2012年01月25日
死を招く遊戯・黄昏のカードマスター・4(アニメ学校の怪談・二次創作作品)
水曜日、学校の怪談の日です。今回の作品は遊戯王OCGがらみのものとなっているので、知らない方にはちょっと分かりずらい描写があるので注意。
では、本編の前にコメント返し。
今回の読んでる途中で、じゃあこの前ウィンがやってたのは詠唱破棄なのか?と思ったら、そうではないんですね。
ない。流石にそれはない。どんだけ強いねん。ウィン!!
前回から気になってたのがきつね火の声質について。そのへんは読む方の勝手かもしれないが、うまくイメージできなかったもんでwww
試行錯誤の末CV.大谷育江(ガッシュベルとか光彦)で脳内再生。まあ、暫定的な措置ですがwww。最初は灼眼のシャナのアラストール(多分CV.大塚明夫)で試みたが、きつね火のイメージだだ崩れだった。
お・・・おぉう・・・アラス様声のきつね火・・・(汗)
ま、わざわざ声優であてなくても読める時は普通に読めるんですけどねwww。
でも楽しいですよね。声優あてって。(^^)
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―5―
「こいつで・・・どうだ!?」
『甘いね・・・トラップカード発動・・・。』
「くっ・・・!!」
ハジメとカードマスターとのゲームは、序盤から一方的な展開となっていた。
カードマスターはまるでハジメの戦略を全て見透かしているかの様に、その全てをカウンターで粉砕し、逆に痛烈なダメージを与え続けた。
ハジメは3セットマッチの中の1セットをすでに奪われ、今の2セット目においても、後500ダメージでライフポイントが尽きてしまう状況にまで追い込まれていた。
『・・・どうした・・・?そんな事では愛するお姫様を救う事は出来ないよ・・・?』
「く・・・」
嘲るカードマスターの言葉に、ハジメは悔しげに唇を噛む。
傍らで見守る桃子達にも焦りが生まれる。
「まずいですよ・・・。このセットも落としたら、ハジメの負けです!!」
レオが切羽詰った表情で言う。
「ハジメさん・・・。」
桃子が不安を振り払うかの様に、さつきの体を抱く腕に力を込める。
「カーヤ・・・何とかできないの・・・?」
「・・・。」
敬一郎が目に涙を浮かべながら天邪鬼に問いかけるが、天邪鬼は何かを考え込んでいるかの様に押し黙っている。
「ねぇ・・・カーヤってば・・・」
敬一郎がもう一度話しかけようとしたその時ー
「分からん!!どうにも腑に落ちねぇ・・・!!」
突然そう言うと、カードマスターの方に向ってすたすたと歩み寄っていく。
「カ、カーヤ?」
呆然とする敬一郎達に構わず、天邪鬼はカードマスターに向って口を開く。
「おい、お前!!」
『む・・・?』
不意に声をかけられたカードマスターが、怪訝そうに天邪鬼に視線を向ける。
『ほぉ・・・。これは驚いた・・・。妙な猫だとは思っていたが、まさか同胞であったとは・・・!!しかし、よもや人間に飼われているとはな・・・。クク、ずいぶんと堕ちたものだ・・・。』
その言葉に天邪鬼は一瞬ぴくりと眉を動かすが、すぐに気を取り直すと話しを続ける。
「お前・・・さつきがお前の出した「賭け」に乗ったと言ったな・・・。確かにあいつは間抜けだが、馬鹿じゃねぇ・・・。賭けに出されたものが何であろうと、自分の命を賭けてまで手にいれる価値なんざねぇくらい、簡単に分かるはずだ・・・。お前、一体何を賭けに出した・・・?」
その質問にカードマスターは不可解そうな表情を浮かべる。
『そんな事を聞いてどうする・・・?』
「別に・・・。ただの好奇心さ・・・。」
カードマスターはしばしの間、天邪鬼の真意を探る様に沈黙していたが、やがてニヤリと笑うと懐から一枚のカードを取り出した。
『・・・まぁいいだろう・・・。同胞のよしみだ・・・。教えてやろう・・・。』
そう言いながら、そのカードの絵柄を皆にさらす。
「!!!」
