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2024年06月28日

【短編小説】『哀別の贈り物(パートギフト)』2

【MMD】Novel Parting Gift SamuneSmall2.png

【MMD】Novel Parting Gift CharacterSmall2.png

【第1話:救済の傘】からの続き

<登場人物>
メイレ
 主人公
 類まれな美貌と戦闘センスを持って生まれた

イーラ
 メイレの母親

ゼレシア
 魔族軍の幹部
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【第2話:黒緋の魔法戦】



ある日、イーラのもとへ
メイレからの贈り物が届きました。

中身は、魔族の国では
稀少な素材を使った化粧品と、
メイレからのメッセージカードでした。


メッセージの内容は、

 -----
 お母さま、お元気ですか?
 あなたの美しさがより際立つと思い、
 贈らせていただきました。

 お気に召してもらえたら嬉しいです。
 メイレ
 -----


イーラ
『…あの子、意外と気が利くじゃないの。』
(さすがにやりすぎたかも…。)


気を良くしたイーラは、
いそいそと化粧品のビンに手を伸ばしました。
すると、



ガシャン、ガシャン!



イーラ
『…何?!この鎖?!』


化粧品のビンに込められた拘束魔法が発動し、
魔力の鎖がイーラの自由を奪いました。

イーラも優秀な魔法使いですが、
娘の”厚意”に油断していました。

メイレ
『…お母さま、気に入ってくれましたか?』


イーラ
『?!…メイレ…帰って来たのね。』


メイレ
『ええ、”あなた自身の恥”が帰りました。』
『見るに耐えないですか?』


イーラ
『(ギリッ…!)…こんなことして、何のつもり?』
『早くこの鎖をほどきなさい。』


メイレ
『私にした仕打ちを詫びてくれるのなら。』


イーラ
『…仕打ちって何のことよ?』


メイレ
『私を捨てたことをお忘れですか?』
『美しくない、無能だと言って。』


イーラ
『(ゾクッ…)…ふん、事実じゃないの。』


イーラは鎖に縛られながらも
体内で魔力を練り上げ、一気に解放しました。

すると、



パキン!



イーラを拘束していた魔力の鎖が
バラバラに吹き飛びました。

イーラ
(…私に全力近くの魔力を出させるなんて…!)
(この子、やっぱり気に食わない!)
『あなた、ちょっと名を上げたようだけど。』
『この程度の魔法で私をどうこうできるとでも?』


メイレ
『…容易く破られた…!』


イーラ
『私に謝ってほしい?』
『生意気は私に勝ってから言いなさい!』
『それとも怖気づいちゃった?』


メイレ
『(ガクガク…)…いいえ…覚悟していました。』


イーラ
『…良い心がけね。』
『思い上がった娘にわからせてやる!』


ゴゴゴゴゴゴゴ…!!

イーラは全身に赤黒い炎をまといました。

【MMD】Novel Parting gift Episode2 IraSmall1.png

彼女は火炎系の魔法が得意ですが、
その威力は今までとは段違いでした。

黒く燃え上がるのはもちろん、
「娘の才能と未来」への嫉妬の炎でした…。


メイレ
『…すごい威圧感…!』
『私の半端な冷気魔法じゃ、とても…。』


ゴォォォォォォ!!

何十発もの赤黒い火球が
メイレに襲いかかりました。

メイレ
『れ、冷気のバリア…!』
『ダメ…!防ぎ切れない!』


メイレは魔法の才能こそ高いものの、
ほぼ独学で身につけていました。

そんな彼女の魔法では、
イーラの熟練の腕に嫉妬や憤怒が
折り重なった炎に敵うはずがありませんでした。

メイレ
『熱ッ…!1発かすった…!』
『お母さま…一体どれだけの魔力を…!』


イーラ
『…あんな未熟な冷気魔法で…!』
『私の炎が何発も逸らされてる!』
『いい加減、諦めなさいよ!』


メイレ
『…また炎が強くなった…!』
『…大きいのが来る?!』


ゴゴゴゴゴゴゴ…!!

