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2024年06月22日

【短編小説】『転生の決闘場(デュエルアリーナ)』3

【MMD】Novel Duel Arena SamuneSmall1.png

【MMD】Novel Duel Arena CharacterSmall1.png

【第2話:逃避人生への終止符】からの続き

<登場人物>
アレヴィア
 主人公
 街の組合から依頼を受ける冒険者

ヴァルネラ
 アレヴィアの夢に出てくる少女
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【第3話:前世との決戦】



<1ヶ月後の夜、アレヴィアの夢の中>

ヴァルネラ
『こんばんは。』
『今日が楽しみで眠れなかったよ。』


アレヴィア
「…私も、あなたとのデートが待ち遠しかった。」


チャキッ

ヴァルネラ
『それ、剣を構えて言うセリフ?』
『ムードないなぁ(苦笑)』


アレヴィア
「…始めましょう。」


ヴァルネラ
『そうね、茶番はここまで。』


私は目一杯の力を込め、
ヴァルネラに斬りかかった。

ギィン!

ヴァルネラ
『…!!…いきなり本気?』
『そんなに張り切って大丈夫?』


アレヴィア
「敵の心配なんて余裕ね。」


ヴァルネラ
『最後まで体力が持つといいけど。』


アレヴィア
「あなた、前世から私を見てきたんでしょ?」
「隠してもムダってこと。」


ヴァルネラ
『わかってるね。』
『じゃ、いくよ!』




ヴァルネラの剣技は、
太刀筋もクセも私とそっくりだった。

強さは私と同じくらい。
前世の私を名乗るだけあって、
私の技はほぼ完全にコピーされていた。

現実世界で格上の冒険者を
イヤというほど見てきた私にとって、
彼女は大した相手じゃない。

のに、


ヴァルネラ
『どうしたの?』
『受け切れてないよ?』


アレヴィア
「くッ…!」


私の剣は、
少しずつヴァルネラに押され始めた。

チッ!

アレヴィア
「!!…肩をかすめた…。」


ヴァルネラ
『ほら、今度はこっち!』


ビュン!

アレヴィア
「…痛ッ!…今度は腕…!」


私はヴァルネラの連撃を受け切れず、
切っ先が少しずつ私の身体に届き始めた。

アレヴィア
「一旦、距離を取って…!」


浅い切り傷が増え、
血の不足を告げるめまいがした頃、

ヴァルネラ
『強めの一撃いくよ!』


ヴァルネラの大振り。
私は後ろへ大きく跳んで回避した。

アレヴィア
「うぅ…!」


私は一旦、ヴァルネラから離れ、
中級の治癒魔法で応急処置をした。

残念ながら、
今の私では上級魔法は操れなかった。



アレヴィア
(正面からの打ち合いは不利。)
(こんな手が通じるとは思えないけど…。)
(夢の中だし、やるしかない!)


私は切り傷が残る手で剣を握り、
ヴァルネラめがけて突っ込んだ。

【MMD】Novel Duel Arena Episode3 AreviaSmall1.png

ヴァルネラ
『また正面から?いや…奇襲…?!』


私は剣を握る手に込めた魔力を解放した。
雷の矢が束になり、ヴァルネラへ一直線。

前世でいじめっ子に勝ちたくて修得した
中級の雷魔法。

まさか夢の中で
自分自身に向けることになるとはね。


ヴァルネラ
『くッ!』


ヴァルネラは一瞬ひるんだが、
とっさに同じ魔法を打ち返してきた。

バチバチッ!

魔法の威力は互角。
互いの雷の矢がぶつかり合い、
閃光とともに打ち消された。

アレヴィア
「うッ…まぶしい…!」


ビュッ!

アレヴィア
「…雷の矢…?!!」


まだ閃光が残る中、
ヴァルネラは追撃の魔法を放ってきた。


アレヴィア
「あぁ!!」


私は回避し切れずに被弾。

膝から崩れ落ち、
握っていた剣を地面に落としてしまった。

ヴァルネラ
『どうしたの?』
『私の力はきみと同じくらいだよ?』
『現実でもっと強いヤツをたくさん見てるでしょ?』


アレヴィア
(…同じくらい…?)
(…あなた、ずっと”弱いフリ”してるくせに…。)


私はヴァルネラとの実力差に絶望した。

自分の夢の中なのに、
現実以上の屈辱感にまみれた。

なのに、なぜか私の気持ちは
どんどん晴れやかになっていった。

アレヴィア
(あぁ…私、弱いなぁ。)
(けど、負けから逃げてきた私はもっと弱い。)
(恥をかくのが怖くて、闘技場に立つことから逃げてきた。)

(それも今回で終わり。)
(ここまでやられて、今さら何を怖がる必要があるの?)




