2020年10月13日
デジタル通貨の発展がもたらす基軸通貨国の争い
今回は、日経記事『日銀がデジタル通貨実験 「21年度の早い時期に」』について取り上げてみようと思います
記事の概要としては、世界各国の中央銀行がデジタル通貨発行を目指す中、日銀もデジタル通貨に関する実証実験を2021年度に実施すると発表されたものです
世界各国の中央銀行がデジタル通貨の発行を進めようとしている理由はいくつかありますが、概ね以下の通りとなります。
@他国や民間機関の発行するデジタル通貨の流通により、決済データが他国に流出したりテロ組織に使われたりすると経済安全保障の問題になる。
A自国以外の発行する通貨の流通が増えれば、金利調節などの金融政策の効果が及ばなくなる恐れがあり、ひいては物価のコントロールができず、経済に打撃を与える可能性がある。
B現金と比べて、保管や輸送のコストが低減できる。
C資金移動の透明性が高まり、脱税の防止につながる。
中国は、デジタル通貨の分野で諸外国よりも一歩先んじており、昨日10/12より広東省深圳市の現地在住中国人を対象に、買い物にデジタル人民元を利用する実証実験を始めています
このような中国の動きを警戒した日米欧がタッグを組み、デジタル通貨の導入を進めていこうとしているのが現状であり、冒頭の日銀の実証実験もそれに伴って行われるという訳です
現在のアメリカの経済的な力強さの要因は色々あると思いますが、その中で、自国通貨が世界の基軸通貨になっているということが一つ理由として挙げられるのではないかと思います
(貿易における為替取引を必要としない、資金不足の時にお金を刷って対応しても通貨の価値が他国と比べて下がりにくい、など)
それを考えると、世界経済を掌握する上で基軸通貨の地位を守り続けるということはとても重要な事であり、アメリカにとっては、冒頭4つの目的よりも、中国に基軸通貨国の座を奪われることの方がよっぽど恐れているのではないかと思います
日本においてもアメリカほどではありませんが、世界の基軸通貨として米ドル、ユーロに次ぐ3番目の地位を確立していますので、この地位は何とか守りたいところです
しかしながら、日銀は今回のデジタル通貨の実証実験について、他国との協調の面で実施している感が強く、「今の時点でデジタル通貨を発行する計画はない」などとあまり積極的ではない様子も見られるようです
デジタル通貨戦争の勝者が、未来の世界経済の中心となる可能性が高いと思われる中、政府・日銀の今後の対応に注目していきたいところですね
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