2023年11月17日
フレデリク・セペダ キューバリーグ史上最多の通算長打数854本を記録 キンデランを抜く
フレデリク・セペダ
Juventud Rebelde、2023年11月17日、Norland Rosendo記者
6対2の勝利で、インドゥストゥリアレスチームは、その敗者サンクティ・スピリトゥスチームから、キューバ野球エリートリーグ(LEBC)の首位の座を奪ったが、この試合で、フレデリク・セペダの本塁打による歴史的記録が生まれた。
インドゥストゥリアレスは、初回にロベルト・アセベドの三塁打による2点を含む3点を先取し、5回にもルベン・バルデースの2点適時打などで3点を奪った。
先発ジョナタン・カルボー(5回、1自責点、7安打、2奪三振、3四球)がウィルソン・パレデスに投げ勝ち、一方試合の後半は4投手が投げ分けた。
抑えのフアン・ハビエル・ペニャルベルに対して、この日の歴史的出来事が起きた。フレデリク・セペダはこの日、2安打と2死球で4回出塁していたが、最終回に本塁打を放ち、これは統計家ベニグノ・ダキンタの豊富な資料によると、二塁打447本、三塁打54本、本塁打353本となり、キューバリーグにおける自身合計854本目の長打である。
長打数でセペダとキンデラン(853本)に次ぐのは、オマール・リナーレス(785)、アントニオ・パチェコ(774)、アントニオ・ムニョス(713)、ラサロ・フンコ(709)であり、700本を超えているのはこの4選手のみである。
次に700本の大台を記録するであろう選手は、ヨルダニス・サモンであり、彼はここまで699本を記録している。
現役選手のなかでは、ラス・トゥナスのレジェンド選手ダネル・カストロが、キューバリーグ史上最多通算安打の記録保持者だが、700長打を記録するにはあと18本必要である。
きょうの他の試合では、サンティアゴ・デ・クーバがアルテミサを1対0で破り、マタンサスがラス・トゥナスを10対0で破った。サンティアゴは5回に、ヨルダン・マンドゥレイの犠飛で試合を決め、勝利投手となったヨシエル・セラーノ(6回、3安打、2死球)を筆頭に4投手が投げわけ、セーブはカルロス・サンタナが獲得した。エルリス・カサノバは、好投にも関わらず、敗戦投手となった。
唯一のナイター試合で、マタンサスはラス・トゥナスにコールド勝ちした。アリエル・サンチェス(3打数3安打)が4回に、今回のリーグでのチーム初本塁打となる満塁本塁打を放ち、5打点をあげた。勝利投手は救援のハイケル・パラ(2回2/3、1安打、2奪三振)で、敗戦投手はエリアンデル・ブラボーであった。
フレデリク・セペダ、キューバリーグ史上最多の854長打を記録(2023年11月17日)
Industriales y Cepeda, las notas del día en el béisbol cubano
https://www.juventudrebelde.cu/deportes/2023-11-17/industriales-y-cepeda-las-notas-del-dia-en-el-beisbol-cubano
ディアスカネル大統領 キューバで医学を学ぶパレスチナの若者144人と会合
Cubadebate、2023年11月17日、Presidencia Cuba
ミゲル・ディアスカネル・ベルムーデス大統領は革命宮殿で、キューバで医学を学んでいるパレスチナの若者144人と会合した。
彼らのうちの50人以上は、現在イスラエルが未曽有の大量虐殺を行っているガザ地区で生まれた。
生まれてからずっと実際に大量虐殺の恐怖におびやかされてきた人生を物語りながら、パレスチナの若者たちは、野蛮な犯罪行為の中止を求め、パレスチナにとっての永続的で完全なる自由と、難民の帰還、そしてパレスチナの子どもたちにとってのより良き生活を求めた。
われわれは、あなた方の世話をし、あなた方にあらゆる注意を払い、あなた方の学位課程につきあっていく、なぜなら、あなた方は、パレスチナの未来なのだから、とディアスカネル大統領はパレスチナの若者たちに語りかけた。
キューバTV(2023年11月18日)
テレスール(2023年11月18日)
Presidente Díaz-Canel se reúne con estudiantes palestinos de medicina en Cuba (+ Fotos)
http://www.cubadebate.cu/noticias/2023/11/17/presidente-diaz-canel-se-reune-con-estudiantes-palestinos-de-medicina-en-cuba-fotos/
2023年11月16日
キューバ連盟会長 プレミア12には海外居住の選手たちも招集
Radio Rebelde、2023年11月16日、Guillermo Rodríguez Hidalgo Gato記者
来年のプレミア12トーナメントに出場するキューバ代表は、わが国に居住しない選手たちを擁するだろう、第五回WBCのときと同じように、とキューバ野球連盟のフアン・レイナルド・ペレス・パルド会長は発表した。
会長は、国内で教育を受け、そのあと他のリーグでプレーするために出国を決意したすべての選手を、重大な規律違反を犯していない限り、加えることを目指し続ける、と述べた。「もちろん、WBCのときに出場の意思を示した選手たちは、その意思を継続し、パフォーマンスを維持している限り、今回の重要な大会におけるわわが国の代表チームに加わることだろう」。
ペレス・パルド会長は、エリートリーグの王者チームがマイアミで開催される2024年のカリブシリーズに出場しないかについて言及した。またキューバがコロンビアで開催されるインターコンチネンタルシリーズに出場しない理由も明らかにした。「われわれはカリブシリーズに招待されなかった。そしてインターコンチネンタルシリーズの場合には、いかなるリーグの王者ではないチームが複数召集されている。またこれに出場することによってカリブシリーズのような他の大会に5年間出場できなくなる」。
キューバ野球コミッショナーでもある会長は、第二回エリートリーグの王者チームは、来年2月にプエルトリコで開催される「アンティジャーナ・カップ」に出場する、と述べた。「来週には同大会の主催者の訪問を待っている。現在まで開催地プエルトリコのほかに、われわれキューバとドミニカ共和国の参加が確認されている」。
今回の第二回エリートリーグで起きたネガティブな要素のひとつは、補強選手の人数であり、合計16選手がさまざまな理由により、わが国の野球に必要とされるリーグに参加しなかった。「これについては改めて検討することになる。これは全国コミッションだけの決定ではなかったが、この数字は来年には変わりうるとわれわれは考えている」。
先のセリエ・ナシオナルでは、公式球「ティームメイト」に関する不満がたくさんあった。フアン・レイナルド・ペレス会長は、試合から輝きを奪うそれらの出来事を繰り返さないように対策が取られる、と説明した。
「すでに申し込んでいた1万個セットの球が届いて、これはメキシコでのチャンピオンズリーグやチリでのパンアメリカンゲームで使われたのと同じものだが、現在まで問題は起きていない。今回のリーグに向けて、われわれはミズノの球を購入する手続きを行っていたが無理だった、というのも大会後に届いていたから」。
Cuba llamará a peloteros que residen en el exterior para el Premier
https://www.radiorebelde.cu/cuba-llamara-a-peloteros-que-residen-en-el-exterior-para-el-premier-16112023/
2023年11月15日
U23野球キューバ代表メンバー発表 ギジェルモ・ガルシアら24選手 パンアメリカン選手権
JIT、2023年11月15日
キューバ野球コミッションはきょう水曜日(11月15日)、ニカラグアのマナグアで開催されるU23パンアメリカン野球選手権大会でのキューバを代表するメンバーを発表した。
11月24日から30日にかけて予定しているこの大会では、来年中国で開催される世界大会に向けた出場権4枠が提供される。
捕手2人、内野手7人、外野手4人、投手11人が、サンティアゴのエディ・カヒガル率いるチームを構成する。
アンドリィス・ペレス捕手、ギジェルモ・ガルシア一塁手、クリスティアン・ロドリーゲス遊撃手、カルロス・モニエル外野手、ランディ・クエト投手、ミゲル・ネイラ投手らが、メンバーのなかで最も名の知られた選手として存在する。
U23代表チーム
捕手 (2人):
Andrys Pérez García
Leonardo Montero Alfonso.