それを見た皆の顔が一斉に凍りつく。
やがて、桃子と敬一郎が驚愕に震えながら、うめく様に口を開く。
「か・・・佳耶子・・・さん・・・?」
「マ・・マ・・・?」
カードマスターの取り出したカードに描かれていたもの・・・それは今は亡きさつきと敬一郎の母、佳耶子の姿だった。
「・・・どういう意味だ・・・?」
低く押し殺した様な声で、天邪鬼がカードマスターに尋ねる。
『ククク・・・わからんかね・・・。私が賭けたものとはこのカードに描かれているこの女性だよ・・・。私は人の心から、その人物が今もっとも欲しいと願っているものを探り出す事が出来る・・・。彼女の心を探った時、この女性が彼女にとって最も大切な存在である事が分かった・・・。だから、私はこの女性を私の「賭け賞品」として彼女に示したのだよ・・・。私に勝てばこの女性を彼女の元に返してさしあげると言ってね・・・。』
その言葉に、敬一郎がびくりと震える。
「・・・その女はすでに死んでいる・・・。」
『その様だね・・・。』
天邪鬼の言葉にカードマスターはさらりと答える。
「じゃあ、どうするつもりだった・・・。てめぇに死者を甦らせる程の力があるとは思えねぇがな・・・。」
天邪鬼の問いに、カードマスターはククッと笑って答える。
『確かに・・・。残念ながら私にそんな力は、ないなぁ・・・。だが、問題はないさ・・・。』
「何だと・・・!?」
『ククク・・・勘違いしてもらっては困る・・・。私はあくまで「カードに描かれているもの」を賭けたのであって、完全な「人間」を賭けたわけではないのだよ・・・。もし彼女が勝っていれば、精巧に作った等身大の人形でも差し上げるつもりだったさ・・・。そういう”物”でも喜ぶものなのだろう・・・?人間というやつは・・・。』
サラリとそう言うと、愉快でたまらないといった様にけらけらと笑い出す。
「・・・こいつ・・・。」
今まで感じた事もない怒りに身を震わせながら、レオがつぶやく。
「・・・酷い・・・酷すぎるわ・・・。」
いつも温厚な桃子でさえ、怒りのあまり涙を流しながら腕の中のさつきの体を強く抱きしめる。
「さつきちゃん・・・かわいそうに・・・辛かったでしょうね・・・。」
桃子の目から流れ落ちる涙が、もの言わぬ人形と化したさつきの顔を濡らしていく。
敬一郎に至っては、ショックで口をきく事すらままならず、まるで呆けた様な表情で立ち尽くしている。
「よく分かったぜ・・・。このゲス野郎が・・・!!!」
天邪鬼も怒りと嫌悪感に全身の毛を逆立てて、カードマスターを睨みつける。
『クク・・・人間のペットに成り下がった奴が何をぬかす・・・』
ダンッ!!
カードマスターの軽口を鈍い音がさえぎる。
ハジメが椅子を蹴り、立ち上がっていた。
怒りに燃える視線がカードマスターを貫く。
「許さねぇ・・・」
静かだが、強い意思のこもった声が紡がれる。
「よりにもよって、さつきの一番大切なものを使ってあいつを弄びやがって・・・!!お前だけは絶対ゆるさねぇ!!!」
しかし、その言葉を受けてもなお、カードマスターから余裕は消えない。
『ククク・・・威勢がいいのは結構だが、今は君自身が友達との別れを惜しんだ方がいいのではないかな・・・?このターンの私の攻撃で、君のライフポイントは0になる・・・。そうなれば、君の魂も私のものだ・・・。』
そう言いながら、ハジメにとどめを刺すためのカードを場に出す。
『・・・覚悟はいいかね・・・?』
勝利を確信した顔で、カードマスターはハジメにそう告げる。
「・・・。」
ハジメは無言でテーブルの上のカードを見つめている。カードマスターはそれを諦めととった。
『・・・往生際のいいことだ・・・。なかなかに楽しめたゲームだったよ・・・。それでは・・・さようなら・・・。』
そして、カードマスターは最後の攻撃を宣言した。
続く
posted by 土斑猫(まだらねこ) at 11:53| 死を招く遊戯・黄昏のカードマスター(学校の怪談・完結)