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2022年01月12日

スイムで過呼吸?

 今日はトライアスロンのスイムの話です。今は真冬で、全くトライアスロンのシーズンではないし、ここ5年は全く大会に出ていないのですが、書くネタが無いので、書いてみます。

 私は学生時代からずっとマラソンを続けていて、脚を故障した時に代替練習として市民プールでよく水泳をしています。また、大学時代の移動手段はママチャリだったり、クロスバイクで長距離サイクリング旅行をしたりしていたため、それらスイム(水泳)・バイク(自転車)・ラン(マラソン)の3種目から成るトライアスロンに、とても興味を持っていました。そして、就職して3年目(24歳)の夏、ついに初めてトライアスロンの大会に出場することにしました。ちなみにですが、スイム1.5km、バイク40km、ラン10kmの、一般的なオリンピックディスタンスの大会でした。

 トライアスロンを始めるにあたって、ネックとなるのが、必要な用具とお金です。一番高い自転車から始まり、シューズ(自転車用のビンディングシューズ)、ヘルメット、サングラス、ウェア、ウェットスーツ、その他細かい物まで、ざっと10万円以上はかかります。さらに、大会参加費が1万5千円〜3万円程度(私が過去に出場したことのある大会の金額)で、一般的なマラソン大会よりも高いです。まさに、大人の趣味、大人のスポーツといった感じで、公務員(それなりに収入がある職業)でなければ、若くして始められなかったかもしれません。

 話は反れますが、「マラソンとトライアスロン」は、林業における「切捨間伐と搬出間伐」に似ているなと感じます。
 「マラソン」はシューズとウェアがあれば、身体1つで気軽に始められる一方、「トライアスロン」は自転車やウェットスーツ等の用具が必要で、お金もかかり、海で泳いだり、スポーツタイプの自転車に乗ったりする技術も必要で、少し取っ付きにくい感じがします。
 同じように、「切捨間伐」はチェーンソーと装具等があれば、身体1つで(気軽ではないですが)始められる一方、「搬出間伐」は重機やトラックが必要で、お金がかなりかかり、重機の操縦や作業道の開設等、それなりの知識・技術が必要不可欠で、素人が明日・明後日で始められるものではありません。

 そんなこんなな初期投資を乗り越えて始めたトライアスロンですが、正直あまり不安はありませんでした。一般的に、スイムでおぼれないか不安になると思いますが、プールで散々練習しているし、事前に何回か海水浴場でウェットスーツの試し着をしたし、特に問題はありませんでした。

 そして大会当日、いざ号砲が鳴り、勢い良く海に飛び出していきました。最初の30秒くらいは調子が良かったのですが、いつもと違うのは、少し息が苦しいことです。飛ばし過ぎたと思い、少しペースを落とし、息継ぎを頻繁に行うようにしたのですが、息を吸えば吸うほど、呼吸が苦しくなります。「え、普通は息を吸えば呼吸が楽になるのでは?」頭がパニックになりました。激しい水しぶきを上げながら前へ進む選手達に囲まれ、水も飲みそうになります。「このままではおぼれる」と思い、何とかコース内側のブイ(浮き)にたどり着き、つかまって、呼吸を整えようとします。スイムコースが折り返しコースで、内側にブイが点々とあったのが幸いでした。呼吸がなかなか整わない中、焦りもあり、また泳ぎ出したのですが、やはり苦しくなって、ブイにつかまりました。「やばい。このままではスイムでリタイアか?初トライアスロンがバイクとランを経験することもなく、スイム100m地点でリタイアなんて、悲しすぎる。」そんな思いが、頭をよぎりました。「もう苦しくてもいいから、何が何でも前へ進む。内側にはブイがあるから、いざとなったらつかまって休めばいい。」そう思い返し、呼吸が苦しいながらも前に進んでいると、だんだんと慣れてきて、休まずにそのまま泳ぎ続けることができるようになりました。呼吸の苦しさはずっと取れませんでしたが、無事にスイムを乗り越え、その後のバイク、ランも完走できました。

 この出来事は、私のトラウマになり、その後は市民プールでも、体調があまり良くない時等、たまに息が苦しくなることがあります。トライアスロン大会への申込みも、スイムへの不安から、躊躇(ちゅうちょ)してしまいます。

