2020年06月25日
パワハラと企業価値の関係
先日の記事『米国企業に流れる新たな風潮』でも述べたESG投資への風潮について、前回の記事ではE(環境)とS(社会)に対する米国企業の思想の転換について述べましたが、今回G(ガバナンス)の部分で日本企業にも浸透しつつあるんだなと感じた日経ビジネスのコラム『「全役員クビ」突きつけられた駅探 大株主が独自候補』について記事を書いてみようと思います
記事の概要としては、駅探(コード:3646)の大株主であるCEホールディングス(コード:4320)が駅探取締役のパワハラを問題視し、現経営陣を全て解任し、独自の取締役候補案を提示したというもの。
事の発端は、CEホールディングスの窓口を担当する駅探社員が頻繁に退職することを不審に思ったCEホールディングス側が調査をしたところ、今回問題となった駅探取締役のパワハラが背景にあったことが発覚
しかもふたを開けてみると、2016年3月期から20年3月期の5年間で、20年3月末の社員数64人を上回る65人の退職者を出しているという、すさまじい組織崩壊ぶりで、CEホールディングスもこの問題を看過することが出来ず、パワハラを長年容認してきた現経営陣の総解任提案に至ったという流れのようです
どの程度今回問題となった取締役のパワハラが影響していたかは定かではないですが、幹部クラスの社員の流出が起こっていたことは、事実のようであり、企業の事業推進の観点で多大なる負の影響があったことは間違いないでしょう
このような事案を見ると確かにESGの観点での投資は大事なのかもしれないと感じました
(今回のケースは、企業統治、ガバナンスに関する「G」の観点ですね)
一見、企業の損益とは関係なさそうに見える「パワハラの放置」という事象が、組織の崩壊、そして企業の弱体化という流れにもつながることから、財務・業績のみで企業を判断することの危険性に対して、改めて警鐘を鳴らした形ですね。
実際、駅探は自己資本比率80%越えで有利子負債も少なめと財務上は優良企業なので、通常の財務・業績分析だと、あまり問題視されることはなさそうですが、2020年3月期の決算は大幅減益となっています
ESGの観点は、財務・業績のように中々数値評価しづらいところもあり比較分析することは難しいかもしれませんが、世界的に見てもこれから重要な企業分析項目の一つとなっていきそうですね
このブログを応援していただける方は、下の「金融・投資人気ブログランキング」バナーをクリックしてもらえると嬉しいです
金融・投資ランキング
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/9959140
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック