2016年12月14日
公民科授業実践・アメリカ軍によるイラク捕虜の虐待について‐法政大学通信教育部教職課程(公民科教育法リポート)
公民科授業実践・アメリカ軍によるイラク捕虜の虐待について‐法政大学通信教育部教職課程‐公民科教育法リポート(2005年作成)
若者の平和に対する意識を考えると、まず、資料1では、イラク派遣で自衛隊入隊辞退者が続出しているとの事です。
自衛隊は国の仕事であり、国家公務員として、収入の安定した人気の職業です。
私自身も高校時代、航空自衛隊の試験を受けた事もあり、また、同級生も何人か自衛隊の採用試験を受けていました。
自衛隊の入隊辞退者が続出したと言う事は、イラク派遣によって、戦争の危険性が高まったと言う事が原因だと思われる。
自衛隊入隊を希望した若者は、安定職として自衛隊を選んだだけで、戦争はしたくないという事であろう。
資料1から若者は戦争には行きたくない、また、平和を望んでいると言う事が言える。
ちなみに、私の母校でもあり、教育実習に行った高校では、今のところ自衛隊入隊希望者はいないとの事です。
次ぎに、資料2では、高校生の憲法意識調査を行っている。
この資料では、戦争を放棄した憲法第9条について取り扱っている。
資料2では若者は、約4割以上の人達が9条を変えない方がよいとなっている。
また、自衛隊のイラク派遣についても、半数近い人達が反対を唱えている。
若者の意識として、戦争を反対し、戦争には行きたくない、また、平和を望んでいると言う事が考えられる。
そして、日本の平和が現在保たれている理由に関しても、平和憲法の存在が1番となっている。
しかし、日米安全保障条約の存在が2番になっている事は、抑止的な武力は認めるという意味にも取れる。
これらの事をまとめると、若者は、日米安保や自衛隊の存在を認めているので、武力の保持に関しては認める。
しかし、保持した武力は使うべきではなく、戦争は絶対にしてはいけないものとして捉えている。
若者は戦争の無い平和な世の中を望んでいると言う事が言えるでしょう。
今回の授業プランは、若者のもっと平和に対する意識を持ってもらいたくて作りました。
戦争というものはいかに残酷でぜったいにしてはいけない行為である。しかし、人間の歴史は戦争を繰り返してきました。
でも、戦争を繰り返してきた歴史から、人類は国際法という戦争の中にも人権的な秩序を考える思想を手に入れました。
授業のポイントとなるのは、国際法の存在とイラク戦争で、明らかに国際法違反をしているアメリカの行為である。
国際法の中で捕虜に関する項目は主にジュネーブ諸条約の第三条の中にある。
内容は、捕虜は敵対行為をしないように自由を奪われることはあるが、しかし、捕虜はつねに人道的に待遇され、不法な加害行為から保護されなければならない。
そして、例えどんな罪を犯している捕虜であっても、捕虜としての権利を認めなければならない。
生徒にはジュネーブ諸条約の内容を提示することによって、授業の最初に配る捕虜虐待の写真から推測すると、あきらかに、アメリカ軍がジュネーブ諸条約違反をしていることを分かってもらえると思う。
しかし、授業の本当の目的は、アメリカ軍によるイラク兵捕虜虐待問題ではない。国際法の存在にある。
国際法は国際間の法律である。
例えば、国家間の紛争時の取り決めや防衛、制裁、また商業的な取り決めなどあらゆる目的の国際法が存在している。
捕虜に関する事も国際法の一つに明記されている事柄である。
捕虜に関する国際法律の最初は、発行こそされなかったが1874年のブリュッセル宣言である。
以後、捕虜に関する法律は作られていき、そして、世界大戦の経験を通じて、1929年にジュネーブ諸条約ができた。
このようにジュネーブ諸条約は、人類の人権にたいする目覚めや戦争の悲劇などを通じて、施行作後を繰り返しながら作られたかけがえのないものであることを知ってもらう。
そして、身近な問題として過去の日本の国際法を無視した非人道的な捕虜の扱いも紹介して、戦争に対する問題点を知ってもらう。
今回の授業の分野は現代社会の国際情勢の項目で行う。
今回の授業は高校生を対象に考えた授業プランである。
導入―― 学習内容@ アメリカ軍によるイラク人捕虜虐待問題
学習活動――用意した(資料3)イラク兵捕虜虐待現場の写真のコピーを生徒にくばる。
・生徒と自由な会話のやりとりをしながら説明していく。
展開――学習内容@ 捕虜虐待について、生徒に意見を求める。
学習内容A なぜ捕虜を虐待したらいけないのか?
