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タグ / 槍

記事
不死鳥の槍 [2017/03/08 00:00]
とある辺境の国に死をも恐れぬ戦士がいた。戦士の屈強な体は弓等では射抜けぬと思えぬ程に頑丈だった。その為、戦士は常に戦場の真っただ中に身を置いていた。 ある時戦士の夢に美しい小鳥が現れた。小鳥は、その勇猛な戦いを褒め称え「戦が終結し平和な世界となる事」か「不老不死の体」どちらかの願いを叶えようと囁いた。戦士は「不老不死の体」を欲した。 それからの戦士の戦いぶりは目を見張るものであった。敵を草を刈るようになぎ倒し、いくら弓を射たれてもいくら太刀を浴びても平然と敵の真っ只中を切..
草原の竜騎槍 [2017/03/07 00:00]
王は老いていた。精悍だった眼差しからは光が失われ、逞しい体は見るも無残に弛みきっている。そして、老いるに従って身につけた虚栄や恐怖が、王の心を醜く蝕んでいた。王は怖かった。だから守るべき領土を失わないように周辺諸国への侵略を繰り返した。王は怖かった。国民の声も家臣の言う事も信用ならなかった。だから暴力と圧政で全てを奪い取ろうとした。 王に忠誠を尽くす竜が居る。翼の無い竜は王の言う事なら何でも従った。彼は王に救われた恩義が故に、魂で報いる事を誓ったのだ。たとえそれが目に余る愚..
兵士長の聖槍 [2017/03/06 00:00]
兵士長はその「生」を踏みにじる 他者の悲鳴は歓喜の歌へ 流れる涙は絶望から闇へ 戦いは復讐を呼び、新たなる孤独を生み出す
百獣の双槍 [2017/03/05 00:00]
むかしむかしある王国に3人の兄弟がいました。3兄弟の三男は毎日寝て暮らすなまけ者でした。でも、三男はとても陽気だったのでみんなに好かれていました。 国に病気が流行った時も、三男は王宮でゴロゴロしながら鼻歌鳴らすだけ。でも街の人は三男の陽気な歌声に癒されるようだと三男の事を褒め称えます。あの人は立派だよ本当に立派だよ。 国が戦争に巻き込まれた時も、三男は病気でゴロゴロしながら昔話をするだけ。でも町の人は三男の面白い話で戦争のつらさも忘れる事が出来ると慰め合いました。あの人は..
日出国の魔刃 [2017/03/04 00:00]
遠い昔、黄金の島と呼ばれた国であらゆる金銀宝玉を溶かして作り上げられた刃。そのあまりの切れ味の鋭さでわずかでも切り傷をつけられると、傷が縫合できずそこから全身の血が流れ出てしまうほどであった。 その刀が何の奇縁か貧しい身売りの女の手に渡ったときのこと。身の丈ほどもある刀を自在に操れない女は自分の床に刀をしのばせ、身体に触れる男にその刃を向けた。男達は知らぬ間に切られ、痛みも感じず血を抜かれて絶命していった。そして遺体から金銭を抜き取り、女の私腹は肥えていった。 やがてその..
王妃の玉座 [2017/03/03 00:00]
ある王妃が暮らす王国の隣の共和国が以前同盟を結んでいた国の南方にある海に浮かぶ小さな島の村と交易を結ぼうとしていた村が所属する地方都市が組み込まれた都市国家の一番北にある国と同じくらいの緯度にある小国での出来事。 その国の王様の妻の弟の従兄弟の兄の娘婿が迎えた養子が恋をした吟遊詩人の奏でる詩に登場する美しい王妃に恋をした愚かな使用人の主人の妻の不倫相手の子供をお守りしていた乳母がよく買いに行く道具屋の主人が言いました。 この包丁を研いだ砥石を作る時に出来た破片を使って掘り..