内野手 (7人):
Euclides Edgar Pérez Chiang,
Guillermo García García
Christian Rodríguez García
Jean Lucas Baldoquín Martínez
Xiam Vega Urrutia
Adrián Jesús Pérez García
Yulieski Miguel Remón Tejeda.
外野手 (4人):
Dairon Leonel Blanco Colás
Alejandro Javier Escobar Martínez
Darián Palma Fonseca
Carlos A. Monier Torres.
投手 (11人):
Dorvis Lornet Navarro Queralta
Alex Daniel Guerra Garcés
Randy Cueto Pérez
Rafael Orlando Perdomo Eizméndiz
José Isais Grandales Rodríguez
Osdanis Rodríguez Obregón
Miguel Alejandro Neira Mendoza
Orisbel Borges Pérez
Naikis Piedra González
Reynaldo Ariel Álvarez Domínguez
Albert Valladares Sánchez
監督: Eddy Cajigal García.
コーチ陣: Julio César Álvarez Pérez y Donald Duarte Hernández (補佐); Freddy Mario Rodríguez Campos y Gualberto Quesada Pedroso (投手); Yovani Aragón Rodríguez, Humberto Marcos Guevara Yervilla y Ariel Osvaldo Pestano Valdez (トレーナー); Wilfredo Medina Socorro (医師) y José Luis Gandara Martínez (派遣団長).
Anuncian equipo de beisbol a lid panamericana sub-23
https://www.jit.cu/NewsDetails.aspx?idnoticia=710701
キューバは国際社会とともに平和と多国間主義を擁護する 国連人権委員会レビュー報告
ブルーノ・ロドリゲス・パリージャ外相
Cubadebate、2023年11月15日、 Bruno Rodríguez Parrilla外相
国連人権理事会(HRC)の全面的定期レビュー(UPR)第4サイクルについてのキューバ国家報告書提出におけるブルーノ・ロドリゲス・パリージャ外務大臣の発言
副議長閣下、閣下各位、各国代表の皆様、
キューバより、パレスチナの人々への連帯と支援のメッセージをお届けします。民間人や国連職員に対する無差別攻撃、病院、救急車、学校への爆撃、家屋や重要インフラの大規模な破壊は、集団的懲罰であり、国際人道法の重大な違反です。
私たちは、すべての犠牲者と連帯し、キューバにおけるアラブ人およびユダヤ人社会と痛みを分かち合います。
これらは戦争犯罪であり、人道に対する罪であり、今すぐ止めなければなりません。国際社会は、安全保障理事会を麻痺させ、ジェノサイドによる犯罪を無実とする拒否権に立ち向かい、即時停戦を強制しなければなりません。
副議長閣下、
キューバは、人権理事会の4度目の全面的定期レビュー(UPR)を提出します。
本日提出する国家報告書は、国家機関およびわが国の市民社会組織との広範かつ参加型の協議プロセスの結果です。
前回のUPRで受け入れられた226の勧告のうち、95%にあたる215が実施されました。残りの11項目については、実施プロセスを進めています。
2018年の前回レビュー以降、キューバは、すべてのキューバ人のための、あらゆる人権実現のための法的・制度的枠組みの更新において重要なステップを踏みだしました。
国民投票により、キューバ国民は、2019年、権利の内容とその効果的な行使の保証を拡大する新憲法を採択しました。投票率は90%を記録し、86%が憲法の条文を支持しました。
この4年間で、キューバでは、このような短期間に前例のない129の高位の法規範が承認されました。
その中でも、キューバの社会・法制史において最も重要な法律のひとつである家族法を強調したいと思います。これは近代的で総合的かつ先進的な法律です。
あらゆる形態の差別に立ち向かうことは、これまでも、そしてこれからもキューバ国家の優先事項です。
2019年11月、人種主義および人種差別の現象の痕跡を根絶するという、国の政治的意志の表明として、この問題の国家計画が承認されました。
2021年以降、キューバには、「女性の地位向上のための国家プログラム」と「ジェンダー・バイオレンスと家庭内暴力の防止と対処のための包括的戦略」があります。
女性は、全国人民権力議会の議席の56%、司法の役職の84%を占め、検察官の10人中8人を女性が占めています。
2021年、障害者権利条約の規定を実施するための国家委員会が設立され、2023年6月にはキューバ知的障害者協会が設立されました。
そのわずか1カ月後、国会は「キューバの児童、思春期、青年対策総合政策」を採択しました。
刑事法制においては、手続き上も実質上も、大きな進展があり、適正手続が強化されました。
2018年以降、人種差別、障害者、拷問、子どもの権利に関係する4つの条約機関に詳細な報告書を提出しました。
キューバは、国連人権高等弁務官事務所と、さまざまな協力活動を展開し、昨年7月には、ミゲル・ディアス=カネル・ベルムデス共和国大統領とボルカー・ターク高等弁務官との間で建設的な会談が行われました。
2023年5月に行われた、一方的強制措置が人権の享受に及ぼす影響に関する特別報告者のキューバへの学術訪問は、実り多いものでした。
また、今年の6月には、子どもの権利委員会の副委員長をわが国にお迎えする機会を得ました。
副議長閣下、
米国がキューバに対して科している経済・通商・金融封鎖は、キューバ人の人権に対する大規模かつ重大な組織的侵害です。
