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2015年01月02日

オローの剣・鷹

ジスモア様配下の騎士が、オロー様の剣を盗もうとした時のことです。ジスモア様は騎士を叱責し、処刑なさろうとしました。騎士は嘆きました。「私は少しでもオロー様に近付きたかったのです」事情をお知りになったオロー様は、憤慨するジスモア様を遮りながら、その剣について語り始めました。

「この剣はエルフの神話に語られる兄弟の破壊神の持刀を模した物だ。兄は”鷹”と呼ばれ、智に優れた、弟は”獅子”と呼ばれ、武に愛されていたという。二人がまだエルフであった頃、人間との大きな戦いがあった。二人はエルフの魔将、猛将として戦った。」

「鷹の智は竜語魔法すら操り、獅子の武は万軍を引き裂いた。二人がエルフと人間との戦を鎮めるのに、そう時間はかからなかった。戦が終わると、二人は智と武を試すものを失った。…だが、二人は智と武を求め続けた。やがて鷹は世の理を超え、破り、荒ぶる獅子は大地に、天に亀裂を入れた」

「エルフ達は、破壊神と化した鷹と獅子を“勇者の時間”に封印した。億千の命と魂を使って。…おまえの罪は鷹、獅子に類するものだ。ジスモアよ、剣に免じてこの者の処刑を許してやってくれ」…オロー様の恩情により、騎士は許されました。その時のジスモア様の眼には、深く暗い影が差しており、今となってもその眼差しが忘れられません…。
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