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2018年04月24日
日経が伝えたG7外相会合の舞台裏
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午前中に更新した記事で、主要7カ国(G7)外相会合で北朝鮮問題はそれほど注目されていなかったと指摘しました。
日本の新聞は常に「日本人向けに記事を書いているのだから日本人が関心を持っていることを大きく扱う」という論理です。ですから、今回のG7外相会合に関する日本の新聞記事を見ると北朝鮮問題が見出しになっているものが大半です。
日本経済新聞の記事の見出しを開幕から閉幕の時系列順に並べると以下のようになります。
G7外相会合開幕 北朝鮮非核化を議論へ
G7外相、北朝鮮に核廃棄要求
河野氏、制裁緩和にクギ
「北朝鮮、G7で異論ない」 河野外相、非核化まで圧力強調
北朝鮮に最大限の圧力
これだけを見ると、今回のG7は「北朝鮮一色」という印象を受けます。しかし、ニューヨークタイムズのサイトでG7の記事を検索すると次のような見出しが並んでいました(記事自体はロイターやAP)。
G7 Foreign Ministers' Summit Opposes Russia's Behavior: U.S. Official
US Envoy: Trump Leads on N. Korea as G7 Ministers Meet
G7 Meeting to Discuss Iran, North Korea and Syria: U.S. Official
G7 Foreign Ministers Condemn Russian Behavior, Says It Impedes Cooperation
G7 Foreign Ministers United in Opposing Russia's Behavior: U.S. Official
Johnson: G7 Officials Focus on Russia's 'Malign' Behavior
やはり欧米メディアにとっては「ロシア対策の会合で北朝鮮やシリアも議論した」という感じなのでしょう。
ただし、日本メディアも丁寧に見ているときちんと舞台裏を報じることがあります。
日経電子版に本日午後4時に掲載された記事「G7、対ロシアで温度差 北朝鮮は連携維持」はきちんと検証しています。
この記事は「ロシアや北朝鮮への立場や関心には差もあり、声明は苦心の末の結束を示す結果となった」と指摘しています。
何のことはない。トロントから遠く離れた所にいる私が想像していたとおり、G7各国が北朝鮮問題で同じような認識を持っているというわけではなかったということですね。
興味深いのは、次のくだりです。
北朝鮮問題は1日目の夕方の会議で取り上げる予定だった。シリア情勢やイラン核合意などを話し合った直前の会議が長引き、約1時間遅れで始まった。予定時間の短縮を余儀なくされ、12時間超だった全体の討議のうち30〜40分ほどだった。
河野太郎外相は「北朝鮮に関してG7で異論はない」というような調子で成果を強調していますが、たいていの国際会議は各国の利害がバラバラで真の意味で一致することは珍しいのです。
この記事は明日の朝刊に載ると思います。外交に関心のある方にとってはとても有意義だと思います。電子版のURLは以下です。ぜひ読んでみてください。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29765210U8A420C1PP8000/
引き続き質問をお待ちしています。
下のコメント欄にお書きください。
日中、気になったニュースをリツイートしたり、つぶやいたりしています。
https://twitter.com/sagamimuneo
2号サイトを開設しました。https://blogs.yahoo.co.jp/sagamimuneo です。
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日本経済新聞の記事の見出しを開幕から閉幕の時系列順に並べると以下のようになります。
G7外相会合開幕 北朝鮮非核化を議論へ
G7外相、北朝鮮に核廃棄要求
河野氏、制裁緩和にクギ
「北朝鮮、G7で異論ない」 河野外相、非核化まで圧力強調
北朝鮮に最大限の圧力
これだけを見ると、今回のG7は「北朝鮮一色」という印象を受けます。しかし、ニューヨークタイムズのサイトでG7の記事を検索すると次のような見出しが並んでいました(記事自体はロイターやAP)。
G7 Foreign Ministers' Summit Opposes Russia's Behavior: U.S. Official
US Envoy: Trump Leads on N. Korea as G7 Ministers Meet
G7 Meeting to Discuss Iran, North Korea and Syria: U.S. Official
G7 Foreign Ministers Condemn Russian Behavior, Says It Impedes Cooperation
G7 Foreign Ministers United in Opposing Russia's Behavior: U.S. Official
Johnson: G7 Officials Focus on Russia's 'Malign' Behavior
やはり欧米メディアにとっては「ロシア対策の会合で北朝鮮やシリアも議論した」という感じなのでしょう。
ただし、日本メディアも丁寧に見ているときちんと舞台裏を報じることがあります。
日経電子版に本日午後4時に掲載された記事「G7、対ロシアで温度差 北朝鮮は連携維持」はきちんと検証しています。
この記事は「ロシアや北朝鮮への立場や関心には差もあり、声明は苦心の末の結束を示す結果となった」と指摘しています。
何のことはない。トロントから遠く離れた所にいる私が想像していたとおり、G7各国が北朝鮮問題で同じような認識を持っているというわけではなかったということですね。
興味深いのは、次のくだりです。