学習内容B 国際法の存在
学習内容C 国際法の歴史
学習活動――@ 生徒と一緒にアメリカ軍による捕虜の虐待について考え、生徒一人一人に自由で率直な意見を求める。
学習活動――A人間は10人いたら10人の考えかたがあるので、なぜ捕虜を虐待したらいけないのかという意見もあると思われる。そして、この問いに対して、生徒にそれぞれに自由な意見を求める。
学習活動――B学習活動Aの問に対する答えを私が考えたのが国際法の存在である。生徒に学習活動の答えの一例として、資料4を生徒に配り、資料4が捕虜の扱いに関する法についての資料である事を生徒に告げ、国際間には国際法という法が存在する事を生徒に分かってもらう。資料4は国際法の中の一つジュネーブ諸条約の捕虜に関する項目を整理して、また、捕虜に関する条約の一部を記載しているものである。資料4に記載されている記述を考えていくと、明らかにアメリカ軍は国際法違反を行っていることを生徒に分かってもらう。
学習活動――C捕虜に対する虐待は今回のアメリカ軍によるイラク兵捕虜虐待問題が初めてではなく、歴史をさかのぼっていけば過去幾度となく捕虜の虐待は行われてきた。捕虜虐待事例として身近な所から旧日本軍の第2次大戦中の行いを説明する。日本軍はジュネーブ諸条約を無視して、捕虜の虐待を行った。例えば、労務の酷使で、多くの捕虜を死なしてしまった。日本軍に捕まった捕虜の約4人に1人が死亡したと考えられている。この日本軍の捕虜に対する扱いを生徒に言葉と黒板への板書によって説明していく。
そして、捕虜虐待の歴史に対する反省から、国際法の中で捕虜に関する条約が作られていく。そして、国際法は人類が過去の反省を踏まえて、人間の人権を尊重し守るために作られた大切な法律であることを分かってもらう。
まとめ――@ 学習活動@本日のまとめと人権問題への関心
学習活動――A 今日のまとめを行う。そして、今日の授業からアメリカ軍によるイラク兵虐待問題は決して許されるものではないことを生徒に分かってもらい、例え戦争という特殊な空間であっても、また、どのような情況下の人間であっても、人には人権があり、その権利はだれであってもけっして、侵してはいけない大切なものであることを生徒に知ってもらう。
参考文献
(国際法第3版 有斐閣 1997年)
(http://www4.ocn.ne.jp/^tishiki/junebujouyaku.html ホームページ)
(日本とイギリスの「苦い過去」 小管信子 歴史書懇話会)
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若者の平和に対する意識を考えると、まず、資料1では、イラク派遣で自衛隊入隊辞退者が続出しているとの事です。
自衛隊は国の仕事であり、国家公務員として、収入の安定した人気の職業です。
私自身も高校時代、航空自衛隊の試験を受けた事もあり、また、同級生も何人か自衛隊の採用試験を受けていました。
自衛隊の入隊辞退者が続出したと言う事は、イラク派遣によって、戦争の危険性が高まったと言う事が原因だと思われる。
自衛隊入隊を希望した若者は、安定職として自衛隊を選んだだけで、戦争はしたくないという事であろう。
資料1から若者は戦争には行きたくない、また、平和を望んでいると言う事が言える。
ちなみに、私の母校でもあり、教育実習に行った高校では、今のところ自衛隊入隊希望者はいないとの事です。
次ぎに、資料2では、高校生の憲法意識調査を行っている。
この資料では、戦争を放棄した憲法第9条について取り扱っている。
資料2では若者は、約4割以上の人達が9条を変えない方がよいとなっている。
また、自衛隊のイラク派遣についても、半数近い人達が反対を唱えている。
若者の意識として、戦争を反対し、戦争には行きたくない、また、平和を望んでいると言う事が考えられる。
そして、日本の平和が現在保たれている理由に関しても、平和憲法の存在が1番となっている。
しかし、日米安全保障条約の存在が2番になっている事は、抑止的な武力は認めるという意味にも取れる。
これらの事をまとめると、若者は、日米安保や自衛隊の存在を認めているので、武力の保持に関しては認める。
しかし、保持した武力は使うべきではなく、戦争は絶対にしてはいけないものとして捉えている。
若者は戦争の無い平和な世の中を望んでいると言う事が言えるでしょう。
今回の授業プランは、若者のもっと平和に対する意識を持ってもらいたくて作りました。
戦争というものはいかに残酷でぜったいにしてはいけない行為である。しかし、人間の歴史は戦争を繰り返してきました。
でも、戦争を繰り返してきた歴史から、人類は国際法という戦争の中にも人権的な秩序を考える思想を手に入れました。
