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2023年07月28日

【短編小説】『もし自己肯定感の高さが見える世界になったら』3

【MMD】Novel Jiko Koutei SamuneSmall1.png

【第2話:小心者とバレる世界】からの続き

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<登場人物>

沢田 イリス
 主人公
 23歳、身長145p
 怖い父親の影響で、大人になっても男性恐怖に悩む


<この世界へ普及している発明品>
 『プライド・ビューワー』

 スイッチを入れると
 相手の自尊心(自己肯定感)の高さが可視化される
 高い⇒バスケットボールより大きく
 低い⇒ゴルフボールより小さく

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【第3話:自己否定と逆ギレの果てに】



<ある朝・通勤電車>

女性
『あのー、少し詰めてもらえませんか?』


男性
『(ムッ…)……。』


男性は、ドカっと広げた足を閉じることを、無言で拒否した。
むしろ腕を組み、ますますふんぞり返って見せた。

女性がプライド・ビューワーのスイッチを入れると、
モデルガンの弾ほどの、小さな自尊心が映し出された。

(クスクス…。)
(やっぱりねぇ…虚勢を張る男ってカッコ悪い…。)


ひそひそと、周囲からそんな会話が聞こえてきた。

男性
『おい!よくもバラしたな!』


突然の、男性の逆ギレ。

女性
『はぁ?!何をエラそうに。』
『ほんとは怖いんでしょ?見えてるよ?あんたの小っさい自尊心。』


男性
『うぐッ…お、お前、誰に向かって…!』
『オレは大手●会社の部長だぞ?!』


女性
『肩書きがないとイバれないの?』
『公共の場で他人の迷惑も考えられないくらい、”心のヨユー”がないくせに!』


車内は騒然となった。

その後、通勤のイライラを抑えていた他の乗客も参戦。
大ゲンカになり、電車は1時間近く止まってしまった。

私は大遅刻。
その後、店長に理由を説明すると、

書店店長
『仕方ないよ。この手の電車遅延、最近すごく多いから。』
『沢田さんは初めて?』


イリス
「初めてです…。」


書店店長
『そうか。さっき聞いたようなケンカが大半の原因らしいよ。』
『今後もよくあるだろうから、気にしなくていい。』



ーー


<その日の夜>

イリス
「仕事終わったー。」
「今日は朝から疲れた…。あんなケンカ、初めて見た。」


あまりお酒を飲まない私だけど、今日は飲みたい気分。
明日に引きずりたくないし、1人飲みしてスッキリしよう。

私は、お気に入りのダイニングバーで、まったりしていた。
すると、近くの席の男性の声がした。

男性
『おーい、そこのキミ!注文!早く来て!』


女性店員
『は、はい!お待たせしました!』


男性
『ったく…遅いんだよ。呼ばれたらさっさと来いよ。』


女性店員
『も、申し訳ございません!』


同席の女性
『ちょっと!この方、他のお客さんの対応してたじゃないの。』
『それくらい待てばいいでしょ?!』


男性
『オレが呼んだんだから、優先して来るのが当然だろ?』


同席の女性
『当然じゃないし!店員さんに失礼な態度はやめなよ…。』


同席の女性は、男性を止めようとしたが、
彼は終始、横柄だった。


聞こえてくる限り、お店側に非はない。

私はこっそり、プライド・ビューワーのスイッチを入れた。
男性の自尊心は、とても小さく映っていた。



店長
『失礼ですが、お客様。』
『当店スタッフへの、あのような態度はお止めください。』


涙目の女性店員さんが、店長を呼んできた。

男性
『な…?!て、店員のくせに、客に口答えか?!』


店長
『当店では正当な理由がない場合、毅然とした対応をすることにしています。』


男性
『こ、こっちは金を払うんだぞ?お客様は神様だろうが?!』


店員
『おや?また小さくなりましたね?お客様の自尊心。』


同席の女性
『ねぇ、いい加減やめなよ!全然かっこよくないよ!』
『店長さん、ほんとにごめんなさい!』


その後、2人は申し訳なさそうにお店を立ち去った。
男性は冷や汗をかき、背中を自信なさげに丸めていた。


ーー


プライド・ビューワーを開発したチームの
『自尊心の低さからくる”攻撃性”に怯える人を救いたい』
という目的は、見事に達成された。

今までは、理不尽でも
「態度や声が大きい者」が得をする社会。
ぶつけられる方は耐えるしかなかった。

それがプライド・ビューワーのおかげで、
「弱い自分や、なけなしのプライドを守るため」
だとわかるようになった。

人々は心理的にも、
理不尽には「No」と言える気運が高まった。



ただ、

自尊心が低い人の行動心理が可視化されたことで、
新たなトラブルも発生した。

自尊心が低いと「0か100か思考」になりやすい。
反撃されると「自分自身が否定された」と拡大解釈し、
逆ギレする人が続出した。


逆ギレした男性が白熱し、
暴力事件に発展するケースも増えた。

イリス
「多少のトラブルは増えたけど…。」
「私にとっては良いことの方が多いかなぁ。」


そう、私はプライド・ビューワーのおかげで、
長年の男性恐怖を克服できそうなのだ。

そして、

イリス
「もう、男の人なんて怖くないから、恋愛…してみようかな。」
「大丈夫!相手の低い自尊心を刺激しなければいいんでしょ?簡単!」


”私だけは大丈夫、トラブルなんか起こさない”

私はそう勘違いをしたまま、長年諦めてきた恋愛へ突き進んだ。
私の自尊心が、少し小さくなったことに、気づかないまま。



【第4話:”私だけは大丈夫”という自惚れ】へ続く

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理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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