2024年04月27日
合格しなくてよかった資格
私は今まで30年近く、道路や橋などの公共工事の調査、設計の仕事に従事してきた。
そのような中で、今から30年前までは公共事業の土木工事関係の仕事に就けば
一生食いはぐれはないといわれており、設計職で必要な国家資格である技術士(建設部門)の資格を
取得しようと長年勉強と試験に臨むが、合格できずに数年前に試験制度が変わってから受験をあきらめた。
ところでここ数年、東日本大震災の復興工事が終了、東京五輪が終わると、一挙に公共事業の発注が激減した。
そのような中で仕事の激務と長時間労働、多大なストレスが原因で不安障害、自律神経失調症、うつ病を併発して6年近く治らなかった。
地方では少子高齢化による社会保障費の増大と地方財政のひっ迫なども大きい。
また、高速道路や国道、県道、橋、ダム、上下水道など必要なインフラは戦後から数十年にわたり作られ続け
国内で人口減少が進む中で、必要なインフラは整っているという状況だ。
よって、今後、公共事業が増えることはないし、ここ25年減少しており、その傾向は変わらない。
ただ、国土交通省は1級河川など国内の109水系の河川防災など直轄事業の予算は毎年6兆円近く
国の工事は激減という感じではない。
地方は激減しているが。
よって、必要な公共事業は水害対策、土石流対策、雪害対策など防災分野と既存インフラの補修など維持管理工事である。
地方自治体の仕事だと技術士資格はそれほど必要なく、部門によっては需要が低下している部門もあり、
技術士(建設部門)の弱点は公共工事以外にほとんど必要とされないことだ。
民間工事では1級建築士が必要で、建築士のほうが資格の応用の幅が広いと感じる。
公共事業に情熱を持っている若者には技術士資格は魅力的だろうが、
私のようにもう定年を迎える人間には必要ないし、需要のない資格だ。
それと公共工事の設計業務は12月から翌年の4月上旬までは今でも繁忙で、
月の残業が80時間連続続き、徹夜や休日出勤もあるために体力的に限界だ。
体を壊す。心筋梗塞や脳梗塞、高血圧で倒れそうだ。
しかし、難関資格で公共事業でしか使えない技術士さんは激務の中働くしか生きるすべがない。
私はそのような資格がないから、アルバイトや派遣社員で安い給与で最低限の生活だ。
技術士でも20年前の技術士は名義貸しが横行しており、会社に行かなくとも年収300から400万円
くらいもらえた時代があった。
もう、そのようなおいしいことはない。
難関な技術士資格を持っているとその資格に引きずられて、ほかの仕事に転職は難しいだろう。
ほかの仕事で技術士を必要とする仕事は少ないし、難関資格のためプライドの高い技術士さんが多い。
私は試験に合格できなったため、こだわりがなく自由だ。
宅建士を持っているので、建設コンサル時代に実務経験で得た、様々な実務知識を使いほかの業種で生きることができる。
再び建設コンサルの仕事をしようと考えると気分が暗くなり、いやになる。
東日本大震災で仕事が忙しかった平成27年くらいまで現役で働いた技術士が一番おいしい思いをしただろう。
今は技術士なんて持っていてもCADで設計図面も書けないなら必要とされない。
地方の測量系中小コンサルも仕事が激減し、年間200万円もの名義貸し料も払えないだろう。
5年くらい前までは難関の技術士に合格できなかったことに後悔の念があったが、
今は合格しなくて正解だったと思う。
精神疾患の再発の原因は1に強いストレス、2に長時間労働による睡眠不足、疲労の蓄積があげられている。
よって、私は上記の要因が大きな建設コンサルタントや施工管理のような仕事はしないことが今後の私に必要だと思った。
今後、仕事でうつ病や不安障害を再発させないためには、精神的な負担が少なく、残業の少ない仕事を選ぶ必要があると思う。
ただ、忙しくとも仕事が好きなら、メンタル疾患が再発しないこともあるそうだ。
そういえば、若いころは残業が月100時間を超えることが多かったが、中年になり管理職になると
体力も低下する中で管理職としてのストレスが大きく、仕事が楽しいと思ったことは少なくなったと思う。
だから、私は精神疾患を発病して治るまで数年も時間を要したのだと思う。
ただ、公共インフラの設計を通じて社会の発展や国民生活の向上などみなさんのお役には立てたとは思う。