前回の再検討以降、この封鎖は、240以上の一方的強制追加措置の実施と、米国務省が作成した偽りのテロ支援国リストにキューバを不正に含めることで、大幅に強化されました。
2018年4月から2023年2月まで、封鎖によってキューバにもたらされた損害は控えめに見積もっても247億ドルの損害を引き起こしました。
60年以上にわたる封鎖の累積の影響は、現在の価格で換算すると、1590億ドルを超えます。
新型コロナのパンデミックの間、キューバに対する制裁は、他の国とは異なり、意図的に極端な水準まで強化されました。キューバは、米国企業の子会社から肺呼吸器を入手することができず、キューバ製ワクチンの工業生産に必要な部品、消耗品を入手することができませんでした。第三国において医療用酸素の購入も妨害されました。そのことにより、米国の特別の供給許可が必要だということが明らかになりました。
わずか13日前、国連総会は、キューバ人家族に直接的、間接的な損害、苦しみ、モノ不足、不安、また、不十分ですが、高度の補助を受けている、みんなに支給される基礎配給の不足をもたらし、医薬品や食料の不足の根本的な原因となっているこの政策に終止符を打つよう、圧倒的多数で求めました。この封鎖は、法外な物価、通貨と給与の切り下げ、耐え難い停電、医療や教育のような基本的なサービスに制約をもたらしている主要な要因です。
さらに、キューバは、経済戦争に加えて、キューバの憲法秩序を破壊するために、人権に関する絶対的に虚偽のイメージを植え付けることを目的とした、持続的なメディアやコミュニケーション・キャンペーンの犠牲者でありましたし、現在も犠牲者なのです。
この手口は、2021年に特に激しく実行され、経済的窒息という極端な手段と、米国の領土と技術的プラットフォームから生み出された巧妙な操作、偽情報、非従来型または認知戦争作戦を組み合わせて、不安定な状況を強引に作ろうとしました。
副議長閣下、
前回のレビュー以降、キューバは前進していますが、私たちには不十分なところがありますし、改善し、「完全な尊厳」と「完全な正義」を促進し、現在の課題に立ち向かおうと努力しているところです。
キューバは、引き続き、人権擁護のための制度的・法的枠組みを改善し、一層自由で民主的、公正で支持的、連帯的で、参加型で、社会主義的な社会の構築を推進していきます。
新たに再選された本理事会のメンバーとして、私たちは、これらの問題における国際的な対話と協力に、最大かつ、これまでと変わらない貢献をするつもりです。
主権国家として、尊敬に満ちた建設的な対話に基づき、国連人権機構との協力を進めます。
キューバは、国際社会とともに、平和と多国間主義を擁護し、すべての人のためのすべての人権の実現を促進します。
ありがとうございました。
キューバTV(2023年11月15日)
La comunidad internacional podrá contar siempre con Cuba para defender la paz y el multilateralismo
http://www.cubadebate.cu/opinion/2023/11/15/la-comunidad-internacional-podra-contar-siempre-con-cuba-para-defender-la-paz-y-el-multilateralismo/
2023年11月08日
キューバ野球エリートリーグ開幕
ヨルダニス・サモン
Granma、2023年11月8日、Oscar Sánchez Serra記者
第二回キューバ野球エリート・リーグが開幕し、最初の3試合がおこなわれたが、本塁打はなく、各試合で合計5失策を喫した。またホームチームのなかでは、唯一サンクティ・スピリトゥスチームが勝利で発進し、2試合では21安打、残り1試合では18安打が放たれたが、そのうち長打は10本だけだった。
悪い守備で苦労したのが王者ラス・トゥナスで、2対5で敗れたが、その投手陣が許した自責点は1点のみだった。つまり守備陣の3失策が開幕戦の勝利を妨げた。
その試合でインドゥストゥリアレスの右腕レイモンド・フェゲレロが5イニングで5三振を奪い、2死球を献上し、4安打を許したが、勝利投手となり、対する先発投手の左腕ダリエル・ゴンゴラは制球に難があり、同じく5イニングで5四球を許した。
マタンサスチームは、サンティアゴの投手陣から17安打を放ち、そのうち7本をアリエル・サンチェス(4本)とヨルダニス・サモン(3本)が占めた。サモンはまた、安打3本のうち二塁打2本を放ち、1打点を記録した。ヨエル・モヘナは、6回を2安打7奪三振で無失点に抑え、8対1の試合で勝利投手となった。
サンクティ・スピリトゥスの試合はもっとも接戦(7対6)となり、アルテミサの失策が、最小点差で敗れる試合を決定づけるものとなったが、相手チームの2得点は球場の悪い管理によるものだった。
ラス・トゥナス対インドゥストゥリアレス(2023年11月7日)
Samón y Mojena abren en modo Élite
https://www.granma.cu/deportes/2023-11-08/samon-y-mojena-abren-en-modo-elite-08-11-2023-00-11-05
米国のネイション誌 キューバのミゲル・ディアスカネル大統領への独占インタビュー掲載
ミゲル・ディアスカネル大統領(左)と、米国ネイション誌の記者2人(右)
Cubadebate、2023年11月8日、DD GUTTENPLAN記者 + KATRINA VANDEN HEUVEL記者(The Nation)
米国メディアとの初のインタビューで、キューバ大統領はキューバ社会主義の将来、米国の封鎖、キューバが直面する経済的困難についての考えを語っている。
9月下旬、The Nation の編集者 D.D.ガッテンプランとカトリーナ・バンデン・ヒューベルは、キューバのミゲル・ディアス=カネル大統領とニューヨークで独占インタビューをおこなった。
ディアス=カネル大統領にとって米国でのインタビューは初めてである。二人は、キューバが直面している経済危機、社会主義モデルの将来、そして米国政府が敵対を続けていることの影響について聞いた。
DD ガッテンプラン(以下 DDG):あなたは、革命後に生まれた最初のキューバ大統領です。 革命は、今日どのような意味を持っていますか?
