のきっかけ
- 一次審査・弾き語り披露
- 二次審査・個別面談は【壮絶な罵詈雑言の嵐】
- Zeppに出たければ60万円、即金で払え!
- ためらいなく、60万円を借り入れる彼を目撃
- 我に返り、断りの電話をかける
- 夢を売るには、立ち止まれる勇気が必要
1.オーディション応募のきっかけ
当時はシアーミュージックで音楽を学んで2〜3年目。
ボイストレーニングを受けつつ、空きブースをレンタルして自主練。
独学で鍵盤、作詞、作曲を進めていた。
オリジナル曲も、ライブ出演経験も増えてきたある日、
『Zepp東京でのビッグイベント、出演アーティスト募集』
という広告を見つけた。
「よし、東京進出の第一歩に、挑戦しよう!」
そう思った僕は、深く考えずに
東京で行われるオーディション参加申込を済ませた。
2.一次審査・弾き語り披露
オーディションは一次・二次あると知らされた。
一次審査は豊島区駒込。
そのイベントを主催する音楽事務所の
オフィス兼スタジオにて、オリジナル曲を披露する。
応接室から、順番にスタジオに入ると、
事務所の代表、プロデューサーを含む3〜4名の審査員が出迎えた。
僕は選曲に悩んだ末、「きみらしく」を歌った。
その場での評価や合否判定は特になかった。
3.二次審査・個別面談は【壮絶な罵詈雑言の嵐】
駒込での実技が終わった16時頃、
「代表がアーティストと1対1で面談したい」と告げられた。
個別面談の場所に指定されたのは、新宿駅すぐの
セガフレード・ザネッティ 新宿南口店。
カフェに着くと、スタジオでは無口だった、
セミロングヘアのオールバック、サングラスをかけた代表が、
恐ろしい顔でこちらを睨みつけてきた。
そこから小1時間、
壮絶な罵詈雑言の嵐。
人格否定という言葉にすらできないほどの凄絶さ。
人間は本当に心が折れると涙すら出ないことを知った。
4.Zeppに出たければ60万円、即金で払え!
地獄絵図のような人格否定がおさまった頃、
少し口調をやわらげた代表がこう言った。
「Zepp東京、出たいか?
アーティストとして大成したいか?
Zeppに出たければウチの事務所に所属しろ。
お前をビッグなアーティストに育ててやる。
そのための勉強代だ。
所属料、レッスン料、合わせて60万円、即金で今すぐ払え。」
そんな大金、持ち合わせていないと答えると、
「すぐ向かいのビルにアコムが入ってる。借りて来い!」
怒鳴られるままにカフェを追い出され、指定されたビルに入ると、
消費者金融の無人契約機が並んでいた。
僕はあまりの恐怖と混乱で頭が真っ白になり、
契約機の前で立ち尽くした。
5.ためらいなく、60万円を借り入れる彼を目撃
僕がカフェを追い出されるのと入れ替わりで、
若い男性が代表の待つ席についた。
どうやら、僕の次に「個別面談」を受けた人らしい。
僕が無人契約機の前で立ち尽くしていると、
その男性がスタスタとアコムの契約機のカーテンをくぐっていった。
そして、
何ごともなかったかのように60万円を借り入れ、
スタスタと立ち去っていった。
え…?!本当に借りた…。
僕は我に返り、
シアーミュージックの先生や受付の方に電話をかけた。
音楽業界では、これが日常なの?おかしいんじゃない?
それを確かめたかった。
講師陣の答えは、僕の疑問と一致した。
僕は恐怖心と闘いながら、断る決意をした。
6.我に返り、断りの電話をかける
「無人契約機の操作がわからないなら俺に電話しろ」
そう言われ、教えられていた番号に電話をかけた。
「やはり60万円は払えないし、事務所への所属も
すぐには決められないのでお断りさせてください。」
僕がそう断った後は、
携帯スピーカーの限界強度に迫る、罵詈雑言と脅迫の嵐。
「俺がどれだけの大物とつながってるか、さっき名刺見せたよな?
圧力かけりゃ、お前を今後一切、
東京で活動できなくさせることぐらい容易いんだぞ?
お前の携帯番号は俺にバレてることを忘れたのか?
いつでも取り立てに行けるんだぞ?!」
代表が電話越しで怒鳴っている途中に、
僕は覚悟を決めて電話を切った。
もう一度、シアーの講師に電話し、断ったと伝えた。
すっかり暗くなった空を照らす、新宿のネオンがまぶしかった。
7.夢を売るには、立ち止まれる勇気が必要
その後、代表から脅迫めいた連絡が来ることはなかった。
カフェでのやり取りと、
電話での会話をもし記録していたら。
脅迫行為なにがしかで訴訟できたかも知れない。
残念ながら記録できなかったけど、
恐怖の中でよく立ち止まり、断れたと思う。
あの時、スタスタとアコムに入り、
ためらいなく借り入れた彼と鉢合わせなければ。
僕も同じように、大金を失っていたかも知れない。
あの時、突然の相談に親身に応えてくれた
シアー講師の皆さんには本当に感謝している。
何も知らない、大舞台を夢見る純粋な者。
それを食い物にして儲けようとする者。
上を目指す限り、どこかで必ず出くわす。
夢を売るには、騙されない知識と度胸、
そして、立ち止まれる勇気が明暗を分ける。
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