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記事
不死鳥の短剣 [2018/01/04 00:00]
式のその日に親を殺され、愛を誓う男を殺され、それらの死骸の前で犯された娘がいた。「奴らを殺せるのなら死んでもかまわない」そう願う娘の前に光り輝く小鳥が現れた。 「叶えましょう。その剣に願い続ければきっと」小鳥は娘に短剣を授けた。娘はそれをかき抱き、涙ながらに呪詛を吐く。 時が経ち、復讐を果たした娘は老女になっていた。再び小鳥が現れる。「願いは?」そう言われても、老女には何の事だかわからない。そういえば、大事にしていた短剣はどこに? その夜、老女の家に強盗が押し入った。娘..
百獣の剣 [2018/01/03 00:00]
むかしむかしある王国に三人姉妹の王女がいました。三姉妹の二女は賢くはないけど世界一美しいと評判で、隣国の王の下へと嫁ぎました。 隣国の王は二女の美しさをこの上なく愛しました。毎日六回は新しいドレスに着替えさせ、毎日八回は新しい花を贈ります。愛される喜びに、二女の美貌は輝きを増していきました。 王の為にも美しくありたいと願う二女は、ありとあらゆる方法で美の技を求めます。しかし永遠に美を保つ術だけは手にできません。そんなある日、二女は妙案を思いつきました。 二女は自らをはく..
鉄パイプ [2018/01/02 00:00]
もし、おにいちゃんがね、さむいさむいって言ってたらこのボウシをお兄ちゃんにあげるの。だっていちばん大事なおにいちゃんだから! もし、おにいちゃんがね、オナカへったよーオナカへったよーって言ってたらこのクッキーあげるの。だっていちばん大好きなおにいちゃんだから! もし、おにいちゃんがね、こわいよーこわいよーって夜に泣いてたらね。いっしょに毛布にはいってあげるの。だっていちばんなかよしなのは、おにいちゃんだから! だからね、おにいちゃん。どこにもいかないでね?ヨナを、ひとり..
信義 [2018/01/01 00:00]
遥か東の国の都に歌を詠むことで生計を立てている歌人がいた。しかし彼の歌は人々の心に届かず金にはならない。日々の生活は苦しくなるばかりだった。 己が才の限界を感じた男はやがて筆を折り、畑を耕すようになっていった。真っ白だった肌は日に焼けて黒くなり、華奢だったその身体は力仕事で逞しくなってゆく。 やがて男は妻を娶る。気立ての優しい穏やかな妻だった。数年後には子宝にも恵まれた。平和な日々が通り過ぎてゆく。男は知った。これ以上の幸せはないと。 そこまで書くと歌人は筆を置き紙を飲..
愚者の盟約 [2017/03/10 00:00]
これは悲しい王子のお話。遠い昔にあったある王国の物語。闇の軍勢に攻め寄せられたその国は、赤き目をした人外の兵と空を覆う黒き竜の大群によって一夜の内に崩壊する事となった。敵の侵入を許した王の城では王と王妃が見るも無惨に黒竜の爪によって腹を引き裂かれ、あたり一面は血の海の様になったと言われている。王子と妹姫は辛くも生き延びる事が出来たが、惨劇を目にした王子はその衝撃故に復讐の鬼となってしまう事になる。 これは恐ろしい王子のお話。遠い昔にあったある戦いの歴史。憎き敵兵を殺す事に執..
迷宮の息 [2017/03/09 00:00]
その女はどうしようもなくのろまだった。不器用で何をするにも人の3倍以上の時間がかかる。歩くのもゆっくり。話すのもゆっくり。瞬きするのもゆっくり。水汲みひとつ満足に出来ない有様だった。子供達に「ウシ」と呼ばれて嗤われてもエヘラエヘラと笑い返すばかり。 その女はどうしようもなく鈍かった。転んで血を流してもボンヤリしていた。頻繁に金を落とすくせに一度も取り戻せた事は無かった。目の前で誰かが女の悪口を言っていてもそれが悪口だと判るまでに半日以上の時間がかかった。子供達は女を見ると喜..
