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2023年05月26日

【短編小説】『孤独の果てに自由あり』1

【MMD】Novel Jiyu SamuneSmall1.png

<登場人物>
白林 由羽璃(しらばやし ゆうり)
 主人公
 厳格な両親からの圧力や社会の歯車に疲れ、
 自由な人生とは何かを考え始める

リベルタス
 自由を司る女神
 ブラック企業で消耗する主人公に声をかけ、
 自由の歴史を見る旅を持ちかける

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【第1話:”自由の歴史を見る旅”への出発】



私は白林 由羽璃(しらばやし ゆうり)
24歳、一人暮らし。

大学卒業後、ブラック企業の社畜をしている。
毎日、遅くまで残業。上司のセクハラ、パワハラは日常。

それでも辞める勇気が出ないまま、2年目に突入。
完全に抜け出すタイミングを失った…。



私の両親は、とても厳しかった。

幼い頃から塾に入れられ、
とにかく勉強して上を目指せと言われた。

門限も厳しく、
友達と遊ぶこともあまり許されなかった。

それで友達から敬遠されて、学校の居心地が悪かった。
けど、親は私が学校を休むことも許さなかった…。

私は勉強よりも、
絵を描いたり作品を作ったりするのが好きだった。
創作しているときが唯一、私が私でいられる気がした。


けど、美術の授業で描いた絵を見せても、
親は褒めてくれなかった。

それどころか、
「こんなことは時間のムダだ!もっと有意義に使え!」

私は、息苦しさでどうにかなりそうだった。
親の鳥カゴから逃れたくて、懸命に勉強した。

勉強して大学に入って、家を出て就職する。
住む家にもお金にも余裕ができれば解放される。
自由になれると信じていた。

なのに…。



いざ就職すると、そこに自由なんてなかった。

社会の歯車として、
「無機質な部品」でいることを求められる毎日。

愛想笑いを強要され、
自分を出すことをとことん押さえつけられる毎日。

「普通はこうすべき」
「常識的に考えて」
「社会人として」
「いい大人なら」


見えない圧力。
「こうあるべき」を次々に押しつけられる。

それがイヤで、みんなと違ったことをしてみると、

「非常識」
「変人」


”気にしなければいい”ができれば、どんなに楽だろう。
それができない私は、どんなに無力だろう…。



あぁ…もうイヤ…。がんじがらめ。

社会が求めるのは自由ではなく歯車。
私の代わりはいくらでもいる。

背後には巨大資本。抗えるはずもない。
生活の糧という”人質”を握られている。

由羽璃(ゆうり)
「私はなんて無力なんだろう。」
「私は一生、自由になれないの?」
「こんな人生があと60年も続くなんてイヤ。」


私が暗い自室で絶望していた、そのとき、


ーー


『自由になりたいですか?』

突然、目の前に
白いローブをまとった女性が現れた。

由羽璃(ゆうり)
「だ、誰ですか?」


女性
『私はリベルタス。自由を司る神です。』


由羽璃(ゆうり)
「女神…さま…?」


…私、いよいよ壊れたかな…。
都合のいい幻覚が見えるなんて。

リベルタス
『あなたの過去を見せてもらいました。』
『とても窮屈な人生を送ってきたのですね。』


由羽璃(ゆうり)
「はい…。」


リベルタス
『それで自由になりたいと、こんなにボロボロになって…。』


由羽璃(ゆうり)
「あはは…もう、会社を辞める気力もなくて…(泣)」


リベルタス
『わかりました。力になりましょう。』
『ところで、自由とは何ですか?』


由羽璃(ゆうり)
「え?!自由とは…?」(あれ?わからない…。)


私はすぐに答えられなかった。
こんなにも自由になりたいはずなのに。


由羽璃(ゆうり)
「うーん…家族や、仕事や、社会の圧力から自由になりたい、です…?」


よくわからない、やっと絞り出した答え。

リベルタス
『うふふ、ごめんなさいね、変な質問をして。』


由羽璃(ゆうり)
「いえいえ!私こそ、不勉強でごめんなさい!(汗)」


リベルタス
『いいのよ。あなたのように、不自由に悩んでいる人はたくさんいます。』
『自由に思いをはせながら、毎日を自動人形のように過ごす人たちが。』


由羽璃(ゆうり)
「そうですよね…。わかってます。」
「みんな我慢して、自分を押さえつけて、必死に生きてるって。」


リベルタス
『ええ。あなたは特に危なかったの。』
『もう潰れそうだったから声をかけました。』
『あなたに見てもらいたいものがあってね。』


由羽璃(ゆうり)
「見るって、何をですか?」


リベルタス
『自由の歴史よ。』


由羽璃(ゆうり)
「歴史?」


リベルタス
『ええ。自由がどう考えられてきたか。』
『あなたが自由を手に入れるためにも、見てみたくはありませんか?』


由羽璃(ゆうり)
「過去へ…行くってことですか?」
「戻って来られるんですか?!(汗)」


リベルタス
『もちろんよ。私は神だから。』


信じられないけど…まぁいいや。

このままじゃ、私の人生なんて先が見えてる。
それならいっそ、悔いを残さないように。

由羽璃(ゆうり)
「行きます。見せてください、自由のカタチを。」


リベルタス
『(クスッ)、度胸あるのね。』
『では、いってらっしゃい。まずは中世ヨーロッパへ。』


女神さまの声が途切れると、心地よい眠気が襲ってきた。

こうして、ブラック社畜だった私は、
唐突に「自由を見る旅」へ出ることになった。




【第2話:中世ヨーロッパ、”選べない”という安心】へ続く

⇒この小説のPV

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理琉(ワタル)
自閉傾向の強い広汎性発達障害。鬱病から再起後、低収入セミリタイア生活をしながら好きなスポーツと創作活動に没頭中。バスケ・草野球・ブログ/小説執筆・MMD動画制作・Vroidstudioオリキャラデザインに熱中。左利き。 →YouTubeチャンネル
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