ヴァルネラ
『…あれ?眼の光が増したね。』
『今までのきみならここで投げ出したのに。』


私は地面に落とした剣を拾い、
再び構えた。

アレヴィア
「(ガクガク…)…そうね…!」


ヴァルネラ
『へぇ、そのケガで立ち上がれるんだ。』
『いいよ、来なよ。』


ギィン!

ヴァルネラ
『…!!…さっきより重い一撃?』
『最初から全力だったはず。』


私の連撃に、
今度はヴァルネラが弾き飛ばされた。


彼女が押されて距離を取ったところへ、
私はすかさず雷魔法で追撃した。

ヴァルネラ
『…これもさっきより速い…?避け…!』


彼女は間一髪で避けるも、
私はその先に2発目を打ち込んだ。

ヴァルネラ
『うッ…!』


直撃は避けたが、彼女の脇腹に当たった。

ヴァルネラ
『連続魔法…上級者だけが使える技…。』
『きみ、1発が限界じゃなかった?』


アレヴィア
「その通り。」
「安心して、今のはマグレだから。」


ヴァルネラ
(何だか…身体が重い…。)
(アレヴィアの夢、あんなに居心地が良かったのに…。)


ビュン
ビュン

ヴァルネラ
『ちょっと!2連発はマグレって言ったじゃないの。』


アレヴィア
「ごめんなさいね、やってみたらできた。」


ヴァルネラ
(避けるので精一杯…。)
(2発どころか3連続で打てるんじゃないの。)


バシッ!

ヴァルネラ
(痛ッ…!…そっか…。)
(私の大好物の卑屈さと劣等感が…。)
(どんどん消えていってる!)




アレヴィア
「…ハァ…ハァ…!」


ヴァルネラ
『きみは1ヶ月間、どこへ行ってたの?』
『組合からの仕事の依頼を全部断って。』


アレヴィア
「ずっと私を見てるなら知ってるでしょ?」


ヴァルネラ
『ちょくちょく目を離しちゃってね。』
『今日が楽しみで。』


アレヴィア
「だから夢に出て来なかったの?」
「おかげでぐっすり眠れたけど。」


ヴァルネラ
『自分探しの旅?』
『行く先々でずっと泣いていたようだけど。』


アレヴィア
「そりゃ泣きたくなるよ。」
「過去に辛さを味わった場所だもの。」
「そんな所で自分と向き合うのはきつかった。」


ヴァルネラ
『イヤな場所に自分から行くなんてね。』
『トラウマの荒療治?』


アレヴィア
「そんなところ。」
「この世界は前世とよく似てる。」
「まるで”前世を模して作られた夢の世界”みたい。」


ヴァルネラ
(…鋭いね、もう気づいたかな?)
『それで、旅行先はどちら?』


アレヴィア
「私を捨てた親の家の近く。」
「孤児院にいた時、よくいじめられていた丘。」
「それから、前世で依頼中にモンスターに負けた森。」
「…なんかとそっくりな場所。」


ヴァルネラ
『そこで何してたの?』


アレヴィア
「何も。ただ当時を思い出して泣いただけ。」


ヴァルネラ
『へぇ…心、強くなったね。』


ゴロゴロゴロ…!

アレヴィア
「…頭上に雷雲…?いつの間に?!」


【MMD】Novel Duel Arena Episode3 VulneraSmall1.png

しまった…!

ヴァルネラは
私の注意を会話に引きつけ、
ひそかに魔力を集中させていた。

ヴァルネラ
『気づいた?』
『けど、さすがに避けられないでしょ?』


私が全力で回避行動を取るより早く、
頭上から落雷が襲ってきた。


ピシャーン!

アレヴィア
「あぁッ!」


……!!!



【第4話:悪夢からの贈り物】へ続く

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理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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