2024年11月13日
【恐怖体験】『母娘の身代わりになれたと思えば本望』
地下鉄駅直結のスーパーに入ろうとすると、
小さい子が入口のドアを一生懸命に押していた。
その子の後ろで母親が見守っていた。
僕はその子が自力でドアを開けるまで入口で待った。
間もなくドアが開き、母娘が笑顔で出て行った。
それを見届けた瞬間、僕の後ろから怒号が響いた。
「兄ちゃん何してんねん!早よ入れや!」
驚いて振り返ると、
身長160センチ前後でおそらく55〜65歳、
ふくよかな体格でマスクをしたスキンヘッドの男性が
僕に詰め寄って来た。おそらくヤ◯ザではない。
男性は今にも
僕の胸ぐらを掴んで殴りかかってきそうだった。
彼と僕には身長差が20センチくらいあったが、
彼は意に介していなかった。
僕は恐怖で声が出なかったのが9割、
「ここで言い返したら彼と同じレベルになる…耐えろ!」
が1割で、必死で意識を保った。
険悪な空気の中、
後続の人たちは足早にスーパーへ入って行った。
男性は僕をしばし無言で睨んだ後、
舌打ちを残して立ち去った。
僕の全身から血の気が失せ、
両耳は動悸の音で埋め尽くされた。
よろめきながら地上へ出ると、
さっきの母娘が選挙応援の方々と談笑していた。
僕は蒼白になった頭でこう思った。
「あの怒号が母娘に向けられなくて本当に良かった…。
僕が彼女らの身代わりになれたと思えば本望…。」
母娘は何も知らなくていい。
僕が勝手に恐怖体験を経て
ヒーローぶっているだけだから。
1つ、自分の成長を実感できたのは、
この事件で最初に思ったことが
「なんで自分がこんな目に」ではなかっこと。
なぜか最初に「母娘が無事で良かった…」と思った。
母娘が手を繋いて帰っていく姿は
とても幸せそうだった。
まだ震えが残る胸に、
ほんのりあたたかさがこみ上げた。
⇒他記事
【短編小説】『涙を包むラベンダー』(1話完結)
【Give & Take】『Give -相手に何をあげられるだろう?-』
⇒参考書籍
小さい子が入口のドアを一生懸命に押していた。
その子の後ろで母親が見守っていた。
僕はその子が自力でドアを開けるまで入口で待った。
間もなくドアが開き、母娘が笑顔で出て行った。
それを見届けた瞬間、僕の後ろから怒号が響いた。
「兄ちゃん何してんねん!早よ入れや!」
驚いて振り返ると、
身長160センチ前後でおそらく55〜65歳、
ふくよかな体格でマスクをしたスキンヘッドの男性が
僕に詰め寄って来た。おそらくヤ◯ザではない。
男性は今にも
僕の胸ぐらを掴んで殴りかかってきそうだった。
彼と僕には身長差が20センチくらいあったが、
彼は意に介していなかった。
僕は恐怖で声が出なかったのが9割、
「ここで言い返したら彼と同じレベルになる…耐えろ!」
が1割で、必死で意識を保った。
険悪な空気の中、
後続の人たちは足早にスーパーへ入って行った。
男性は僕をしばし無言で睨んだ後、
舌打ちを残して立ち去った。
僕の全身から血の気が失せ、
両耳は動悸の音で埋め尽くされた。
よろめきながら地上へ出ると、
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僕は蒼白になった頭でこう思った。
「あの怒号が母娘に向けられなくて本当に良かった…。
僕が彼女らの身代わりになれたと思えば本望…。」
母娘は何も知らなくていい。
僕が勝手に恐怖体験を経て
ヒーローぶっているだけだから。
1つ、自分の成長を実感できたのは、
この事件で最初に思ったことが
「なんで自分がこんな目に」ではなかっこと。
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母娘が手を繋いて帰っていく姿は
とても幸せそうだった。
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