ミゲル・ディアス=カネル(以下 MDC):まず、第78回国連総会へのキューバ代表団の一員として訪問した機会に、このようなインタビューに応じていただいたことに感謝します。米国民、特に米国に住む何百万人ものラテン系およびキューバ人に向けてお話しできることを、感謝します。
私の世代は、革命とともに生まれました。私は、1960年に生まれ、プラヤ・ヒロンでの勝利の翌日に1歳の誕生日を迎えました。革命の誕生とその生涯は、私の世代に大きな影響を与えました。
私たちは、幼い頃から、革命が、私たちに与えてくれたあらゆる機会に参加することに、動機を感じました。それは、自分自身を向上させ、知識を身につけ、文化や科学、スポー ツに参加し、医療へのアクセスを享受することでした。私たちは、また、権利を享受するだけでなく、国が直面する課題に対応する義務を果たす必要性も意識していました。
もちろん、革命は、さまざまな段階を経てきました。私の子供時代の記憶は、非常に困難な時代でした。その後、1970年代から1980年代にかけては、社会主義陣営、特にソ連との関係が緊密化し、経済的にも平穏な時期が続きました。その後(1990年)、「非常時」が訪れましたが、これもまた困難な時代でした。
2000年以降は、経済成長の新たな段階に入り、展望も良くなりました。しかし今日、私たちは、あなた自身が「困難」と表現したような状況に置かれています。このような不確実な世界、特にパンデミックによる問題で、国際関係は複雑です。
私は、政治生命と政府の責任を担うようになった全世代の代表として、革命、キューバ国民、そして先見の明のある指導者であったフィデル(・カストロ)とラウル(・カストロ) に対する多大な責任を感じています。
私たちは、直線的な継続の世代ではありませんが、自分たちを継続の世代と定義しています。それは弁証法的な連続性であり、私たちが、社会を変革し、進歩させ、最大限に改善しようとする一方で、可能な限り最善の社会正義をもって、わが国に社会主義を建設するという信念を捨てないということです。
それが、私たちの生涯の責任であり、ビジョンです。そのためには多大な努力と成果、そして無私の精神が必要であり、特に困難な状況においては、私たちに多くのことを要求し ます。
カトリーナ・ヴァンデン・ヒューベル(以下KvH):現在キューバには、多くの若者がいます。その中で、あなたは、キューバ経済の将来をどのように想像しているのでしょうか。封鎖は、もちろん残酷ですが、若者の間には、変化がなければ、キューバに自分の未来はないかもしれないという思いもあります。
MDC:今現在では、何か特別なものがあります。私たちは、生まれてからずっと封鎖の下で生きてきました。例えば、私の世代、1960年代の世代は、封鎖とともに生まれまし た。私たちの子供たちや孫たち(私には孫がいます)は、封鎖の下で育ってきました。しかし、封鎖は 2019年後半に大きく変わりました。以前よりもさらに厳しくなったのです。
新たに厳しくなった封鎖は、2 つの要因の結果でした。ひとつはトランプ政権が243以上の措置を実施したことで、封鎖を国際化し、ヘルムズ=バートン法第3章を初めて実施することで封鎖を強化しました。そうすることで、外国資本、交換可能通貨、送金へのアク セスを遮断しました。米国人は、キューバを訪問できなくなり、キューバと取引のある銀行や金融グループに金融圧力をかけました。
さらに、トランプ大統領は、2021年1月に大統領を退任する9日か10日前に、キューバをテロ支援国家という虚偽のリストに載せました。世界中が、キューバの人道主義と平和への貢献を知っています。キューバは、軍隊を派遣せず、医師を派遣しています。それで も、私たちが、医師を海外に派遣し、世界の他の地域に連帯してサービスを提供すると、米国は、私たちが実際には人身売買に関与していると主張します。
同時に、経済状況が悪化していたキューバでは、他の地域と同じように新型コロナが猛威を振るいました。しかし、新型コロナの大流行中、米国政府は、凶悪にも封鎖を強化しま した。私は、米国政府のことを言っているのであり、アメリカ国民のことを言っているのではありません。なぜなら、私たちは、アメリカ国民に深い尊敬と友好の念を抱いているからです。
米国政府は、革命が、あの時を乗り切れないと考えたのでしょう。パンデミックは、キューバで非常に高いレベルに達し、2021年いっぱいまで続きました。2020年に始まったときは、まだワクチンもなければ、ワクチンを手に入れる可能性すらありませんでした。
その後、キューバの医療用酸素プラントが、故障しました。酸素が足りなくなり、米国政府は、カリブ海や中米の企業に、キューバに酸素を供給しないよう圧力をかけました。また、集中治療病棟を拡張しなければならなかったのですが、米国政府は、人工呼吸器を製造・販売する企業に、キューバに供給しないよう圧力をかけました。
状況は、危機的で、キューバ革命を貶める大規模なメディアキャンペーンが展開されました。そこで私たちは、効率的で、無料で、質の高い、医療を権利とみなす医療制度に訴え、科学者、特に若い科学者に訴えました。科学者たちは人工呼吸器を設計し、5種類のワクチン候補を開発しました。それが国を救ったのです。しかし、私たちは、パンデミックから抜け出しましたが、多くの問題を抱えたままでした。
医薬品、食料、燃料の不足。長引く停電は、国民を苦しめ、特に若者の生活に直接影響を与えます。私は、私たちの教育過程が、私たちが、経験している状況の重要性を若い人たちに印象づけたと信じています。それは、キューバの若者たち、つまり「非常時」の時代に生まれ、経済的にも社会的にも本当に困難な状況の中でずっと生きてきた若者たちが、革命や国そのものとのイデオロギー的な断絶に繋がらないようにすることです。
他の時代に比べて、移民が多いのは、事実です。しかし、これは、キューバと米国の歴史において定期的に起こってきたことです。移住が最も激しくなるのは、米国が、キューバの経済状況を悪化させるような攻撃的な政策をとった時期と常に関連しています。1966年のキューバ人地位調整法やその他の措置を通じて、米国はキューバ人の不法、危険、無秩序な移民を優遇してきました。
パンデミックを克服したとき、私は、多くを学びました。キューバ人の抵抗の仕方を、創造的な抵抗の一形態として理解するようになったのです。創造的な抵抗とは、単にその場 に留まることで抵抗するのではなく、逆境を克服するために国民の才能と力を創造し、活 用することで前進することです。その一例が、ワクチンです。世界でワクチンを開発できたのはわずか 5か国で、そのすべてが、先進国です。キューバは、それができた唯一の発展途上国であり、0.76という印象的な死亡指標を持っています。キューバは、パンデミックの間、どの国よりも多くのワクチンを国民一人当たりに投与しました。
キューバは、国民の90%以上が、新型コロナ・ワクチンを接種した 20か国のうちの1つです。また、2歳以上の小児にワクチンを接種した、世界で 2 番目の国でもあります。このような創造的な抵抗の形は、私たちの努力、才能、仕事によって封鎖を克服するために、現在、経済や社会生活の他の分野に敷衍されています。
その取り組みに若者を巻き込み、社会参加の場を提供することが、増えています。その結果、若者たちは、革命によって擁護された社会的プロジェクトと一致する人生の目標を持 つことが可能であることを、知ることができるのです。もちろん移住する人もいますが、若者の大半は、キューバにいて、私が挙げた分野やその他の分野で、働いています。彼らは、私たちの科学的発展をリードしているのです。若者は、キューバの主要な生産活動や経済活動に携わっています。彼らは社会のデジタル変革を推進し、社会的、政治的、組織的コミュニケーションの担い手です。彼らは、革命の継続のために働く必要性を私たちに確信させてくれる人たちなのです。
DDG:大統領がおっしゃったことを2つ取り上げたいと思います。ひとつは、あなたがキューバからの移住と呼ぶものの周期的な性質と、あなたの見解では、それが制裁強化に対応しているということです。バイデン政権に何かできることがあるとお考えですか?
