2020年08月11日
最低賃金から見る日本経済の行く末
今回は、日経記事『最低賃金、9割の都道府県1〜3円上げ 東京据え置き』について考えていきたいと思います
記事の概要としては、2020年度の最低賃金の方針決定を確認できた都府県の中で、京都、静岡、京都は据え置きで、それ以外の県は1〜3円の上げに留まる方向となった、というものになります。
最低賃金の全国平均額で見た時には、16〜19年度まで、毎年20円を超えるペースで引き上げが行われていただけに、今年は賃上げペースの停滞が起きているといったところでしょうか
コロナウィルスによる社会全体の経済停滞により、賃上げが難しい状況になっているのだろうとは思うのですが、最低賃金の引き上げペースが鈍化することにより、経済回復への更なる停滞を引き起こしかねないと考えています
何故ならば、売り手だけではなく、買い手も存在しなければ市場経済を回していくことが出来ず、その中で最低賃金の向上なくしては、買い手の十分な購買力を確保することが出来ないためです。
つまりこの状況下では、いくら日銀が全力で紙幣を刷りまくっても、買い手の力が不十分であるために、通貨を市場に流通させることが十分に出来ず、経済回復に到達することが困難になると考えます
また、最低賃金の上昇ペース鈍化は、購買力の低下による経済回復の停滞だけでなく、産業の成長鈍化にもつながる可能性があります
何故ならば、最低賃金が低く抑えられることにより、労働者の低賃金に依存することでしか支えられないビジネスが生き残ることとなり、生産性の低い産業構造から脱却が出来なくなるためです
従って、私個人としては、最低賃金はペースを落とすことなく上げ続け、そのような生産性の低いビジネスを淘汰し、高利益体質、高生産性のビジネスへと転換していく必要があるのではないかと思います
具体的には、最低賃金の上昇により経営が出来なくなった企業同士が合併したり、他の企業に吸収されていくことにより、企業規模の大きさによる経営効率化推進や単純作業を機械に任せるだけの設備投資が出来るようになり、生産性の改善、ひいては日本産業の成長へとつながっていくと考えます
現状の日本は、目標インフレ率に中々到達することが出来なかったり、生産年齢人口の減少に伴うGDP低下が危惧されているような状況です
これらの問題を解決するカギの一つとして『最低賃金』があると考えますので、労使の攻防という枠を超えて、社会全体で真剣に議論されることを願うばかりです
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