授業のポイントとなるのは、国際法の存在とイラク戦争で、明らかに国際法違反をしているアメリカの行為である。
国際法の中で捕虜に関する項目は主にジュネーブ諸条約の第三条の中にある。
内容は、捕虜は敵対行為をしないように自由を奪われることはあるが、しかし、捕虜はつねに人道的に待遇され、不法な加害行為から保護されなければならない。
そして、例えどんな罪を犯している捕虜であっても、捕虜としての権利を認めなければならない。
生徒にはジュネーブ諸条約の内容を提示することによって、授業の最初に配る捕虜虐待の写真から推測すると、あきらかに、アメリカ軍がジュネーブ諸条約違反をしていることを分かってもらえると思う。
しかし、授業の本当の目的は、アメリカ軍によるイラク兵捕虜虐待問題ではない。国際法の存在にある。
国際法は国際間の法律である。
例えば、国家間の紛争時の取り決めや防衛、制裁、また商業的な取り決めなどあらゆる目的の国際法が存在している。
捕虜に関する事も国際法の一つに明記されている事柄である。
捕虜に関する国際法律の最初は、発行こそされなかったが1874年のブリュッセル宣言である。
以後、捕虜に関する法律は作られていき、そして、世界大戦の経験を通じて、1929年にジュネーブ諸条約ができた。
このようにジュネーブ諸条約は、人類の人権にたいする目覚めや戦争の悲劇などを通じて、施行作後を繰り返しながら作られたかけがえのないものであることを知ってもらう。
そして、身近な問題として過去の日本の国際法を無視した非人道的な捕虜の扱いも紹介して、戦争に対する問題点を知ってもらう。
今回の授業の分野は現代社会の国際情勢の項目で行う。
今回の授業は高校生を対象に考えた授業プランである。
導入―― 学習内容@ アメリカ軍によるイラク人捕虜虐待問題
学習活動――用意した(資料3)イラク兵捕虜虐待現場の写真のコピーを生徒にくばる。
・生徒と自由な会話のやりとりをしながら説明していく。
展開――学習内容@ 捕虜虐待について、生徒に意見を求める。
学習内容A なぜ捕虜を虐待したらいけないのか?
学習内容B 国際法の存在
学習内容C 国際法の歴史
学習活動――@ 生徒と一緒にアメリカ軍による捕虜の虐待について考え、生徒一人一人に自由で率直な意見を求める。
学習活動――A人間は10人いたら10人の考えかたがあるので、なぜ捕虜を虐待したらいけないのかという意見もあると思われる。そして、この問いに対して、生徒にそれぞれに自由な意見を求める。
学習活動――B学習活動Aの問に対する答えを私が考えたのが国際法の存在である。生徒に学習活動の答えの一例として、資料4を生徒に配り、資料4が捕虜の扱いに関する法についての資料である事を生徒に告げ、国際間には国際法という法が存在する事を生徒に分かってもらう。資料4は国際法の中の一つジュネーブ諸条約の捕虜に関する項目を整理して、また、捕虜に関する条約の一部を記載しているものである。資料4に記載されている記述を考えていくと、明らかにアメリカ軍は国際法違反を行っていることを生徒に分かってもらう。
学習活動――C捕虜に対する虐待は今回のアメリカ軍によるイラク兵捕虜虐待問題が初めてではなく、歴史をさかのぼっていけば過去幾度となく捕虜の虐待は行われてきた。捕虜虐待事例として身近な所から旧日本軍の第2次大戦中の行いを説明する。日本軍はジュネーブ諸条約を無視して、捕虜の虐待を行った。例えば、労務の酷使で、多くの捕虜を死なしてしまった。日本軍に捕まった捕虜の約4人に1人が死亡したと考えられている。この日本軍の捕虜に対する扱いを生徒に言葉と黒板への板書によって説明していく。
そして、捕虜虐待の歴史に対する反省から、国際法の中で捕虜に関する条約が作られていく。そして、国際法は人類が過去の反省を踏まえて、人間の人権を尊重し守るために作られた大切な法律であることを分かってもらう。
まとめ――@ 学習活動@本日のまとめと人権問題への関心
学習活動――A 今日のまとめを行う。そして、今日の授業からアメリカ軍によるイラク兵虐待問題は決して許されるものではないことを生徒に分かってもらい、例え戦争という特殊な空間であっても、また、どのような情況下の人間であっても、人には人権があり、その権利はだれであってもけっして、侵してはいけない大切なものであることを生徒に知ってもらう。
参考文献
(国際法第3版 有斐閣 1997年)
(http://www4.ocn.ne.jp/^tishiki/junebujouyaku.html ホームページ)
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