MDC:バイデン政権で何かが変わるとは、あまり思っていません。キューバには、米国 大使館があり、米国にはキューバ大使館があります。関係はオバマの下で再確立されまし たが、これはトランプが実施し、バイデンが維持しているものとはまったく異なる政策でした。なぜなら、キューバに最大限の圧力をかける政策を実施したのは、共和党の大統領でしたが、その政策を維持しているのは民主党の大統領だからです。
直接的、間接的なチャンネルを通じて、私たちはバイデン政権に対し、米国への移民を含む諸問題について、話し合う意思があることを伝えました。しかし、それは平等、尊重、無条件の立場から行われなければなりません。米国からは、何の返答もありません。従って、この政権側に私たちと協力する意思があるとは、感じられません。
しかし、私たちは、イデオロギーの違いにかかわらず、両国間の成熟した関係を望んでいます。その時が来るまで、私たちは、自分たちでその状況を打開する努力を続けます。私たちは、若者たちが、利用可能な機会について惑わされたり、操作されたり、誤った説明を受けたりしないように取り組んでいます。若者は、合法的にキューバを出国し、米国への移行の過程で違法となっただけで、完全に無秩序で違法な移住の流れに巻き込まれ、人身売買のスキームに陥ってしまいます。
キューバ人の移住、特に若いキューバ人の移住について話題になることが多いですが、実際には移住はすべての国に影響を及ぼし、移住する人々は、一般的に夢を持った若くて健康な人々です。
KvH:キューバでは、小さな商店や個人経営のホテル、レストランが見られますが、社会主義の枠組みの中で、このプロセスは、どこまで進むことができると思いますか?
MDC:私たちは、最大限の社会正義を保証する社会主義経済を目指しています。私たち は、不確実性と複雑性に満ちた世界、貧富の差が拡大し、南の国々が多くの不利益を被っている世界の状況を忘れることなく、この社会主義経済を構築し、強化し、発展させなければなりません。
それでも、私たちは社会主義の理想を決してあきらめません。しかし、封鎖やキューバ国 内の問題など、現在の状況を考えると、どうすればいいのでしょうか?私たちは、より大きな社会正義を実現する方法として社会主義経済を擁護すると同時に、社会主義国営企業、すなわち私たちの社会的経済モデルにおける公営企業の、より高い効率性、より大きな自主性、より優れた業績を提起しています。
私たちはまた、国営部門を補完するものとして、経済の民間部門と非国営部門を開放してきました。一方では、単一の企業システムがあり、そこには、今日、主要な生産手段を所有・管理する国営企業という1つのアクターが存在し、また、国の発展やGDPに貢献し、労働力の一部を吸収する 2つ目の非国営アクターが存在します。
最近、私たちは、非常に興味深い動きを目の当たりにしています。たとえば、封鎖された状況下では、国営企業は、その生産能力を十分に発揮することができません。しかし、封鎖されているにもかかわらず、輸入の可能性をより多く持っている非国営企業は、その国営企業と連携し、最終的に国民の利益となる生産活動やサービスを共に開発しています。
私たちは、キューバ国民に、長年にわたって封鎖に抵抗してきた英雄的行為にふさわしい繁栄を与えたいと願っています。それをどのように行ったらよいのでしょうか? 国営部門と民間部門を含む社会主義建設の概念で、でしょうか?難しい課題ですが、私たちはそれを成し遂げるでしょう。
KvH:アラルコン元外相が亡くなる1週間前に幸運にもお会いすることができましたが、彼が、最も心を奪われていたのはラテンアメリカ地域の変化でした。つい先日、ルーラが、 キューバで重要な会議に出席しました。この地域は、よりピンク色で右翼的でない方向に動いているようですが、キューバに変化をもたらす余地、あるいは新しい時代の非同盟運動の再構築をもたらす可能性はあるのでしょうか?
MDC:私たちは、ラテンアメリカとカリブ海地域の統合という原則を擁護しています。また、ラテンアメリカとカリブ海は、平和地帯であるべきだという原則も擁護しています。 私たちは、ラテンアメリカおよびカリブ海諸国のすべてと関係を持っています。
医療使節団や、工学などの専門家など、私たちの専門的・技術的サービスを要請してきた数カ国と協力・連携しています。私たちは、貿易関係の発展に努めています。さらに、協力の事業に参加することで、それらの国々について学ぶことができ、私たち自身の発展にも役立っています。
ラテンアメリカは、極右の潮流がこうしたプロセスを弱体化させようとしているにもかかわらず、進歩的な運動にとって非常に好ましい場所です。私たちはベネズエラ、ニカラグア、ボリビア、ブラジル、アルゼンチンと強い関係を築いており、その関係はますます強まっています。ブラジルは、ラテンアメリカの中でほとんど大陸のような存在であり、最も重要な経済国のひとつです。ルーラ政権、そしてジルマ政権のもとで、私たちは、広範な貿易と二国間交流を行ってきました。これらのような進歩的な政権が誕生すれば、私たちの国にも新たな可能性が開けるでしょう。
キューバは、コロンビアの和平プロセスを支援し、大陸全体の平和に貢献しました。その和平プロセスの最終合意は、数年前にハバナで調印されました。キューバは、他国との協力と協調、そして利他的な形での共有に基づく一貫した外交政策を発展させてきました。新型コロナが到来したとき、私たちは、カリブ海諸国やラテンアメリカ諸国の要請に応じてワクチンを提供しました。
DDG:大統領、あなたは、海外のキューバ人について話されました。もちろん、キューバ人医師が世界中で医療を提供してきた長く輝かしい歴史は、周知の通りです。しかし、最近ウクライナでキューバ人が、戦場に駆り出されているという見出しを目にし、驚いた米国人もいます。この状況に対する政府の対応を説明していただけませんか?
