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2023年07月26日

【短編小説】『もし自己肯定感の高さが見える世界になったら』1

【MMD】Novel Jiko Koutei SamuneSmall1.png

<登場人物>

沢田 イリス
 主人公
 23歳、身長145センチ
 怖い父親の影響で、大人になっても男性恐怖に悩む
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【第1話:行動心理学界の”iPhone”】



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 ”比較”は、喜びを奪う泥棒だ』


 第26代アメリカ合衆国大統領:セオドア・ルーズベルト

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私は沢田 イリス
本が好きで、書店で働いている。

いきなりだけど、私は男性が怖い。

男性の大きな声や、高圧的な態度を見聞きすると、
背筋が凍ってしまう。

私の身長は145センチ。
たいていの男性から見下ろされる。
だから男性とすれ違うだけでも怖い。

相手には何の非もないので、申し訳ない気持ちになる。



私の男性恐怖のルーツはたぶん、
いつもイライラしているお父さんを見てきたこと。


お父さんは私に手を上げたことはない。

けど、モノに八つ当たりしたり、
お母さんに高圧的な態度を取ったりしていた。

お父さんは時間や規則に厳しかった。
門限を過ぎると家に入れてもらえなかったり、
就寝時間を過ぎると押し入れに閉じ込められたりした。

「いつでも手を出せるんだぞ」
そう態度で示しながら、実際には手を出さない。
私は、そんなお父さんがいつ爆発するかと怯えていた。

私にとって、家は安心できる場所ではなく戦場だった…。


ーー


通勤電車で、
足を広げてドカッと座る男性がよくいる。


本人は無意識かもしれないけど、
「オレは強いぞ」という威圧感がある。

私はその姿に、お父さんを重ねてしまう。
恐怖で意識を失いそうになる。

車内が混んでいて離れられないときは、
降車するまで、ぐっとこらえる。



仕事中、たまにレジカウンターで、
大声でクレームを言ってくる男性がいる。


この前、古本の買取金額に納得できないお客さんが、
レジにいた私に怒鳴ってきた。

「おい!この本がどうしてこんな安値しかつかないんだよ?!」

その男性はたぶん50代、身長は160センチくらい。
普段は控えめで、おどおどしてそうな見た目。

だから、豹変した姿が余計に怖かった。

力を行使してきそうで、態度だけに留める。
その姿が、やっぱりお父さんと重なった。

幸い、店長が助けてくれたけど、
その後、私はバックヤードで泣いた…。


ーー


私は、男性には”小動物”に見えるみたい。
だからか、学生時代に何度か交際を申し込まれた。

私を好いてくれることは嬉しい。
なのに、私に告白してくる男性は皆、短気で暴力的な人。

そういう人は、すぐわかる。
お父さんと同じ空気をまとっている。

結局、すべて断ってしまった。
いま思えば、DVを回避できてよかった。

けど、私は恋愛に興味津々な時期を、
交際経験ゼロで過ごすことになってしまった。



ーーーーー



<ある朝>

イリス
「はぁ…またあの人が来たら怖いなぁ…。」


前日、件のクレーム男性がまた来店し、ひと暴れした。
このとき私は遠くにいたけど、やっぱり怖かった。

暗い気持ちのまま、出勤の準備をしていると、
ある新製品のニュースが私の目に留まった。



『世紀の発明ふたたび!行動心理学界の”iPhone”』



イリス
「行動の…心理?」


その製品は、
自分や相手の自尊心・自己肯定感の高さが可視化される、

『プライド・ビューワー』

スイッチを入れると、その人の胸のあたりに、
自尊心の高さがボール状に表示される。

自尊心が高い人は、バスケットボールより大きく。
低い人は、ゴルフボールより小さく。

さらに、”行動心理の解説機能”も付いている。

オンにすると、AIが過去の心理研究結果を参照し、
その人の行動のウラにある心理を解説してくれる。

イリス
「これ…今の私にぴったりかも…!」




プライド・ビューワーを開発したチームは、
記者会見で目的を語った。

『自尊心の低さからくる”攻撃性”に怯える人を救うため。』

イリス
「??どうして自尊心の”低さ”から?」


頭に「?」が浮かぶ私をよそに、研究チームは続けた。

研究チーム
『他者を攻撃するのは、多くの場合、他者への怯えからだ。』
『弱い自分を守るため、攻撃される前にこちらから攻撃する。』
『自信のない者ほど、それを悟られないよう、自分を大きく見せようとする。』


イリス
「そうだったの?!」


研究チーム
『我々は、一見強そうな者からの攻撃に怯える人を救いたい。』
『彼らの行動の背景を知ることで、自らの心に余裕を生み出してほしい。』


イリス
「強い人が、弱い人を攻撃するんだと思ってたけど、違った…。」
「弱い人が、弱さを隠したくて攻撃するんだ…!」


私の目から、複数のウロコが落ちた。
今まで私は、必要以上に男性に怯えてきたのかもしれない。

確かに、力では男性に敵わない。

けど、プライド・ビューワーがあれば、
相手が本当は自信がないことが”見える”。


私、もしかしたら男性恐怖を克服できるかも!



【第2話:小心者とバレる世界】へ続く

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理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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