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2024年02月24日

【短編小説】『500年後の邂逅』3

【MMD】Novel 500 Years SamuneSmall2.png
【MMD】Novel 500 Years CharacterSmall2.png

【第2話:娘に贈るペンダント】からの続き

<登場人物>
リディアナ
 ♀主人公、20歳
 母親エレから魔法の資質を受け継ぐ

エレ
 ♀リディアナの母親
 街で1番の大魔法使い

ヴィンラック
 ♂40歳、とある村の守り人を務める
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【第3話:もしも生まれ変わったら】



リディアナとヴィンラックの、
もどかしくも平穏な日々が続きました。

しかし、残念ながら
歴史の教科書はウソをついてくれませんでした。
戦禍の足音は、静かに大きくなっていたのです。

リディアナ
「侵略者…?!」
(やっぱり教科書の通り、この街は1度…。)


リディアナはヴィンラックに助けられた日から、
思い出さないようにしていました。

が、人間の凶暴な本性は、
”助け合い、分け合う”を許しませんでした。

リディアナ
「どうしていつの時代も、人間はこんなに争うの?」
「誰だって幸せになりたいはずなのに…。」
「どうして自ら不幸になる道を選ぶの?!」




ヴィンラックを筆頭に、
守り人たちは迎撃態勢に入りました。

リディアナは前線で戦うことを志願しました。

しかしヴィンラックは、
彼女に村の人たちを避難させる任務を指示しました。

リディアナ
「ヴィンラック!村のみんな避難できたよ!」


ヴィンラック
『ありがとう!リディアナ、この先は危険だ!』
『みんなと一緒に逃げてくれ!』


リディアナ
「イヤ!私だって守り人よ!一緒に戦う!」
(もう守られてばかりなんてイヤだもん…!)
(今度は私が大切な人を守る!)


ヴィンラック
『…その眼は…。』


リディアナは、
かつてのヴィンラックと同じ眼をしていました。

彼が妻子を守れなかった時、
もう誰も失いたくないと覚悟を決めた時の眼でした。


ヴィンラック
『…危なくなったらムリヤリ逃がすからね。』


リディアナ
「…ありがと。」


ヴィンラック
『戦える者は前線へ!』



ーー


リディアナたち守り人は必死に応戦しましたが、
侵略者の兵力は段違いでした。

さらに、侵略者はこの時代には
まだ発明されていないはずの魔法を
いくつも使ってきました。


守り人たちは
見たこともない魔法に面喰らい、
一気に劣勢に立たされました。

リディアナとヴィンラックの魔法の応戦で、
相手にもそれなりの損害を与えました。

が、多勢に無勢。
防衛戦線はどんどん押し込まれていきました。

そして、ついに生き残りは
リディアナとヴィンラックの2人だけになりました。



ヴィンラック
『…ここまでか…。』
『リディアナ、きみを逃がす。』


リディアナ
「どうして?!私はまだ戦えるよ?!」


ヴィンラック
『敵もかなり弱っている。』
『ここから先は僕1人で十分だ。』


リディアナ
「1人なんて無謀よ!私の魔力だってまだ…。」


ヴィンラック
『…その足で戦える?』


リディアナ
「うッ…!」


リディアナは足を負傷し、
立っているのもやっとでした。

ヴィンラックは初めから
彼女のやせ我慢を見抜いていました。

リディアナ
(お母さんに助けられた時も、今回も…。)
(悔しい…!どうして私は肝心な時にケガを…!)


ヴィンラック
『危なくなったら逃がすと約束した。』
『これ以上きみを巻き込みたくない。』


リディアナ
「どうしてそこまでするの?!」


ヴィンラック
『…昔、僕は妻と娘を守れなかったって話したよね。』


リディアナ
「…うん。」


ヴィンラック
『あの時、僕は悲しみで我を忘れ、無謀に突撃した。』
『そのせいで味方に余計な被害を出してしまった…。』


リディアナ
「それが、前に言ってた”取り返しのつかない過ち”…?」


ヴィンラック
『そう、僕が故郷を滅ぼしたも同然なんだ…。』


リディアナ
「故郷?!この村は今もあるよ?!」


ヴィンラック
『実は、僕の故郷はこの村じゃないんだ。』


リディアナ
「…どういうこと…?」


ヴィンラック
『僕が返り討ちにされた時、誰かの強大な魔力に包まれた。』
『気がついたら、僕はこの村の外れで倒れていた。』


リディアナ
「それって…!」
「誰かがあなたにタイムスリップ魔法をかけたの?!」
「まさか、ヴィンラックも未来から来たの?!」


ヴィンラックは
答えを伏せるように口をつぐみました。
そして、

ヴィンラック
『あんな思いをするのは僕1人で十分。』
『…もう誰も巻き込みたくない。』


彼はそうつぶやくと、魔法の詠唱を始めました。
巨大な魔力がヴィンラックの全身を包んでいきました。

リディアナ
「この魔法は…お母さんの時と同じ…?」
「あなたもタイムスリップ魔法を使えるの…?!」


ヴィンラック
『(…ニコリ)…今度こそ守らせてほしい。』
『大切な村の人たちを。そして…。』



『誰よりも大切な、きみを。』




巨大な魔力が解放され、
眩しさで何も見えなくなりました。

リディアナ
「ヴィンラック!お別れなんてイヤだよ!」
(まだ想いを伝えられてないのに…!)


リディアナは必死に叫びましたが、
ヴィンラックの姿はもう見えませんでした。

リディアナ
「待ってよ!私、守られてばかりなんて…!」


ヴィンラック
『…リディアナ、僕と一緒にいてくれてありがとう。』
『どうか平和な時代で、幸せに…。』



(もし生まれ変わったら、また……。)




【第4話(最終話):500と10の想い人】へ続く

⇒この小説のPV

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理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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