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2023年07月12日

【短編小説】『恋の麻酔と結婚教』1

【MMD】Novel Koino Masui SamuneSmall2.png

<登場人物>
白神 想虹亜(しらかみ そにあ)
 主人公
 20歳、大学生、文学部在籍
 中学生時からWeb小説家として活動

秋月 心楽(あきづき みらん)
 主人公と同じ大学に通う幼馴染み
 20歳、デザイン学部在籍
 イラストレーター志望
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

フランス劇作家 アルマン・サラクルーの言葉

 「結婚は判断力の欠如」
 「離婚は忍耐力の欠如」
 「再婚は記憶力の欠如」



【第1話:ずっと一緒 ≠ 幸せ】



<とある映画館>

 恋愛映画の主人公
 ー ずっと…一緒だよ。 ー
 ー これからも、きみの隣で、支えていきたい。 ー

 ウエディングドレス姿のヒロイン
 ー…うん!ずっと一緒…! ー

 ー完結ー



心楽(みらん)
『はぁ…よかったぁ…。私もこんな恋がしたい…。』
『素敵な人と巡り逢って、ずっと一緒にいたい…。』


想虹亜(そにあ)
「あはは…そう、だね…(苦笑)」


心楽(みらん)
『まーたそんな顔して。』
『納得いってないんでしょ?結末に。』


想虹亜(そにあ)
「うん…心楽(みらん)には、お見通しだね。」


心楽(みらん)
『長い付き合いですから。』
『いつもの”それの何が幸せなんだろう?”って疑問でしょ?』


想虹亜(そにあ)
「そう…だね。」


心楽(みらん)
『あんたならそう言うと思った(笑)』


想虹亜(そにあ)
「ごめんね心楽(みらん)、小説の研究に付き合ってもらったのに。」


心楽(みらん)
『気にしないで!映画、おもしろかったし。』
『私もイラストの参考になったから!』


想虹亜(そにあ)
(ハァ…。あんなに素敵な恋愛映画を観ても、感想がこれだもん…。)
(私って、ズレてるのかな…?)



ーー


<小説読者からのDM>

読者
『ソニア先生の作品って、恋愛モノが少ないですよね!』
『ソニア先生なりの恋愛小説を読んでみたいです!』


想虹亜(そにあ)
「あ、執筆のリクエスト来てる。また恋愛モノかぁ…。」
「気が進まないけど、書いてみるか…。」


数ヶ月後。

読者
『何か、想像してたのと違います。』
『もっとドキドキや、キュンとする展開がほしいです。』
『おもしろいですがリアル過ぎて、救いがない感じがします。』


想虹亜(そにあ)
「うーん…やっぱり不評…。」
「心楽(みらん)と恋愛映画を観に行って研究したのになぁ。」
「はぁ…どうして私って、”結ばれる=幸せと思えない”んだろ…。」



ーー


などと悩んでいる私は
白神 想虹亜(しらかみ そにあ)、Web小説家。

空想少女だった私は、
幼い頃から物語を作るのが好きだった。

中学生のときに小説投稿サイトを知り、
作品投稿を始めた。

最初の数年はまったく読者がいなかった。
けど、

きれいごと抜きの心理描写や、
バッドエンド寄りな作風が、一部から熱い支持を得た。

おかげで、今ではネット小説界隈で
それなりの人気作家になっている。



そんな私が唯一、苦手なジャンルは恋愛モノ。

特に「ハッピーエンドのラブストーリー」は、
書いている自分でも”上辺だけの幸せ”と思ってしまう。


ネットで人気が出るにつれ、
執筆のリクエストをもらう機会が増えた。
特に恋愛モノのリクエストが多い。

そのたびに恋愛小説を投稿してみても、
お世辞にも好評とは言えない。


ーー


<大学>

心楽(みらん)
『想虹亜(そにあ)、おつかれー。お昼いこ!』


想虹亜(そにあ)
「おつかれ。うん、いこ!」


大学で、私を昼食に誘ってくれた彼女は、
秋月 心楽(あきづき みらん)