王位簒奪者の槍 [2017/03/02 00:00]
ある国で王子の影武者をしている男がいた。男は毎日の様に王子の代わりに公務を行っていた。今日も仕事を終えて王子の元へ帰ると部屋に裸の女が寝ている。女は王子の妹姫だった。呆然とする男に、同じ顔の男はへらへら笑いながら行為に誘ってきた。 男は王子の妹姫に恋をしていた。自分を兄として慕ってくれる妹姫も自らを愛してくれていると感じていた。たとえ偽物の姿を通してでも、最低な王子のために命をかける男にとって、彼女は唯一の生きる糧だった。 王子が戦争で指揮を執ることになった。役目のために..
侘寂 [2017/03/01 00:00]
その民は恐ろしいほどに勤勉だった。必要も無いのに森を切り開き、動物を狩った。食べ切れない食料を保存する技術を身につけ、不必要なほどにお金を儲けようとした。しかし誰一人疑問を口にする者はいない。何故ならみんながそうしていたから。 その民は恐ろしいほどに勉強した。何にも使えないような数の計算や未来の予想を繰り返しては議論を繰り返していた。難しい言葉をいくつも生み出し、複雑な機械を沢山作ってはすぐに捨てていた。しかしそれを振り返る者は誰もいない。何故なら誰も気にかけていなかったか..
ファイブの槍 [2016/02/14 00:00]
【DoD3】♪01 出蠢/ファヌエル〈ウタウタイモード〉サントラ未収録 この世の中退屈なんてあるのかしら?ファイブとつくからには姉が5人。欲しいものは5つ。 ゼロお姉様は全て欲しいわ。だって強くて素敵なんですもの。ワンお姉様の知性は欲しいわ。あるに越したことはないもの。 トウお姉様からは眩しい笑顔が欲しいわ。私とは少し違う笑顔なんですもの。スリイお姉様からは手先の器用さかしら。あとはよく分からないもの。 フォウ姉様からは何を頂こうかしら。ふふ、ハジメテでも..
エリスの槍 [2016/02/13 00:00]
私の目指すものは高潔なる意志、騎士の宿命。幼いころから共に歩んだ、盟友の名を胸に私はこれからも進み続けます。 私の望むものは、淡い今が続く事。尊く重たい宿業から目を逸らし続ける事を望むのは、いつかきっと罰が下るでしょうけど。 私を追い立てるのは焼け焦げるような羨望。この身を苛む女の血が呻いている。いつか、私を置いて生きてゆく二人への呪い。 私に残されたのは、微かな誇り。身体中を痛みが支配するけれど、あの眼差しに映る私は、どうかいつまでも、あの日のままの私でありますように..
聖帝の涙 [2016/02/12 00:00]
豊穣を約束された土地を巡り幾多の争乱と屍の山を越えてきた。その地を手にした先王の死を看取った若き王は家臣に命を下す。「約束の地を焼き払う」静かだが凛と響く声だった。 家臣も民も誰も異を唱える者はいなかった。火は放たれる。緑の木々が燃える。動物達が逃げ惑う。豊穣の証が灰になる。先王が死にもの狂いで守った大地は荒れた焼け野原となる。 若き王は燃え上がる炎をいつまでも眺めていた。その後土地は封鎖され永世中立地となる。やがて年月は過ぎ約束の地は再び緑の楽園となった。その奥深くに一..
終焉の警鐘 [2016/02/11 00:00]
それは、ある槍の物語。ある男の手に渡った、ある槍の物語。男は知らなかった。自身の刻に終わりが近付いていることを。槍は知っていた。男の刻に終わりが近付いていることを。 男は愛していた。その槍を振るう度に鳴る儚くも美しい音色を。そして槍はなき続けた。男に終わりを告げようと。いつしか男は息絶えた。激しい戦場で愛する槍の音が鳴り響く中。 それは、終わりの物語。ある男の刻が終わった物語。冷えた肉塊になってしまった男の横で、槍は568番目の持ち主の死を、ただ静かに嘆き哀しんだ。 槍..

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