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2024年03月20日

装具補修の強い味方「セメダインスーパーX」

 林業の現場作業をしていると、身に付けている装具(防振手袋、ゴム手袋、作業手袋、ヤッケ、カッパ、地下足袋、長靴、防護ズボン等)が頻繁に破けてしまいます。使い過ぎによる劣化の他、かん木やバラ(トゲ)に引っ掛かったり、刃で切ってしまったりする等、破ける要因がたくさんあるからです。
 破けるたびに買い替えていると、財布が持たないし、縫うのは手間だし、テープだとすぐハガレるし・・・。
 そんな時の救世主、接着剤。その中でも私が特にお勧めしたいのが、タイトルにもある「セメダインスーパーX」です。スーパーXの中でも色々と種類がありますが、その中でもお勧めなのが、ただの「スーパーX」です。「スーパーXゴールド」や「スーパーXハイパーワイド」と比較して、値段(私がよく行くホームセンターの小売価格)が安い上に、接着強度が高いのが魅力的です。色が透明で、内容量の多い「スーパーXクリアの業務用」(下写真参照)が1本あると、便利だと思います。

179 セメダインスーパーXクリア.JPG

 そんなセメダインスーパーXですが、装具の材質等によっては、得意(ハガレにくい)・不得意(ハガレやすい)があります。では、その得意・不得意について、装具ごとに確認していきましょう。


★ 防振手袋 → 得意

180 防振手袋.JPG

 あくまで私がよく使う西山商会の防振手袋「快適防振」に限っての話になります。手のひら側のクッション部分の生地(人工皮革)が、使い込むとよく破けます。

238 塗る前.JPG

 そこに、スーパーXを塗ります。

239 塗った後.JPG

 「仕事で使う→洗濯」を何回か繰り返した後が、こちら。

263 しばらく使った後.JPG

 特段変化はなく、ハガレる気配はありません。接着剤の弾力がクッションの役割も果たし、一石二鳥です。

 ただ、しばらく使い続けると、亀裂が入ることはあります。

240 キレツ.JPG
【上の写真とは別の箇所に入った亀裂】

 そんな時は、塗り重ねるだけで良いので、楽ちんです。


★ ゴム手袋 → まずまず得意〜やや不得意

181 ゴム手袋.JPG

 雨の日や寒い日等の仕事の際に、通常の手袋に重ねてはめる、厚手のゴム手袋です。
 下写真左側は、摩耗により穴が開いた(ゴムがハガレた)箇所のある状態です。一方、下写真右側は、そこにスーパーXを塗って、数日使った後の状態です。

182 ゴムがはがれたゴム手袋.JPG183 スーパーXを塗って使ったゴム手袋.JPG

 数日程度の使用では、このようにスーパーXはハガレずに持ちこたえる場合が多いです。

 一方で、親指の内側の付け根付近等、摩擦が特に多い箇所では、1日使用しただけで、スーパーXがハガレる場合があります。下写真のように、ハガレそうな箇所は黄色く変色します。

184 ハガレそうなスーパーX.JPG

 ハガレそうな箇所は、ハサミで切り取ります。もし切り取った箇所が、穴が開いた箇所まで達していたら、スーパーXを重ね塗りします。

185 黄色くハガレた箇所を切り取った後.JPG
【ハガレそうな箇所の切り取り後。穴が開いた箇所まで達していた(ハサミの先端部)】

 ちなみに、ハガレの切り取りは、通常の大きさのハサミだと難しいので、精密ハサミ(無ければ、鼻毛切りバサミ)のような小さいハサミをお勧めします。

186 精密ハサミと通常のハサミ.JPG
【上:精密ハサミ、下:通常のハサミ】

私が使っている精密ハサミのリンクを貼っておきます。

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★ 作業手袋 → まずまず得意〜やや不得意

187 作業手袋.JPG

 作業手袋とは、一般的な手のひら側がゴム製の手袋のことです。下写真は穴が開いた(ゴムがハガレた)箇所にスーパーXを塗って、数日使った後の状態です。基本的には数日の使用はハガレずに持ちこたえますが、摩擦の多い箇所ほど黄色く変色し、亀裂が入りやすいです。

188 作業手袋の亀裂.JPG
【ツマヨウジの先端付近に亀裂あり】


★ ヤッケ → 使う必要無し

48 ヤッケ(上着).JPG49 ヤッケ(ズボン).JPG

 ヤッケは裏返しにして破けた箇所に布テープを貼り付けると、洗濯してもハガレにくく、しばらく持つので、そもそも接着剤に頼る必要がありません。

53 布テープで補修したヤッケ.JPG


★ カッパ → 得意

193 カッパ.JPG

 軽いホツレや5mm以下の破け程度であれば、表側にスーパーXを塗るだけでOKです。

241 塗る前.JPG242 塗る前.JPG
【塗る前】

243 塗った後.JPG244 塗った後.JPG
【塗った後】

 破けが大きい場合は、まずカッパを裏返しにして、耐水テープを貼ります。

245 貼る前(裏側).JPG246 貼った後(裏側).JPG
【左:貼る前、右:貼った後】

 表側はこんな感じです。
247 貼る前(表側).JPG248 貼った後(表側).JPG
【左:貼る前、右:貼った後】

194 ボンド ストームガード.JPG
【私が使用している耐水テープ『ボンド ストームガード クリヤー』】

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 裏側に耐水テープを貼り終わった後は、表側にスーパーXを塗ります。