北朝鮮問題は1日目の夕方の会議で取り上げる予定だった。シリア情勢やイラン核合意などを話し合った直前の会議が長引き、約1時間遅れで始まった。予定時間の短縮を余儀なくされ、12時間超だった全体の討議のうち30〜40分ほどだった。
河野太郎外相は「北朝鮮に関してG7で異論はない」というような調子で成果を強調していますが、たいていの国際会議は各国の利害がバラバラで真の意味で一致することは珍しいのです。
この記事は明日の朝刊に載ると思います。外交に関心のある方にとってはとても有意義だと思います。電子版のURLは以下です。ぜひ読んでみてください。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29765210U8A420C1PP8000/
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世界中が朝鮮半島を注視しているわけではない
最近、体調が悪く、更新が途絶えてしまいました。
本当は北朝鮮の核実験場閉鎖宣言や福田淳一事務次官の問題など指摘したいことがあったのですが、致し方ありません。
北朝鮮の核実験場についてはすでに使えなくなっているものであって、おそらく新たに別の実験場を確保しているのではないかと思います。すでに北朝鮮は相当なデータを蓄積しており、それを活用すれば物理的な爆発なしでも核兵器の開発を継続することは可能かもしれません。このことについては、南アフリカがどのように核開発を行ったのかを調べれば理解できると思います。南アフリカはイスラエルと協力して、ほとんど核実験を行わずに核兵器を開発しました。
福田次官の退職金問題は繰り返しになるので今日は詳しく書きませんが、「やはり」ということですね。
今日指摘したいのはG7外相会合について。
日本の新聞を見ると、北朝鮮問題で厳しい姿勢を取ることで各国が一致したことになっています。
確かに、そういう表現を合意文書に盛り込んだわけですが、英語のニュースを見ると全く印象が変わります。ロイターなどの英語のメディアは、ロシアが国際法に反する行動をとっているとしてG7各国が厳しく非難したことを強調しています。北朝鮮問題も論議されたと書いていますが、あくまで主要テーマはロシア。シリア、イランについてもロシアがらみの文脈で、北朝鮮はあくまで議題の一つといった扱いです。
もちろん東アジアでは北朝鮮問題は大きなトピックです。南北首脳会談を直前に控え、6月上旬までに史上初の米朝首脳会談も開かれる流れですから、日本だけでなく韓国や中国でも北朝鮮情勢は大きく取り上げられていますが、欧米の関心は北朝鮮ではないということは知っておいた方が良いと思います。
私が何を言いたいのかというと、「北朝鮮に対する強硬姿勢」を欧米が日本と同じ感覚で共有しているわけではないということです。
多くの日本人がロシアに対して欧米ほどの怒りを抱いていないのと同様に。
もしも日本人が英国人と同じくらいにロシアに対する脅威を感じているなら、安倍晋三首相がプーチン大統領と北方領土交渉を行うことを支持する人はごく少数ということになるでしょう。
繰り返しますが、今回のG7外相外合で欧州が関心を持っているのは北朝鮮ではなくロシア、シリア、イランでした。
日本が拉致問題について各国に協力を求めるなら、ロシア問題で日本は各国の立場を支持しないといけません。それが外交上の取り引きというものです。つまり、北方領土交渉を中断することができるのかどうかということです。「拉致と対ロ関係は別物」と考えるなら、北朝鮮問題で真剣な態度を取らない欧州各国を批判することはできません。それが各国の国益というものですから。
本当は北朝鮮の核実験場閉鎖宣言や福田淳一事務次官の問題など指摘したいことがあったのですが、致し方ありません。
北朝鮮の核実験場についてはすでに使えなくなっているものであって、おそらく新たに別の実験場を確保しているのではないかと思います。すでに北朝鮮は相当なデータを蓄積しており、それを活用すれば物理的な爆発なしでも核兵器の開発を継続することは可能かもしれません。このことについては、南アフリカがどのように核開発を行ったのかを調べれば理解できると思います。南アフリカはイスラエルと協力して、ほとんど核実験を行わずに核兵器を開発しました。
福田次官の退職金問題は繰り返しになるので今日は詳しく書きませんが、「やはり」ということですね。
今日指摘したいのはG7外相会合について。
日本の新聞を見ると、北朝鮮問題で厳しい姿勢を取ることで各国が一致したことになっています。
確かに、そういう表現を合意文書に盛り込んだわけですが、英語のニュースを見ると全く印象が変わります。ロイターなどの英語のメディアは、ロシアが国際法に反する行動をとっているとしてG7各国が厳しく非難したことを強調しています。北朝鮮問題も論議されたと書いていますが、あくまで主要テーマはロシア。シリア、イランについてもロシアがらみの文脈で、北朝鮮はあくまで議題の一つといった扱いです。
もちろん東アジアでは北朝鮮問題は大きなトピックです。南北首脳会談を直前に控え、6月上旬までに史上初の米朝首脳会談も開かれる流れですから、日本だけでなく韓国や中国でも北朝鮮情勢は大きく取り上げられていますが、欧米の関心は北朝鮮ではないということは知っておいた方が良いと思います。
私が何を言いたいのかというと、「北朝鮮に対する強硬姿勢」を欧米が日本と同じ感覚で共有しているわけではないということです。
多くの日本人がロシアに対して欧米ほどの怒りを抱いていないのと同様に。
もしも日本人が英国人と同じくらいにロシアに対する脅威を感じているなら、安倍晋三首相がプーチン大統領と北方領土交渉を行うことを支持する人はごく少数ということになるでしょう。
繰り返しますが、今回のG7外相外合で欧州が関心を持っているのは北朝鮮ではなくロシア、シリア、イランでした。
日本が拉致問題について各国に協力を求めるなら、ロシア問題で日本は各国の立場を支持しないといけません。それが外交上の取り引きというものです。つまり、北方領土交渉を中断することができるのかどうかということです。「拉致と対ロ関係は別物」と考えるなら、北朝鮮問題で真剣な態度を取らない欧州各国を批判することはできません。それが各国の国益というものですから。