2020年09月19日
高金利通貨の危険性
今回はFXによる失敗ではありませんが、私の外国債券での失敗を基に、FXにおける新興国通貨取引における注意事項についてご説明したいと思います
高金利通貨とは?
高金利通貨とは、政策金利の高い国の通貨のことで、主に新興国通貨が該当することが多いです
例えば、日本やアメリカ、ヨーロッパなど、先進国と言われる国の金利がマイナス金利や0.5%を下回るような金利となっている中で、新興国の金利は、
トルコ⇒6.75%
メキシコ⇒4.51%
中国⇒4.35%
ロシア⇒4.25%
インド⇒4.00%
南アフリカ⇒3.50%
ブラジル⇒2.00%
のように、先進国の金利の数十倍くらいの政策金利が設定されています
(現在は、コロナウィルスがもたらした経済影響への対応として、全世界的に低金利化が進み、上記のような金利となっていますが、2018年後半から2019年前半頃のトルコリラの政策金利は、なんと年率24%にまで到達するほどのレベルでした。)
このように新興国通貨の金利が高い背景として、先進国と比べて新興国は
@政治経済の不安定さがある
A為替の変動率が高い
B債務履行の信用度が低い
などのリスクがあり、一般的に先進国よりも、投資先としては敬遠されがちなことが挙げられます
(つまり、新興国が外貨を獲得するためには、高金利による投資メリットを投資家に訴える必要がある、ということです。)
ちなみに、FXにおけるスワップポイント(スワップポイントの詳細は『FXの魅力』の記事もご覧ください。)は、二国間の政策金利差分が基本的に収入となりますので、政策金利の高い高金利通貨を、政策金利の低い通貨で購入するペアを選ぶ(例えばトルコリラ/日本円のペアでトルコリラ買い、などをする)とスワップポイントだけでかなりの額を稼ぐことが出来ます
(例えばSBI証券のFXにおいて、約15,000円程度でレバレッジ10倍でトルコリラを買うと一日当たり10〜20円程度入ってくる形になります)
このような理由により、高金利通貨を用いてスワップポイントを稼ぐFX手法というのが、それなりに世間一般では、確立されているのですが、この手法には重大な注意点があるので、私の失敗談を通してそれをお伝えしようと思います
トルコリラ債券での私の失敗
私が失敗したのは、FXのスワップポイント稼ぎではなく、トルコリラ債券への投資になりますが、失敗の本質としては同じです。
2015年、私が投資を始めてすぐの頃、年率7.4%もの高利率のトルコリラ債券を見つけた時は、とても魅力的に見えたことを今でも覚えています。
新興国通貨の為替値動きが激しいことは理解していましたが、年率7.4%の3年満期の債券でしたので、為替は約20%弱までの下落であれば、利益が残ることになるため、かなりの確率で利益が得られるだろうと踏んで割と結構な額を投資してしまいました
(当時の私は、為替のイメージとして80円〜120円の間を行き来している米ドル/円のチャートぐらいしか頭にありませんでした。)
しかし、これが悪夢の始まりでした
私がトルコリラ債券の投資を行ったタイミングでのトルコリラ/円のレートは、1トルコリラ当たり約49円程度でしたが、そこからほぼストレートに下落していくような形でトルコリラ安が進んでいき、現在のレートは、何と14円程度まで下落しております
20%減どころか、70%近く減少しており、いくら高金利の利息が付与されたとしても、それを打ち消して余りあるほどの為替差損が発生してしまったというわけです
米ドル/円などのペアではまず見かけられないような、この為替挙動について、真相を知ったのはつい最近の事でした
新興国はインフレ率が高い
冒頭に新興国通貨は先進国通貨と比べて人気がないため、高金利に設定されている、と申し上げましたが、実は高金利に設定されている理由はそれだけではなかったのです
もう一つの理由は、そう、新興国はインフレが激しいから
新興国は経済活動が活発でモノやサービスの需要も高く、インフレ率が高い傾向(例えば、2019年のインフレ率は日本が0.99%なのに対し、トルコは15.46%)にあり、過度のインフレによる経済破綻を防ぐために政策金利を高めにし、通貨流通のコントロールを図っていたのです
(実際、日本もかつて戦後経済の頃のインフレ率は激しく、1980年頃までのインフレ率は平均して10%弱近くにも及び、当時の政策金利に該当する公定歩合もまた、それに近い水準となっていました。)
つまり、このようなインフレ率が高い状況下では、現地通貨安が促進され、必然的に日本円に戻した際の価値が目減りしていくというわけなのです
従って、実際に新興国債券の利回りを検討する際は、その国のインフレ率を差し引いて計算しなければなりません
その点では、トルコの2015年のインフレ率は7.67%でしたので、年率7.4%の債券というのは実質マイナス金利の債券であったというわけです
同じようなことはFXにおける高金利通貨ペアでも言え、たとえ高いスワップポイントが入ってきたとしても、インフレによって対象となる新興国通貨安が起き、結局得たスワップポイント以上の為替差損が発生するということは、かなりの確率で発生し得るため、要注意であると思います
まとめ
今回は、私のトルコリラ債券での失敗を基に、FXで高金利通貨のスワップポイント稼ぎトレードをする上での注意点を述べました
先進国の仲間入りをした後の日本円の挙動しか知らないと、為替は二国間の綱引きで、ある程度均衡が保たれているとの錯覚に陥りがちですが、私の失敗の二の舞とならないよう、新興国通貨には、今回ご説明したような盲点もあるということに気を付けてもらえればと思います
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