さて、皆様こんばんわ。水曜日、学校の怪談の日です。今日から新作(といっても、本作放送当時に書いたものですが・・・)の掲載です。今回の作品は遊戯王OCGがらみのものとなっているので、知らない方にはちょっと分かりずらい描写があるかもしれません。もしそうでしたらすいません(汗)。では、本編の前にコメント返し。
げっぴょうさん
同盟から流れ着きました、げっびょうというものです。
フィ―――シュッ!!釣れたぜ―――!!これからもよろしくお願いします。
数年ぶりに半月のノーマルのSSが見れて、感激ものです。 数年前、半月大作長編の作者が失踪してしまい「ノーマルの半月SSはもう見れないのか」と落胆していましたので、嬉しさ倍ものです。
・・・え?あれ?半月のノーマルSSってそんなに少ないの?っていうか小生のってノーマル?すでに某作とのクロスオーバーが発生してるんだけど・・・(汗)
失踪しないようにゆっくりでもいいので頑張ってください!
あ、大丈夫です。失踪しても行く所ないんで(笑)
zaru-guさん
ドリアード先生に宿題を出されたウィンは、ずいぶん遠くまで来てしまったようですね・・・・・・。旅に出ることが前提となる事から考えても、この宿題、とてもハードであることがわかる。まったく、ヒデェ話だ。
悪気はないんですよ。いや、本当に。
さて、ウィンの性格ですが、やはり私のイメージとは少しズレがあるようです。土斑猫さんが書くウィンは私のイメージと比べると、@少し好戦的だ。A知的だ。 というところでしょうか。まあ、それぐらいしか違わないですが。
物怖じしない大物ぶりや、なんだかんだでプチリュウにフォローされてるところなんかはしっくりきます。
個人的には「普段は天然だけど、やるときゃやるタイプ」と言う感じです。個人的に、おバカ担当は他にいるんで(笑)。
あ、そうだ、もう一つ。
リンク集の遊戯王カードWiki(霊使い関連)をクリックすると霊使いのページではなく、遊戯王カードwikiのトップページに行くんですけどこれであってるんでしょうか?こちらの手違い勘違いだったらごめんなさい。
あ、合ってます。これ読む方々が全員OCGに精通しているとは限らないので、他の項目も調べやすい様にあえてトップページに行く様にリンクを貼ってます。
(決して、霊使いのページに、直接、リンクするって、発想がなかった、ていう訳じゃ、ないです、よ?)
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死を呼ぶ遊戯・黄昏のカードマスター
(プロローグ)
君・・・そう・・そこの君だ・・・。
どうだい・・・?私とゲームをしないか・・・?
そう・・・今流行りのあのゲームさ・・・。君も知ってるだろう・・・?
賭けるものは君の「魂」でどうだね・・・?
何・・・?割に合わない・・・?
くく・・・そうかな・・・?
では、私の賭けるものを教えてあげよう・・・。
・・・どうだい?これでもまだ割に合わないと思うかね・・・?
