2020年05月15日
政府の劣後ローンによる大企業支援
政府与党が13日、大企業の財務基盤強化のために、日本政策投資銀行を通じた劣後ローン供給の調整に入ったとのニュースがありましたので、今回はこちらについて触れてみようと思います
劣後ローンとは、融資先が破綻したりした際に、債権者に弁済するにあたり、弁済の優先順位が最下位になるようなローンのことです。
つまり、他の債権者が返済原資を全部取っていってしまって、それでも資産が残ってたら返してもらえるよ、という程度の契約のため、貸した資金が戻ってこない可能性が高いローンになります
(実際、債務超過で法的整理が行われた際は、劣後ローンは返済される見込みがないと言っていいぐらいの扱いになります。)
このように、ローンでありながら貸した側のリスクが非常に高くなるため、一般的に利子が高くなる傾向にあるのと、倒産時に貸した金が戻ってこない可能性が非常に高いなど、株式に近い性質を持っていることから、銀行などの自己資本規制比率上では通常のローンのような負債の扱いではなく、自己資本としてみなされるという特徴があります。
(ただし、企業会計上は負債の扱いになります。企業会計上の負債、自己資本については『有望株選別に役立つ財務諸表の見方』もご覧ください。)
ローンでありながら、銀行が企業の融資査定を行う際には、負債ではなく自己資本とみなされるため、負債の割合が減り、銀行も財務状況安定と判断し、企業が追加融資を受けやすくなるというメリットがあります
このように政府は大企業に対して大盤振る舞いとも思える融資をしておりますが、実際は、大企業に対してだけではなく、中小企業に対しても様々な補助金、助成金により援助をしているような状況です。
総額としては、莫大な額になることが予想されますが、今までインフレ推進のために極度な量的緩和を行ってきたにもかかわらず借りる人がおらずに、中々うまくいっていなかったことを考慮すると、今回の融資は今後の経済に対する起爆剤となりえるのかもしれません
(しかも今回の補助は、一時的な資金繰り補助にとどまらず、今回の問題を機に生産性向上や効率化UPを目的に補助しているケースも結構あるようです。)
コロナウィルスの問題は全世界で経済の冷え込みをもたらしましたが、これらの策が功を奏し、従来通りの経済活動では到達することが出来なかったであろう未来に向けて、突き進むことが出来ればいいですね
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