2020年12月09日
國土の發生に關する古傳説
日向國史 上
第一編 太古史
第一章 國土の發生に關する古傳説
日向の國名
日向は九州島の東南隅にありて、西と北とに山を負ひ、東と南とは海に臨み、直ちに日の出づる方に向ふ。故に日向の名ありと稱せらるる。
筑紫島の産成
傳へ言ふ。太古伊弉諾(いざなぎ)、伊弉冉(いざなみ)の二神、此の漂へる國を修理固(つくりかため)成(な)せとの天神(あまつかみ)の命を奉じて、高天原より降り、我が大八洲(おおやしま)の諸島を生み給ふ。
中に筑紫島(つくしのしま)あり。
筑紫島は即ち九州島なり。
此の島身一つにして面四つあり。
筑紫國を白日別(しらひわけ)と謂ひ、豊國(とよのくに)を豊日別(とよひわけ)と謂ひ、肥國(ひのくに)を速日別(はやひわけ)と謂ひ、日向國を豊久士比泥別(とよくしひねわけ)と謂ひ、熊襲國を建日別(たけひわけ)と謂ふと。
或は言ふ。
筑紫國を白日別と謂ひ、豊國を豊日別と謂ひ、肥國を建日向日豊久士比泥別(たけひむかひとよくしひねわけ)と謂ひ、熊曾國を建日別と謂ふと。是れ我が日向の名の古書に見ゆる初なり。
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