くく・・・そうか、やるか・・・。
それでは始めよう・・・。
くっくっくっくっくっ・・・
―1―
「よーし!!これでどうだ!!」
「甘い!!トラップカード発動!!」
「うわ!!またやられた・・・。」
放課後の教室に、ハジメと敬一郎の楽しげな声が響き渡る。
二人の前に並んでいるのは、数十枚のカード。最近子供達の間で流行っているカードゲームである。
「へへ、まだまだだな。敬一郎、戦略が見え見えだぜ。」
「う〜ん・・・。どこが駄目なんだろ・・・。」
真剣な表情でゲームに興じる二人を眺めながら、さつきが呆れた様につぶやく。
「はぁ・・・まったく、あんなものに夢中んなっちゃって・・幼稚なんだから・・・。」
不可解極まるといった顔つきのさつきに、桃子が声をかける。
「でも、本当にすごい人気の様ですね。あのゲーム、私のクラスでも休み時間には男の子達が夢中になってやっていますわ。」
「桃子ちゃんのクラスでも?」
「ええ。でも、その人気のせいで子供同士の間で賭け勝負が行われたり、珍しいカードを高額で売りつけたりする大人が出てきたり、万引きが増えたりして、けっこう世間では問題になっているみたいですど・・・。」
「ふ〜ん。そうなんだ。」
「その事なんですけどね・・・」
「ん?」
突然声をはさんできたレオに、さつきと桃子が何事かと目を向ける。
「さつきさん達は「黄昏のカードマスター」ってご存知ですか・・・?」
「は・・?なぁに?それ・・・」
訝しげに首を傾げるさつき達に、レオは眼鏡を怪しく輝かせながら説明を始める。
「最近ネットを通じて広がり始めた、割と新しい都市伝説なんです。それによると、この「黄昏のカードマスター」というお化けは夕暮れ、つまり黄昏時に人気の少ない路地に、包帯でグルグル巻きの身体に黒いチューリップ帽、黒いぶかぶかのコートを身にまとった姿で現れ、通りがかった子供達にカードゲームを持ちかけてくるんだそうです。そしてもし、そのゲームに負けてしまうと、その子は魂を奪われ、廃人にされてしまうとか・・・。」
レオの話に、さつきは小首を傾げる。
「何だ。それなら、勝負を受けなきゃいいだけじゃない?」
さつきの言葉にレオは首を振る。
「・・・それがですね、その「黄昏のカードマスター」は子供をゲームに誘う時、賭けを一つ、持ちかけてくるそうです。」
「賭け?」
「はい。その賭けでだされる品が、何故か必ずその子が一番欲しいもので、どうしてもゲームを受けざるをえないそうです。」
「・・・命より欲しいものって何よ?」
「さぁ、そこまではさすがに僕も・・・。」
さつきとレオが小首を傾げていると、ガラリと教室の戸が開いた。顔を覗かせたのは担任の坂田。
「おーい、お前ら。下校時間とっくに過ぎてるぞ。早く帰れー。」
「「「「「はーい。」」」」」
外を見れば、夕焼けも深まり、時は黄昏時へと移りつつあった。
「あ、いっけない!!」
皆でつるんでの帰り道、唐突にさつきが声を上げた。
「?、どうしました?」
桃子の問いかけに、さつきは慌てた様子で答える。
「宿題のプリント、教室に忘れてきちゃった!!明日までに提出しなきゃいけないのに・・・。」
「バーカ、ボケッとしてっからだよ。」
「何よ、悪かったわね!!」
ハジメの茶々入れに憮然としながらも、さつきは申し訳なさそうに皆に言う。
「皆、ごめん!!先に帰ってて。ハジメ、敬一郎の事、お願い。」
「あ、ああ。」
ハジメの了承の返事を聞くよりも早く、さつきは黄昏の薄闇の中、学校への道を引き返していった。
―2―
「あ〜あ・・・ほんと、まいったなぁ・・。早くプリント取って帰らないと・・・。」
ブツブツ言いながら学校へと急いでいたさつきは、ふと自分が見たこともない路地を走っている事に気が付いた。
「え・・・?ここ・・何処・・・?学校の近くにこんな場所、あったっけ・・・?」
慌てて立ち止まり、周りを見回す。
狭い道路、木製の電信柱、明りの点いていない木造の家々とそれらを囲む板張りの囲い、そして妙に暗い光を放つ電球をはめ込んだだけの街灯・・・。
そこはまるで、昭和初期の下町の様な光景である。
「どうなってるの・・・?」
何度考えて見ても、天の川小学校の周辺にこの様な路地があるという記憶はさつきにはなかった。
「やだ・・・何か・・気持ち悪い・・・。」
辺りにたちこめる異様な空気に悪寒を覚え、引き返そうとさつきがきびすを返し