249 塗った後.JPG

 スーパーXを塗ってから、山で1〜2ヶ月使った後の状態です。ハガレずに、持っています。

252 1ヶ月使った後.JPG

 余談ですが、先輩がカッパの破けには「塩ビパイプ用接着剤」が良いと言っていたので、試してみました。

195 塩ビパイプ用接着剤.JPG
【塩ビパイプ用接着剤】

196 塩ビ接着剤(塗る前).JPG197 塩ビ接着剤(塗った後).JPG
【左:フタに付いているハケで塗る前、右:塗った後】

 しかし、しばらく使うと接着剤がはげて破けが復活しました。

258 破け復活.JPG

 塩ビパイプ用接着剤でも、ある程度は持ちますが、スーパーXのように厚く盛って塗りにくいので、摩擦や衝撃に弱いと思われます。ただ、ハケで「チャチャ」っと手軽に素早く塗れるので、時間がない時に、軽いホツレや小さい破けの拡大防止として塗る分にはお薦めです。

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★ 地下足袋 → 得意または不得意

198 地下足袋.JPG

 地下足袋上面の破け等、摩擦が少ない箇所であれば、スーパーXを厚めに塗ると、しばらくは持ちます。

250 塗る前.JPG251 塗った後.JPG
【左:塗る前、右:塗った後】

259 しばらく使った後.JPG
【しばらく使った後】

 一方で、摩擦が多く、強い衝撃が加わる靴底のハガレについては、スーパーXを塗っても、くっ付きにくく、使うとすぐにハガレてしまうため、NGです。

199 靴底のハガレ.JPG
【靴底のハガレ】


★ 長靴 → まずまず得意〜不得意

200 長靴.JPG

 亀裂が入った長靴にスーパーXを塗りました。
253 塗る前.JPG254 塗って乾燥した後.JPG
【左:塗る前、右:塗って乾燥した後】

 その後、山で数日使い、ハガレる様子はないものの、亀裂の一部が復活したので、スーパーXを重ね塗りしました。

255 亀裂復活.JPG256 重ね塗り.JPG
【左:亀裂の一部が復活した状態、右:亀裂にスーパーXを重ね塗りした後】

 スーパーXを厚めに塗ったので、このまま持ちこたえてくれるかもしれないと期待していましたが、笹や灌木等の下草(摩擦や衝撃)が多い現場で数日使用した結果、亀裂が広がり、スーパーXも部分的にハガレていました。

264 しばらく使った後.JPG

 長靴のようなゴム素材のものにスーパーXを使う場合、摩擦や衝撃の少ない状況で使うぶんにはある程度有効だと思われますが、林業の現場(特に、藪こぎが多い場合)で使う分には少々厳しそうです。
 摩擦や衝撃への耐久性を上げるために、使い古したゴム手袋をパッチ状に切り取り、亀裂の上にスーパーXで貼り付けてみましたが、しばらく使うとパッチがハガレてしまいました。このパッチの接着には「シューグー(SHOE GOO)」という接着剤がより有効だと思われるので、こちらをご参照ください。


★ 防護ズボン → 得意

201 モンベル・防護ズボン.JPG

 あくまで私が履いているモンベルの防護ズボン(プロテクション ライト ロガーパンツ)に限っての話になります。

 防護ズボンを履いて作業中、かん木のトンガっている所に「グソ」っと刺さって「ビリ」っと大きく破けたことがあります。破けが大きかったため、ナイロン製の糸で塗った後、スーパーXではなく、瞬間接着剤やスーパーXハイパーワイド等を塗りました(当時はどの接着剤良いか、分からなかったため)。山で使っていくうちに、固まった接着剤に亀裂が入ってきたため、今はスーパーXを追加で盛り塗りしています。

202 スーパーX盛り塗り.JPG
【スーパーX盛り塗り箇所(この状態で安定している)】

※ 防護ズボンを縫ったりする等の補修は、チェーンソー切創時における防護性能の低下につながる恐れがあるため、自己責任でお願いします。

 一方、軽いホツレや小さい破けにも「チョコ」っとこまめに塗っています(下写真参照)。

203 小さい破けに塗る.JPG


 ちなみに、私はスーパーXを塗る際、付属のヘラやキャップ(細かい面を塗る用)を使いません。

189 付属のヘラとキャップ.JPG
【左:付属のヘラ、右:キャップ】

 ヘラやキャップを使った後に、ヘラに付いたスーパーXをふき取ったり、キャップに残ったスーパーXが固まって詰まったりするのが面倒だからです。それらの代わりに、私は100均のツマヨウジを使います。

 また、よくフタの溝にスーパーXが固まったもの(以降、塊と表記)が溜まるのですが、塊を取るのにもツマヨウジは便利です。

190 フタの溝に溜まる塊.JPG
【フタの溝に溜まる塊】

 ここで注意点があるのですが、塊を取る際、誤ってフタのパッキンを取らないようにすることです。塊とパッキンは、透明で非常によく似ています。

191 フタのパッキン.JPG
【フタのパッキン】

 フタのパッキンが無いと、フタは完全に閉まらず(どんなに閉めてもクルクル回り)、最悪、中身のスーパーXが全部固まって、廃棄になります。そうかといって、フタの溝の塊を放置しても、フタの閉まり不良を起こす恐れがあるため、定期的なフタの掃除は必要です。
 最悪、フタのパッキンが無くなったり、フタが馬鹿になってクルクル回るようになったりしても、付属のキャップをフタ代わりに使うことができます(ちゃんと締めれば中身が極端に固まることはありません)。

257 付属のキャップ.JPG
【付属のキャップをフタ代わりにした状態】

 以上のように、セメダインスーパーXは林業の現場作業で使うほとんどの装具に対して、補修する際の有効なツールとなり得ることが分かります。参考までに、装具ごとの得意・不得意をまとめた表を下に載せておきます。

おぽpjだい.jpeg

 装具補修の強い味方「セメダインスーパーX」、皆さんも使ってみてはいかがでしょうか?装具を長く使うことで、財布へのダメージを軽減させましょう!

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