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2023年07月29日

【短編小説】『もし自己肯定感の高さが見える世界になったら』4

【MMD】Novel Jiko Koutei SamuneSmall1.png

【第3話:自己否定と逆ギレの果てに】からの続き

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<登場人物>

沢田 イリス
 主人公
 23歳、身長145センチ
 怖い父親の影響で、大人になっても男性恐怖に悩む


<この世界へ普及している発明品>
 『プライド・ビューワー』

 スイッチを入れると
 相手の自尊心(自己肯定感)の高さが可視化される
 高い⇒バスケットボールより大きく
 低い⇒ゴルフボールより小さく

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




【第4話:”私だけは大丈夫”という自惚れ】



<半年後>

イリス
「フン!男なんて、イバってるだけ!」




小動物系の私は、男性からモテた。
出会いの場へ行くたびに、男性からアプローチを受けた。

「私は無意識に、暴力的な男性との関係が”心地よい”」
「だから私に寄ってくるのは、そういう男性が多い」

それをわかった上で、その男性の本性を見極めた。

少し、仲が進展する相手も増えた。
けど、いい感じになると、決まって男性が少し強引になった。

やんわりフッていたつもり。
けど、私は無意識に”上から目線”になっていた。

イリス
「フン!男なんて、イバってるだけで小心者ばっかりじゃない!」


私のそういう態度を読み取った相手に、
必要以上の”失恋の痛手”を負わせ、恨みを買ってしまった。


ーー


この前、仲良くなった男性と2人で飲みに行った帰り、
”夜” のお誘いを受けた。

少し、強引に。

イリス
「まだお付き合いしてるわけじゃないし…。」
「もう少し仲良くなってからにしたいな。」
「それまで待ってくれる?」


私は相手を傷つけないよう、やんわり断った。
誠実な男性なら、きっと待ってくれる。
私はそういう人を選んだはず。

なのに、

男性
『はぁ?!ここまで来たら同意してるようなもんだろ?!』


とたんに、男性が凶暴な本性をあらわにした。

私は穏便に断ろうとしたが、
男性はますます強引に迫ってきた。



ここでやめておけばいいのに、
私はプライド・ビューワーのスイッチを入れてしまった。

イリス
「あなた、エラそうにしてるけど、自尊心こんなに小さいじゃない?」
「たった1度断られたからって、何が傷ついたの?薄いプライド?」


私はつい、相手の低い自尊心を刺激し、
逆ギレのスイッチを入れてしまった。


男性
『な、何だと?!この…!』


男性は手を振り上げ、拳を握った。

私は内心、怯えながら、
彼のしぼんでいく自尊心を煽ってしまった。

イリス
「思い通りにならないからって、力に訴えることしかできないの?」


彼の自尊心は、どんどん縮んでいった。
同時に、私の自尊心も…。

男性
『う、うるせぇ!いいから来いよ!』


イリス
「キャッ!!」


逆上した男性は、私の腕を力まかせに掴んだ。

このままでは、
”宿泊施設”が立ち並ぶ区画へ連れて行かれる。


それだけはイヤ…!
私は恥を捨てて、大声で叫んだ。

イリス
「痛い!離して!誰か助けて!!」


男性
『この…!!大声出すなよ!』


慌てた男性は、私の口をハンカチで塞ごうとしてきた。
もうダメ…!連れて行かれる…!

仕方ないか…。
煽ったのも、暴力的な人を見抜けなかったのも、私のせい…。

半ば諦めた、そのとき、



通行人
『お巡りさん、こっちです!早く!』


警察官
『コラー!何してる!手を離しなさい!』


たまたま、私たちのやり取りを見ていた通行人が、
警察を呼んでくれた。

私の腕を掴んでいた男性は、
2人の警察官に取り押さえられた。

警察官
『大丈夫ですか?!ケガはありませんか?!』


イリス
「ハァ…ハァ………大丈夫…です…。」


掴まれた右手首が痛かった。
見ると、引っ搔き傷から血が滲んでいた。

それ以上に、私の手首に黒い手跡が残った気がした。
暴力的で、支配的な、男性の大きな手跡が。



ーー


その後、私は傷の手当や、
警察からの事情聴取を受けて帰宅した。

……助かった……。けど、

イリス
(半分は自業自得だ…。)
(私、男を見る目がぜんぜんなかった。)
(その上、男性を見下して、挑発して…。)


私は、いま世界で起きている
「相手の低い自尊心を刺激し、逆ギレされるトラブル」を
他人事だと思っていた。

”私だけは大丈夫”と、うぬぼれていたことを後悔した。

相手の心の状態が見えるのは、良いことばかりじゃない。
見えるからこそ”比較”しやすくなる。

そして、少しでも優越しようとする。
すると、相手は劣等感から逃れるために反撃する。

悲しいけど、それが人間なんだ…。



私はおそるおそる、
プライド・ビューワーを自分へ向けた。

半年前は卓球のボールくらいだった、私の自尊心。
それが今は、モデルガンの弾くらい。

イリス
「こんなに小さくなってる…。」
「男性恐怖だったときより、自己否定が強くなってるの?」


私は痛い目を見て、初めて反省した。
この日、私は男性を見下すのを止めると決意した。



【第5話:幸せを遠ざける”他人との比較”】へ続く

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理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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