メイレ
『お母さま…本気で撃つの…?!』
『私、やっぱり愛してもらえないの…?』


メイレの悲しみは、
怒りで我を忘れた母親には届きませんでした。

イーラ
『消えなさい!!』


ゴォォォ!

メイレ
『もうダメ!』




………。



メイレ
『……あれ……?時間がゆっくりに…?』


絶体絶命のメイレの頭に、
ゼレシアと会った雨の日が蘇りました。

治癒魔法の応用と言って
メイレの小屋を直してくれた魔法と一緒に。

メイレ
(無機物の修繕…。)
(あの魔法術式を逆にしたら…。)
(魔法の解体もできるんじゃ…?)


次いで、イーラが
魔力の鎖を壊した魔法を思い出しました。

メイレ
(あれにも魔法解体の術式が入っていた。)
(組み合わせれば火球を消せるかも…。)
(私にできるかな?1回見ただけで。)




赤黒い火球が
メイレの眼前に迫った瞬間、

メイレ
『やッ!』


メイレはとっさに
手のひらを火球へ向けました。

パッ!

巨大な火球が一瞬で霧散しました。


メイレ
『ハァ…ハァ…できた…!』


イーラ
『…そんな…一体何をしたの…?!』


メイレ
『…魔法の解体…。』
『建物の修繕魔法を応用したんです。』


イーラ
『そんな魔法、どこで…。』


メイレ
『…ただのマグレです。』


イーラ
(この子、どれだけのセンスを持ってるの…?)
(さっきの私の鎖解体まで取り入れたんでしょ…?!)


メイレ
『…今度は私の番です。』


メイレは全身に青白い炎をまとい、
小さな火球をイーラめがけて放ちました。

【MMD】Novel Parting gift Episode2 MeileChild33Small1.png

イーラ
『この程度、避けるまでもないわ。』
『簡単に解体…できない…?!』


メイレはイーラが魔法解体で応戦すると踏んで、
魔法解体をガードする術式を混ぜていました。


イーラの腕前なら、それを悟った瞬間に
避けることもできたはずですが…。

イーラ
(あーあ…悔しいな…。)
(私、やっぱり娘に敵わないんだ…。)


小さな火球は、
棒立ちのイーラへまっすぐ向かっていきました。


ーー


「炎の魔法戦」の幕が降ろされました。

舞台には震えながら立っている娘と、
うずくまる母親がいました。

メイレ
『私の勝ちでいいですか?』
『まだやるならもう1発…。』


イーラ
『こ、降参よ!』
『謝るから…命だけは助けて…?』


メイレ
『…わかりました。』


イーラ
『メイレ、ごめんなさい。』
『あなたが美しくないなんてウソ。』
『あなたの美貌と才能に嫉妬していたの…。』


メイレ
『…では、どうして私を捨てたのですか?』


イーラ
『私が1番でいられなくなるのが怖かったの…。』
『私の存在そのものが否定される気がして…。』


メイレ
『…それは…お母さまの本心ですか?』


イーラ
『ほ、本心よ!信じて…?』


メイレ
『………。』
(私はこんな薄っぺらい言葉のために…。)
(今まで苦しんできたの…?)




メイレの心は、
母親への失望でいっぱいになりました。

母親の言葉はどこまでも自己保身で、
娘の気持ちが無視されていたからです。


次いで、メイレの心に
母親への憎しみが湧き上がってきました。

メイレは母親にムリヤリ謝罪させても、
悲しみは癒えないと理解していました。

それでも、
いざその瞬間が来ると抑え切れずに…。

メイレ
『うぅぅぅ……!』


ゴゴゴゴゴゴゴ…!!

メイレがまとう青白い炎が、
みるみるうちに”赤黒く”染まりました。


イーラ
『ちょっと…!』
『謝ったじゃないの…!』


我を見失ったメイレは、
イーラへとどめを刺そうと突っ込みました。

メイレ
『うぅ…うぁぁぁぁぁ!!!』


イーラ
『きゃあぁぁ!!』




【第3話(最終話):憎しみの克服】へ続く

⇒この小説のPV


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自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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