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2015年04月03日

鷹羽根の槍

雨の日に目が覚めた。見上げると、自分がさっきまでいた巣と兄弟達が見える。どうも落っこちたらしい。狭い巣だったのでこうなるのは目に見えていたが…。体が濡れて冷えてきた。生まれて二ヶ月短い人生。「こんなもんか…」諦めかけたその時、親鷹が帰ってきた。彼らはちらりとこっちを見たがすぐに兄弟達の方に向き、兄弟達に餌を与えだす。

かわいく鳴いたが見向きもしない。「いよいよだ」と思ったその時目の前に閃光その後に轟音、木が燃える。木に落雷したらしい。もちろんその上には兄弟達がいる巣がある。「逃げなければ」必死でバタバタと羽を動かす。何とかその場を離れ振り返ると「巣」自体が炎に包まれていた。巣の兄弟達の全身は赤く染まり雨の暗闇を照らす。

人生、次の瞬間がどうなるかわからない、後ろから気配を感じる。振り返ると「ヒト」の姿が。雷の音に驚きやってきた。「ヒト」は俺を抱き上げた。それが「ヒト」との運命的な出会い。一年も経つと俺は立派な鷹なり、いつも「ヒト」の腕の上にいた。「ヒト」は独り者で年は五十を越えていた。あくまでも想像だが「ヒト」は大酒飲みで貧乏だった。

「ヒト」とは二年を共にした。別れはあっさりしたもので俺は「酒代」と交換に売られると同時に俺の一生はあっけなく終わる。売られた俺はあっという間に潰され肉塊となり胃袋へ。羽は「槍」の飾りに。俺の羽をあしらっただけの平凡な槍はそこそこの高値で売られたそうだ「鷹羽根の槍」と名付けられて。くだらない。俺の人生で作った槍。実に滑稽だ。
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