たその時ー
『君・・・』
「きゃっ!!」
唐突に背後から声をかけられ、さつきは飛び上がらんばかりに驚く。
慌てて振り返ると、外灯の薄明かりの下に、一つの人影がたたずんでいた。
その人影は黒いチューリップ帽を目深にかぶり、同じ様に黒く丈の長いぶかぶかのコートで身を包んでいる。全身黒尽くめのその姿は、まるで影そのものが地面から伸び上がった様に見える。
「だ、誰・・・?」
警戒するさつきに構わず、影は言葉を続ける。
『君・・・、私とゲームをしないかね・・・?』
そう言いながらコートから出した手には、その下が見えない程包帯がグルグルに巻かれている。と、その包帯の固まりの様な掌の上に、ズズッと盛り上がってきたものがある。それは、デッキと呼ばれるカードの束だった。
「!!・・・」
その言葉を聞いたさつきの脳裏に、先ほどのレオの話が思い出される。
「あなた・・・まさか、「黄昏のカードマスター」・・・?」
さつきの言葉に、包帯の隙間からのぞく口がニヤリと歪む。
『確かに、巷ではそう呼ばれているようだね・・・。私の事を知っているのなら話は早い・・・。どうだね・・・私と勝負をしないか・・・?賭けるものはもちろん、君の「魂」・・・。』
影、「カードマスター」のその言葉と同時に、さつきの前に真っ黒いテーブルが現れる。
「そんな事言われて・・・受けると思うの・・・?」
ジリジリと後ずさりながら、さつきは必死に現状の打開策を考えていた。
(大丈夫・・・レオ君の話が正しければ・・・勝負さえ受けなければ、こいつは何もできやしない・・・。)
そんなさつきの心中を知ってか知らずか、カードマスターはなおも話しかけてくる。
『くくく・・・そんな賭けは割に合わないと・・・?』
「当たり前でしょ。あんた達お化けには分からないでしょうけど、人間には命が一番大事なのよ・・・。」
『くくく・・・そうかね・・・?それなら、私が何を賭けるか教えてあげよう・・・。きっと、気に入ってもらえると思うがね・・・。』
そう言うと、コートの中から一枚のカードを取り出し、その絵柄をさつきにさらす。
「言ってるでしょ!!何を出されたって・・・!!!」
はねつけようとしたさつきの声が唐突に詰まり、その顔が驚きに強張る。
「・・・それって・・・どういう事・・・?」
驚きに呆然とした顔で訊ねるさつきに、ニヤニヤした笑みを浮かべながらカードマスターが答える。
『・・・見ての通りさ・・・。私の勝負を受けて君が勝てば、このカードに描かれているものが君のものになる・・・。いや・・・君の元に「戻ってくる」・・・と言った方が正しいかな・・・?』
「・・・!!!」
影の言葉にさつきが息を呑む。
しばしの沈黙の後、さつきは絞り出す様な声で訊ねる。
「・・・それは・・・」
『うん・・・?』
「本当なの・・・?本当に・・・わたしが勝てば・・・」
『私は人間とは違う・・・。約束は違えんさ・・・。』
「・・・」
さつきの苦悩する様を楽しむかの様に、薄笑みを浮かべながらカードマスターがその「賞品」をちらつかせる。
『さあ・・・どうする・・・?勝負を受けるも受けないも君の自由・・・。もっとも、勝負を受けなければ「これ」を取り戻す機会も、永遠に失う事になる訳だが・・・。』
(永遠に・・・)
その言葉がさつきの迷いを押し切った。
「・・・分かった・・・。やるわ・・・!!」
さつきのその言葉に、カードマスターはうれしそうに含み笑いをする。
『くくく・・・そう言ってくれると思ったよ・・・。では・・・』
影が指を鳴らすと、テ−ブルの上に無数のカードが現れる。
『それを使って、好きな様にデッキを作りたまえ・・・。ルールは知っている様だね・・・。まあ、じっくりと考えるがいい・・・。』
その言葉に促され、さつきの手がカードに伸びる。
「負けない・・・負けるもんか・・・絶対に・・・絶対に・・・!!」
まるで何かに憑かれたかの様に、さつきは黙々とカードを選んでいく。
その鬼気迫るとも言える様子を、カードマスターは面白くてたまらないといった表情で眺めていた。
数分後、さつきの手には四十枚のカードがデッキとして握られていた。
それを見たカードマスターが、目を細める。
『準備はいいようだね・・・。それではそろそろ始めるとしよう・・・。さぁ・・・楽しいゲームをしようじゃないか・・・。』
かくて、死出の遊戯はその幕を開けた・・・。
続く