MDC:まず第一に、ウクライナの戦争に対する私たちの立場は、私たちは、平和愛好の国であるということです。私たちは、国際法と国連憲章を支持します。戦争は、好みません。私たちは、戦争を祝福しませんし、戦争を支持しません。どちらの側で人命が失われても、私たちの心は痛みます。この戦争を終わらせるためには、対話と外交的解決策を追求すべきであると、私たちは信じています。
私たちは、ウクライナの戦争には加担していませんが、私たちの調査によって、違法なネットワークが、ロシアに住むキューバ人やキューバに住む何人かを雇い、ロシア側で戦わせていることを知りました。わが国の刑法は、傭兵を禁じており、私たちは、これを傭兵行為であると同時に人身売買であると考えています。そのため、今回の捜査で、すべての 証拠を集めた時点で、関係者に報告し、今回の事態を公に糾弾しました。ロシアとの緊密な関係のおかげで、双方は、傭兵に仕立て上げる違法な人身売買の撲滅に取り組むことができました。キューバは、戦争に加担していませんし、今回のような違法な人身売買ネットワークが再び発見されれば、それを糾弾し、阻止するために行動すると断言します。
KvH:ウクライナ戦争に対するキューバの立場を明確にするために、停戦の申し出に役割を果たそうとしましたか? ウクライナ戦争に対するキューバ政府の立場を教えてください。
MDC:私たちは、あらゆる国際的なメカニズムと対話の場を利用することを主張しています。問題は、現実を歪曲し、ねじ曲げられた枠組みを押し付けようとしていることです。私たちにとっては、米国政府は、ロシアの不満や、NATOの国境がロシアに延長されることによってもたらされる危険についての警告に耳を傾けなかったことで、戦争を引き起こしたのです。私の考えでは、米国は、状況を操作したのです。この紛争は、多くのヨーロッパ諸国も巻き込んでおり、ウクライナとロシアの戦争ではなく、NATOとロシアの紛争と言えるほどです。
この戦争の費用は、誰が負担するのでしょうか?戦争に巻き込まれた国の予算から捻出されているので、支払うのは、その国の人々です。しかし、戦争に関与していなくても、この戦争の結果を目の当たりにしている人々にも打撃があります。穀物輸出や食糧市場の問題は、このことが世界にどのような影響を及ぼすかを示しています。私たちは、また、紛争では人命が犠牲になるという、人道主義的信念に基づき、戦争に反対しています。
しかし、私たちは、米国がこの紛争において大きな責任を負っていると信じています。彼らは戦争の本質を歪め、そして自分たちこそが正しい立場にあるかのように装ってきました。私は、戦争を終結させるための正しい答えは、外交的手段であると信じています。すべての側に安全が、客観的に保証されなければなりません。知性と感受性があれば、戦争をあおり、紛争の火種を増やすのではなく、解決策を追求することを支援できるのではないでしょうか。
DDG:先ほど社会主義の建設についてお話になりました。民間部門と国家との間の将来 的なバランスはどうなるのか、という質問について少し述べたいと思います。「非常時」の期間中、基本的にソ連からの補助金は打ち切られ、特に封鎖されていたキューバの人々にとっては非常に困難な状況でした。しかし、キューバでも社会主義建設の問題は解決していませんし、中国でも日常生活水準を上げるために民間部門を拡大せざるを得ませんでした。今後、民間部門と国家のバランスはどのように考えていますか?
MDC:社会主義経済において民間部門が存在するという事実は、社会主義を否定するものではありません。マルクス主義の古典、あるいはソビエト革命におけるレーニン自身の 実践でさえ、社会主義建設の中に民間部門が存在する過渡期があると考えられています。 私的部門を認めることは、決して社会主義を放棄することではありません。なぜでしょうか?なぜなら、大多数のまた大規模の基本的な生産手段は、依然として国家の手中にあるからです。
これらの生産手段は、国営形態と非国営形態を組み合わせた形で運営することができます。例えば、キューバでは土地の80%以上が国家によって所有されています。しかし、私たちの土地の約80%は、民間の農業協同組合によって長年にわたって運営されてきました。これは、私たちが社会主義の建設をやめたという意味ではありません。
経済に関しては、私たちは、現在の経済の達成状況に不満を持っていますが、キューバ経済の現実は、どうだったのでしょうか?世界最強の国による封鎖に直面しなければならなかった戦争経済でした。封鎖がなかったら、何が達成できたかを見なければなりません。もちろん、私たちは、自分自身を改善する方法も見つけようとしています。キューバ経済の達成状況に不満があるというのは、国民に完全な繁栄をもたらすような商品やサービスをいまだに生産できていないという事実を指しています。しかし、国家が補助する質の高い医療や教育、文化やスポーツへの自由なアクセスを保証してきたのは、同じ戦争経済なのです。キューバの専門職は、たとえ移民であっても、資本主義国の労働市場において競合力があります。
キューバには、誰一人取り残されたり、庇護されなくなることのない、驚くべき社会保障 制度があります。無料で受けられるなら、国の負担はないのでしょうか?これらの費用は、一方では封鎖によって大きな打撃を受けながらも、他方では資本主義国や先進国が達成できなかったような重要な社会的成果を上げてきた経済によって賄われているのです。封鎖が強化されたにもかかわらず、キューバの医療と教育の指標は世界の先進国と比較することができます。
私たちは、どこに向かうのでしょうか?私たちは、国際情勢に、より少なく依存するようにしなければなりません。そのために、私たちは、キューバ国民の創造的な抵抗に、私たち自身の努力と才能を賭けているのです。私たちは、インフレや外貨交換市場、物価の歪みに対処するためのマクロ経済安定化計画を含む経済・社会発展モデルに取り組んでいます。
私たちは、政権運営の柱として科学と技術革新に賭けています。パンデミックのときに私たちがしたことを、見てください。主権を主張するためには、キューバ産ワクチンが必要だと考え、科学と技術革新に基づく統治システムを設計しました。このアイデアは、新型コロナの間にテストされ、今では経済の他の分野にも拡大しています。
そのひとつが、食料主権です。キューバが、食料を輸入したり、外部供給源に依存したりする必要がないように、私たちは科学とイノベーションに焦点を当てて食料生産を促進しています。また、化石燃料への依存を減らし、再生可能エネルギーの利用を拡大するために、国のエネルギー構成を変えようとしています。私たちは、2030年までにエネルギーの24%以上を再生可能エネルギーでまかなうことを目指しています。
困難な状況の中、私たちは、社会的弱者や家族を支援する社会プログラムを開発しています。また、デジタル変革プロセスにも着手しています。これらの行動を組み合わせることで、より安定した現在と未来が生まれるでしょう。
KvH:デジタル変革ついて、インターネットへのアクセスという点で、キューバは、どのような状況にありますか?米国やヨーロッパの企業との合意が失敗し、デジタル変革への動きが止まってしまったと、私は理解しています。 人々はどのようにメディアを入手しているのでしょうか? 毎朝、情報番組を受け取っているのでしょうか?どんなメディアを見ているのか、興味があります。
MDC:私は、ツイッターで、とても積極的に活動しています。確かではありませんが、 キューバの誰よりもフォロワーが多いと思います。
KvH:フォロワー数は?
