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2015年01月01日

ノウェの剣

双刀の金獅子と呼ばれた英傑が初陣の折、彼と共に剣技を磨いた女騎士より贈られ、以後彼の愛剣となったのが、この剣である。剣は幾度もの戦から男の命を救い、仲間の命を救った。双刀の金獅子は我が身のように剣を大切に扱ったといわれている……

ある時、双剣の金獅子は司祭の神託に従い、未踏の地へと赴いた。そこで一匹の竜と一匹の獅子に出会う。竜は人語を操り、獅子は竜語を喋った。この獅子こそ神託にあった救世主であろう。男は竜に獅子を連れ帰りたいと申し出た。竜は男に問う。貴様は獅子を父から引き離すだけの代価を持っているのか?…と

竜は不機嫌に男を見下ろし、せせら笑うように言う。いいだろう。この幼子を連れてゆくが良い。しかし儂も共にゆく。人の父は貴様に任せるが竜の父は儂にしか務まらぬからな。双刀の金獅子は竜の言葉を受け入れて、さらに自らの剣を違えぬ信義の証として譲った。くだらぬ、と竜は言い捨て、剣は彼と幼子の古巣へと投げ込まれたという。

双刀の金獅子答えた。私がこの幼子の、人の父となろう。あなたが教える竜の知恵だけでは、この幼子は地を這う愚竜となる。あなたでは教えられぬ人の生き方を教え、竜にも負けぬ騎士へと育ててみせよう。この幼子に与える未来こそが、代価とならないだろうか?
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