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2015年02月18日

囚われの女神

遠い昔、少女が気づいたのは、とても暗く、とても狭く、息も出来ないくらい噎せ返る血の臭いの中だった。手、足、口、全ての自由が利かずただ、眼球だけで虚空の暗闇を見つめることしか出来なかった。

少女が最後に見た光は、人を糧として燃えさかる炎と、自分を絡め取る幾本もの手。その後は、闇の中で自分の体を何度も何度も、冷たい塊が貫く感覚だけが思い出せるすべてであった。「ワタシハ、……ナニ?」

突如として少女の闇は放たれた。眼前に広がるのは満天の星空、その星の輝きさえもまぶしかった。だが、体の自由までは戻ることがなく少女は自身を見ようと唯一動く目だけを必死に傾けた。その先にあったのは、手も足もわからず、血に満ちた肉の塊が鼓動と共に波打っていた。

少女は声のない悲鳴をあげる。それを凝視する黒い影が、少女の目から星空を隠す。そこには長い牙を持った魔物の顔が近づいてきていた。少女の肉塊と血が一瞬ざわめいた瞬間、それは鋭い刃となり魔物の顔を貫いていた。
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