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2021年11月30日

<シーズン1> 故郷への遠い道(1)(2014年05月05日)


シーズン1は、先行ブログのデジタルリマスターwです。
(初公開 2014年05月05日16:17)

○ ○ ○ ○ ○

たとえばフレンチなどで、せっかくのソースを残さないため
パンでぬぐうのはありだ。

限りなくお客様にお出しできないレベルの話だが、
最初から○○丼、として調理するのではなく、
丼にご飯を敷いて、その日のおかずをトッピングしてしまうのも、
味としてはありだと思う。

が。サバの味噌煮の煮汁の再利用は、恥ずかしながらしたことがなかった。
焼きサバのほうが好きで、自分では煮魚を作らんからだし、
サバ缶なら、これほど大量の煮汁は出ない。

結果から言えば、
もう一度やれといわれたら、
甘利大臣ならぬ身の私でも断るのではないかと思う。

******


ナベの中のサバエキスは、昆布と生姜、醤油と味噌の味なわけだ。
白飯にかけて食うには大量すぎるが、もったいないから捨てるなと母は言う。
また不相応に大量の野菜の炊いたんでも作るつもりなんだろう。

で、別のフライパンの中には、鶏肉、タマネギ、人参、ジャガイモ、トマトを煮た
料理の残り汁が、同じぐらい残っている。

どーすると言うのだ。

料理をリレーさせるわけにも、創業何十年秘伝のタレづくりも、
させるわけにはいかない。
半ギレの頭脳を回転させ、いかに前向きに着地させるかを考えはじめた。

煮汁の味見をしながら、要は魚醤だろ、と思い至り、
冷蔵庫に使いかけのアンチョビがあったのを思い出す。

冷蔵庫を開けるたび陰鬱になるのをこらえて、アンチョビを取り出す。
小さなガラス瓶に、何円引き、というシールが二、三重に張られている。
いや、かわいそうだろ、アンチョビ。
だが、大丈夫だ、お前の真実の姿を俺達は知っている。

煮汁を弱火で暖めながら、アンチョビをしゃもじでくずす。
しばらく混ぜていたら完全にばらっばらになった。イメージと違う。
味見したが今ひとつだったので、
全部たたきこみそうになる自分を抑えながら、
ビンに残っていたオイルとエキスを適当に足した。

温度が下がって味がなじんできても、サバの風味は強烈なままで、
そこにイワシの風味と容赦ない塩辛さが加わった。
だが、香辛料をつかうには、まだ味のボディが頼りなさ過ぎる。

バイクでもクルマでも、コーナーリングにおいてオーバースピードにつける薬はない。

この量のサバの煮汁に手を出すこと自体、オーバースピードだと自覚していた。
力で乗り切るか、流しにコースアウトさせるか。
まだだ。
せっかく地球を半周して日出ずる国へやってきたアンチョビを、
無事に胃袋というゴールまで連れて行かないでどうする。
見せてやるぜ、日本男児の心意気。

フライパンに目をやる。迷わず混ぜることを選んだ。

もちろん、両方をあたためてから混ぜたことは言うまでもない。
そうでないと、エキスと脂分が分離したままだからだ。
極力一滴残さずナベに移す。よかった、これで調理器具が一つ空く!

ひと煮立ちさせ、火からおろし、味がなじむのを待つ。
ここまでの登場は、サバ、昆布、生姜、醤油、味噌、アンチョビ、
鶏肉、タマネギ、人参、ジャガイモ、トマト、だ。
材料だけ見れば、不味いものは何ひとつない。

のだが。

魚油と鶏脂とサラダオイルとで、キラキラ輝くナベのふちは、
お世辞にも宝石の輝きにはたとえられなかったが、
勝算とはいえないまでも、リタイヤせず走りきるという直感があった。
その感覚に導かれ、私はスロットルを開ける。
バイクもフライパンも、ハンドルはハンドルさ。

手のひらに感じていたものは、ブラインドコーナーの先にあるものだったのかもしれない。

( to be continued to next episode ... )



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