MDC:ツイッターのフォロワーは、76万人くらいだということです。私たちは、社会のデジタル化のためのプロジェクトを始めました。基本的に二つの分野に集中しています。ひとつは、電子商取引や電子政府といったデジタル・プラットフォームを発展させることで、国民と政府機関やサービスとの相互関係を強化し、国民の民主的な参加を促進することです。また、電子商取引をめぐる法的枠組みの整備にも取り組んでいます。なぜなら、 デジタル社会に移行するためには、財源と技術が必要だからです。そのため、デジタルインフラの基盤を独自に構築しなければなりません。
中国の援助によって、私たちは、テレビのデジタル化に進むことができました。インターネットに関しては、近年重要な進展がありました。すでに700万人以上のキューバ人が、携帯電話を通じてインターネットにアクセスしています。キューバでは、特に若者の間では、誰もがソーシャルネットワークに接続し、活発に活動しているのをよく見かけます。しかし、封鎖の結果、アクセスできないサイトやプラットフォームもあります。
アプリケーションをアップデートしたり、サイトにログインしようとしたり、科学者が研究データベースにアクセスしようとすると、「あなたの国ではこのサイトにアクセスできません」というメッセージが表示されることがあります。しかし、私たちは前進しています。国内のすべての大学に情報プログラムがあります。また、「アプクリス」というキューバのアプリケーション・ショップを開発し、キューバ独自のアプリケーション・システムも開発しています。「情報科学大学」が開発したオペレーティングシステムは、中国との共同プロジェクトで開発しているノートパソコンやタブレット、携帯電話で使われてい ます。
若いキューバ人のチームが、情報プログラミングの国際イベントに参加し、優れた結果を出しています。キューバでは、経済活動人口が少なく、私たちの社会計画のおかげで平均寿命が延びると同時に高齢化が進んでいるため、より多い非経済的活動人口を支えなければなりません。
つまり、キューバは、低開発国でありながら、先進国の人口動態を有しているのです。生産とサービスに直接従事する人口が減少しているため、より効率的な成果を達成しなければなりません。このような目標を達成するために、私たちは、いくつかの人気プログラムを開発しました。たとえば、「ヤング・コンピューター・クラブ」プログラムです。そこでは、子どもたちが幼いうちからコンピューターやその他の通信技術を学ぶことができます。高齢者向けのコースもあり、デジタル変革のプロセス全体から排除されることはありません。
もちろん、キューバ人は、ソーシャルネットワークにも積極的です。ソーシャルネットワークは、人類にとって非常に重要な知識を管理する道具になると、私は、信じています。私たちは、人々が物質的な所有物によって区別されるのではなく、精神性や社会や文化に 貢献するものによって区別されるような国を作りたいと願っています。私が、ソーシャルメディアについて非難するのは、低俗さ、凡庸さ、そして特に若者の間で多くの害をもたらすネット上のいじめのようなものの現れです。
また、世界は、インターネット・ガバナンスに対して、より包括的で統一されたアプローチを必要としていると思います。サイバーセキュリティの問題は、今や世界の大きな課題であり、キューバは、独自のサイバーセキュリティ・プラットフォームを開発しています。人工知能の課題は、技術的なものだけでなく、社会的・倫理的に重要な結果をもたらすこ とは言うまでもありません。私たちは、グローバルなインターネット・ガバナンスを実現する必要があります。バーチャルとフィジカルが、それほど離れておらず、インターネットが人々の問題に対する答えを見つける手助けになるような、解放的で包括的な世界を構築する必要があります。
DDG:文化についてですが、キューバが、音楽、文学、ダンスの分野で文化大国であることは誰もが知っています。デジタル文化が、国境を尊重しないことを考えると、おそらく、キューバに住んでいなくてもキューバ人であることに誇りを感じているキューバ人に対するキューバ政府の態度に違いや変化はありますか?
MDC:私が、アメリカに来たのは、5年前と今回で2度目です。いずれも国連総会の会期に参加するためです。これらの訪問では、いつもアメリカ文化の代表者と会う機会をもうけてきました。例えば、昨日の午後は、まさにこの場所で、米国のアーティストや学者と、 キューバと米国を拠点とするキューバのアーティストとの会合がありました。
あなたと同じように、私もキューバと米国のミュージシャンがステージを共有することで生まれるハーモニーを経験してきました。ハバナのジャズ・フェスティバルでは、キューバ人と米国人のミュージシャンを組み合わせたオーケストラでいつも幕を閉じます。キューバ人ミュージシャンは、アメリカン・ジャズの原初的な力とその妙技に、ある種のラテン性をもたらします。
このような時は、人が、新たな精神的幸福のレベルに達する時です。今日、文化は、キューバと米国の間に壁ではなく橋を架けることができる分野のひとつです。文化交流を通じて、国境は取り払われ、私たちの国民は、団結します。私たちの国民は、自分たちの歴史と文化の価値を共有することができるのです。
数年前、オバマ大統領の時代に、ケネディセンターがワシントン DC でキューバ文化の展覧会を開催しました。それは素晴らしいイベントでした。そこでは、私たちのアーティス トたちはとてもよい居心地を感じました。私たちは、ケネディセンターのプロジェクトを 通じて米国のアーティストをキューバに呼びたかったのですが、トランプ大統領の規制のためにすべて失敗に終わりました。まだ多くの接触が、維持されています。例えば昨日、 長年米国に住んでいるキューバの重要なミュージシャンたちに会いました。彼らは母国との関係を捨てていませんし、彼らの成功は、キューバ文化の成功でもあると感じています。
KvH:バイデン政権との対話は、続いていますか?また、バイデン政権が再選された場合、米国とキューバの関係についてどのようなことを期待しますか?
MDC:バイデンに聞いてみなければわかりません。今は、外交関係があります。いくつかのテーマについて、対話を維持しています。しかし、バイデン政権側にキューバと異なる関係を築こうという意志は、見られません。
私たちは、引き続き、私たちの観点を主張します。社会主義建設を諦めるつもりはありません。しかし、私たちはキューバと米国の成熟した正常な関係を望んでいます。しかし、その関係を築くためには、私たちは腰を落ち着けて話し合う必要があります。意見が異なる問題、同意できる問題、同意できない問題をすべて評価し、前進を図る必要があります。そうすることで、より良い関係が築かれ、私たち国民にとって、関係改善の可能性や潜在力が高まるのではないでしょうか。しかし、今のところ、米国政府がそのような態度をとっているとは思えません。
KvH:最後の質問ですが、映画「バービー」や「オッペンハイマー」は、見ましたか?