不死鳥の槍 [2017/03/08 00:00]
とある辺境の国に死をも恐れぬ戦士がいた。戦士の屈強な体は弓等では射抜けぬと思えぬ程に頑丈だった。その為、戦士は常に戦場の真っただ中に身を置いていた。 ある時戦士の夢に美しい小鳥が現れた。小鳥は、その勇猛な戦いを褒め称え「戦が終結し平和な世界となる事」か「不老不死の体」どちらかの願いを叶えようと囁いた。戦士は「不老不死の体」を欲した。 それからの戦士の戦いぶりは目を見張るものであった。敵を草を刈るようになぎ倒し、いくら弓を射たれてもいくら太刀を浴びても平然と敵の真っ只中を切..
草原の竜騎槍 [2017/03/07 00:00]
王は老いていた。精悍だった眼差しからは光が失われ、逞しい体は見るも無残に弛みきっている。そして、老いるに従って身につけた虚栄や恐怖が、王の心を醜く蝕んでいた。王は怖かった。だから守るべき領土を失わないように周辺諸国への侵略を繰り返した。王は怖かった。国民の声も家臣の言う事も信用ならなかった。だから暴力と圧政で全てを奪い取ろうとした。 王に忠誠を尽くす竜が居る。翼の無い竜は王の言う事なら何でも従った。彼は王に救われた恩義が故に、魂で報いる事を誓ったのだ。たとえそれが目に余る愚..
兵士長の聖槍 [2017/03/06 00:00]
兵士長はその「生」を踏みにじる 他者の悲鳴は歓喜の歌へ 流れる涙は絶望から闇へ 戦いは復讐を呼び、新たなる孤独を生み出す
百獣の双槍 [2017/03/05 00:00]
むかしむかしある王国に3人の兄弟がいました。3兄弟の三男は毎日寝て暮らすなまけ者でした。でも、三男はとても陽気だったのでみんなに好かれていました。 国に病気が流行った時も、三男は王宮でゴロゴロしながら鼻歌鳴らすだけ。でも街の人は三男の陽気な歌声に癒されるようだと三男の事を褒め称えます。あの人は立派だよ本当に立派だよ。 国が戦争に巻き込まれた時も、三男は病気でゴロゴロしながら昔話をするだけ。でも町の人は三男の面白い話で戦争のつらさも忘れる事が出来ると慰め合いました。あの人は..
日出国の魔刃 [2017/03/04 00:00]
遠い昔、黄金の島と呼ばれた国であらゆる金銀宝玉を溶かして作り上げられた刃。そのあまりの切れ味の鋭さでわずかでも切り傷をつけられると、傷が縫合できずそこから全身の血が流れ出てしまうほどであった。 その刀が何の奇縁か貧しい身売りの女の手に渡ったときのこと。身の丈ほどもある刀を自在に操れない女は自分の床に刀をしのばせ、身体に触れる男にその刃を向けた。男達は知らぬ間に切られ、痛みも感じず血を抜かれて絶命していった。そして遺体から金銭を抜き取り、女の私腹は肥えていった。 やがてその..
王妃の玉座 [2017/03/03 00:00]
ある王妃が暮らす王国の隣の共和国が以前同盟を結んでいた国の南方にある海に浮かぶ小さな島の村と交易を結ぼうとしていた村が所属する地方都市が組み込まれた都市国家の一番北にある国と同じくらいの緯度にある小国での出来事。 その国の王様の妻の弟の従兄弟の兄の娘婿が迎えた養子が恋をした吟遊詩人の奏でる詩に登場する美しい王妃に恋をした愚かな使用人の主人の妻の不倫相手の子供をお守りしていた乳母がよく買いに行く道具屋の主人が言いました。 この包丁を研いだ砥石を作る時に出来た破片を使って掘り..

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