小学校から大学まで同じで、何でも話し合える親友。

心楽(みらん)はデザイン学部でイラストの勉強をしている。
大きな賞を取ったことはないものの、かなり上手い。

アニメ研究サークルでは人気No.1で、
イラストレーターを目指している。

私たちは学外でも定期的に遊ぶ傍ら、
お互いの作品を見せ合っている。



想虹亜(そにあ)
「心楽(みらん)のイラスト、また即売会で完売でしょ?」
「すごいよね!昔から上手かったけど、ますます上手くなってる!」


心楽(みらん)
『ありがと(照)』
『想虹亜(そにあ)の新作も読んだよ!』
『私は好きだけど…また不評だったの?』


想虹亜(そにあ)
「うん…ドキドキがないとか、もう少し救いがほしいとか。」


心楽(みらん)
『あー、確かに。いかにも”ラブストーリー”って感じではないよね。』
『原因はやっぱりアレ?』


想虹亜(そにあ)
『そう。わかってるけど、いざ書くとどうしても”上辺だけ”になっちゃう。」


心楽(みらん)
『うーん…そのドキドキが恋愛の醍醐味だけど…。』
『焦る必要はないんじゃない?ゆっくり考えていこうよ。』
『私も、納得いかない作品を出したときはモヤモヤするし。』


想虹亜(そにあ)
「そうだよね。焦らなくていいよね…。」




ーー


私が「ハッピーエンドのラブストーリー」を
書くのが苦手な理由はわかってる。

多くのラブストーリーが
「2人がお付き合いを始めたり、結婚したりするところ」
までしか描かれないことに納得いってないから。

そして、”それの何が幸せなの?”と思ってしまうから…。


私の生い立ちを知っている心楽(みらん)は理解してくれる。
けど、他の友人に話すと『なんで?』という顔をされる。

ついこの間も、こんなことがあった。


ーー


想虹亜(そにあ)
「ラブストーリーの終わり方っておかしくない?」
「どうしてスタートラインに立つまでで終わりなんだろ?」


友人
『おかしいかなぁ…?』
『互いにドキドキして、もどかしかったり、嫉妬したりして…。』
『その期間が恋愛で1番楽しいじゃない?だからそこを描くわけよ。』


想虹亜(そにあ)
「うーん…告白OK、プロポーズ成功が”幸せ”かなぁ?」


友人
『なんで?告白OKもらったのよ?プロポーズ成功したのよ?』
『ずっと一緒にいられるのよ?どう考えても幸せじゃん?』


想虹亜(そにあ)
「それって、自分から自由を捨てて縛られにいく行為だよね。」


友人
『そういう一面もあるかもしれないけど、好きな人と結ばれるんだよ?』
『その門出は十分幸せだから、そこで完結でいいじゃん。』


想虹亜(そにあ)
「恋愛熱の麻酔がかかった状態で”幸せの絶頂・完結”っておかしくない?」
「数年以内に恋の麻酔が切れて、正気に戻ってからの人生の方が長いんだよ?」


友人
『そうだけどさぁ…もう少し夢を見させてくれない?』
『たまには現実を忘れて、ドキドキしたいわけよ。』


こんなやり取りをして、友人に引かれてしまった…。



こんな私が書く恋愛小説が不評なのは当然だ。
作者自身が、納得いく結末の答えを出せていないんだから。

きっと読者にも、私の矛盾が伝わっているんだろう…。

シリアスな作品や、バッドエンドを迎える作品は、
相変わらずその筋のファンから支持されている。

私の作家としての全体的な人気や、
投稿サイトでのランキング順位は上がり続けた。

けど、恋愛小説だけは苦手なまま。
登場人物に”ウソっぽい幸せ”しか迎えさせてあげられない。


私は作家として、それが苦しかった。

近い将来、こんな私に”光栄な話”が来るなんて、
思いもしなかった。



【第2話:売れ線 ≒ 結婚教信者向け?】へ続く

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理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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