MDC:「オッペンハイマー」はまだ見ていませんが、見るように薦められたので近いうちに見るつもりです。「オッペンハイマー」を見ることには興味があります。「バービー」は、それほど興味がありません。「バービー」はとても軽薄のように思えます。
*この記事は、The Nation紙2023年11月13・20日号に「質問と回答:ミゲル・ディアス=カネル」の見出しで掲載された。
(スペイン語翻訳:Cubadebate)
EXCLUSIVE Interview with Cuban president Miguel Díaz-Canel
Presidente cubano Miguel Díaz-Canel se sienta a conversar con The Nation
http://www.cubadebate.cu/noticias/2023/11/08/presidente-cubano-miguel-diaz-canel-se-sienta-a-conversar-con-the-nation/
2023年11月07日
ノラ・ジョーンズ 来年2月にキューバで2公演 文化教育交流でのツアー実施
ノラ・ジョーンズ
Radio Habana Cuba、2023年11月7日、Prensa Latina
米国の歌手・作曲家・ピアニストで女優のノラ・ジョーンズが、きょう火曜日(11月7日)、文化教育交流の一環として来年2月にキューバを初めて訪問することに興奮していると語った。
「あの国の豊かな音楽的遺産をさらに学び、2月17日と18日のマルティ劇場という歴史的な場所での2公演を通して、私の音楽を共有したい」、とジョーンズはネット上での声明において話した。
「ノラ・ジョーンズはハバナで息づいている:音楽と冒険の4昼夜」と題して売り出された来年2月15日から19日までのツアー・プログラムは、首都ハバナにある国立芸術大学(ISA)の学生たちに向けたジョーンズによるレッスンクラスも含まれる予定である。
また、「ファブリカ・デ・アルテでの伝説的キューバ音楽グループ、シンテシスのファブリカ・デ・アルテでのコンサート」を体験し、「キューバでもっとも重要なサルサバンドのリーダー、アライン・ペレスのコンサート」を味わうことも、含まれている。
このツアー募集に際して、公式サイトnorahinhavana.comは、キューバへの個人・観光旅行は禁止されている、と特記しており、これは米国政府によるキューバへの60年以上前からの経済・商業・金融封鎖によるものである。
ただし、「教育文化交流のためのグループ旅行は許可されている」と述べている。
キューバ音楽協会のインディラ・ファファルド会長は、プレンサ・ラティーナとの最近のインタビューのなかで、両国民間に架けられた文化の橋は、いかなる封鎖もこれを壊すことはできない、と述べた。
1979年3月30日にニューヨークに生まれたジョーンズは、ジャズ、ブルース、ソウル、カントリー、ポップの要素を組み合わせた自身の音楽を生み出し、グラミー賞を9個受賞し、歌手として4千万枚を超える売り上げを誇っている。
ノラ・ジョーンズの声明
Cantante estadounidense Norah Jones emocionada por viaje a Cuba (+Foto)
https://www.radiohc.cu/noticias/cultura/338740-cantante-estadounidense-norah-jones-emocionada-por-viaje-a-cuba-foto
2023年11月05日
オマーラ・ポルトゥオンド 最新盤「ビダ」のプロモーションで米国ツアー中
オマーラ・ポルトゥオンド、米国ツアー会場の様子
Cubadebate、2023年11月5日、Prensa Latina
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの女神オマーラ・ポルトゥオンドが、米国の各都市を周る盛大なツアーを続けている。10月14日にシカゴから始まり、そのあと8公演を成功させてきた。
このツアーは、多くの愛情と親愛を持っておこなわれてきている、と代理人のアリエル・ヒメーネス・ポルトゥオンドは語った。
ラテン系と米国人の観衆による歓迎はひじょうに熱烈であり、これからピッツバーグ、ミネアポリス、そしてニュージャージーでの2公演がまだ残っている、とアリエルは話した。
この著名な歌手オマーラは、シアトルでの公演があった10月29日に93歳の誕生日を迎え、その3日後には、クリーブランドで公演し、伝説的ボーカリストとして自身のアーティストとしてのキャリアを見せつけた。
オマーラは、米国ではとても有名であり、この国では1940〜50年代から頭角を現していた、と「フィーリンの恋人」オマーラの息子でもあるヒメネス・ポルトゥオンドは語った。
ツアーはコロナ禍のあいだに録音されたアルバム「ビダ」(人生)のプロモーションであり、このアルバムでは、ガビ・モレーノ(プロデューサーでもある)、スサナ・バルガス、ナタリア・ラフォウルカデ、ルベーンブラデス、カルロス・リベラ、アマウリ・ペレス、アレクサンデル・アブレウ、そしてアンディ・モンタニェスらとコラボレーションしている。
アルバム「ビダ」は、コロナ禍での困難な録音プロセスを経て、グラミー賞の最優秀鳥ピカルアルバム賞部門へのノミネートという顕彰を受けている。
オマーラのボーカルは、コロナ禍のあいだ、サウンド・エンジニアのオレステス・アギラのサポートによって、ハバナの彼女の自宅でほとんど録音された、と代理人は説明した。
その作業の成果は、米国ツアーにも反映しており、これまですでにウィスコンシン州ミルウォーキー、ミシガン州トラバース、ニューメキシコ州サンタフェ、ワシントン州シアトル、オハイオ州クリーブランド、そしてニューヨークを周ってきた。
またわれわれには、ドラムスのラムセス・ロドリーゲス、パーカッションのデグニ・ボフィル、ピアノのホセ・ポルティージョといった非常に才能あるキューバ人ミュージシャンがついている、と代理人は話した。
音楽シーンにおける数十年にわたる活躍により、オマーラは、2006年のキューバ音楽大賞や、スペイン文化スポーツ省による芸術功労金メダル、英国の雑誌ソングラインズのワールド・パイオニア賞(2021年)、ラテンレコーディングアカデミーの最優秀音楽賞などの顕彰を受けてきている。
くわえて、ラテングラミーにおける、2009年の最優秀トロピカルコンテンポラリーアルバム賞や、2019年の音楽功労賞受賞が傑出している。
オマール・ポルトゥオンド シアトル公演 Silencio(2023年10月29日)
オマーラ・ポルトゥオンド NY公演 LAGRIMAS NEGRAS (2023年11月3日)
オマーラ・ポルトゥオンド 最新アルバム「VIDA」
Omara Portuondo prosigue su gira de lujo por ciudades de Estados Unidos
http://www.cubadebate.cu/noticias/2023/11/05/omara-portuondo-prosigue-su-gira-de-lujo-por-ciudades-de-estados-unidos/
2023年11月04日
キューバ人ボクサー ロニエル・イグレシアス メキシコでのプロサーキットで4戦全勝
ロニエル・イグレシアス
JIT、2023年11月4日
プロボクシングにおけるキューバ選手ロニエル・イグレシアスの4勝目は、各方面で好評なコメントを受けた。
メキシコのアグアスカリエンテスで、五輪二大会覇者のイグレシアスは、地元のマウリシオ・グティエレスをTKOで破り、自身の無敗記録を更新した。グティエレスは、148ポンド級8回戦の第五ラウンド開始を自身のトレーナー陣に阻止された。
ウェブサイト「ESPNノックアウト」のレビューは、ボディへの攻撃で相手をキャンバスに沈めた最初のラウンドから安定していた、2009年世界選手権王者でもあるイグレシアスの働きを称賛した。
そのあとも、イグレシアスは試合を支配し続け、これを同メディアの専門家たちは、力強さ、パンチ、スピード、スキル、頭脳と関連付けた。
鼻に大きなダメージを負ったグティエレスは、第四ラウンドから先に進むことができず、今回のサーキットで8戦して2敗目を喫した。
「破壊的なキューバ選手のパフォーマンス、打撃の雨あられで、"ブル"は大きなダメージを受け敗れた」、とJITによって参照されたこの文書は結んでいる。
Triunfo y elogios para Roniel en boxeo profesional
https://www.jit.cu/NewsDetails.aspx?idnoticia=708638