 いったい何が起こったのか?たぶん過呼吸だと思います。飛ばし過ぎ、慣れない海での水泳(波があり、水が冷たく、視界が悪い)、他の選手の水しぶき、初めての大会出場での緊張、過呼吸に対しての無知、それらが重なった結果だと思います。

 過呼吸を防ぐためにはどうすれば良いか?自分なりに対策を考えてみました。

1.体調を整えて、大会当日に臨む(体調に不安があったら、棄権やスイムスキップも検討する)
2.スイムのウォーミングアップをしっかり行う
3.後方からスタートし、人の少ないところを泳ぐ
4.スタート直後は飛ばし過ぎない
5.多少苦しさを感じても、いつも通りの呼吸を意識する(2ストロークまたは4ストロークに1回)
6.どうしても苦しい場合は、しばらく顔を水面から出した状態で平泳ぎをして、呼吸を落ち着ける

 あれから10年以上経った今も、スイムに不安はあります。だけど、自身の転職や不眠症が落ち着いてきた今、オミクロン株も収束したら、今年は6年ぶりに大会に出てみたいなと思っている次第です。

〜2022年7月18日 追記〜
 先日、6年ぶりにオープンウォーターのアクアスロン大会に参加しました。スイムのウォーミングアップの時間があまり取れず、不安を抱えながらスタートしましたが・・・、やはり過呼吸気味になりました。後方からスタートし、落ち着いて呼吸するよう意識しましたが、水の冷たさと視界の悪さ、呼吸の苦しさに恐怖心が増し、20〜30m進んでは顔出し平泳ぎを繰り返しました。たまらず近くのブイにつかまって休んだり、仰向けになって呼吸を整えたり。でも、休んでばかりだと前に進まないという焦りも出てくるため、ダマしダマし泳ぎました。2周回するコースですが、1周目の終盤くらいまでグダグダで、そこからようやく落ち着きを取り戻し、普段通りの泳ぎになりました。

 今回、久しぶりの実戦レースで学んだこと。それはヘッドアップ(顔を前に上げて、前方を確認する)クロールの重要性。オープンウォーターで通常のクロールをしていると、前が見えないため、気付かないうちに進行方向がズレやすくなります。私は過呼吸で苦しく、頻繁に顔出し平泳ぎをしていたため、1周目は概ね正しい方向に進めていましたが、2周目に入り、クロールの時間が長くなると、幾度となく変な方向に進み、時間をロスしました。最初は顔出し平泳ぎをして進行方向を確認していましたが、顔出し平泳ぎを頻繁にすると、せっかく整ってきた泳ぎや呼吸のリズムが狂ってきます。そこで、自然と頭を前に上げて、進行方向を確認しながらクロールをするようになりました。レース後にネットで初めて知りましたが、これがヘッドアップというオープンウォータースイムでの必須テクニックだったとは・・・(^_^;)。ヘッドアップした際は、前方を泳いでいる人やブイを目安に、進行方向を確認すると良いと思います。

 過呼吸対策について、スイムに苦手意識がある人は「スタート直後は呼吸が苦しくなり、パニックになるのは当たり前」くらいに考えておいた方が良いと思います。苦しくなったら顔出し平泳ぎをして、深くゆっくりと呼吸をして、落ち着いてきたらクロールに戻る、というサイクルを繰り返します。どうしても苦しい場合は、ブイや救助艇につかまったり、仰向けで浮かんだりと、逃げ道はあります。とにかく、なるべく早い段階で落ち着きを取り戻すことが大事です。そして、落ち着いてきたら顔出し平泳ぎをなるべくしないようにし、代わりにヘッドアップクロールで進行方向を確認しながら前に進みます。
 奥の手として、最初から最後まで平泳ぎで泳ぎ切るという方法もあります。もちろん、クロールよりもタイムは落ちるし、人を蹴らないように空いているところを泳ぐ等、注意点はありますが。要は、様々な逃げ道を用意しておくことが、過呼吸対策につながります。

 クロールの呼吸回数について、私は普段プールでは4ストロークに1回なのですが、今回は苦しかったので、ほぼ2ストロークに1回でした。「2ストロークに1回だと、呼吸しすぎて、過呼吸を誘発するかも?」という懸念はありますが、「苦しいから息を吸う」という本能には逆らえないし、実際に2ストロークに1回でも問題は無かったように思います。故に、「呼吸に余裕があれば4ストロークに1回、余裕が無ければ2ストロークに1回でも大丈夫」くらいに考えておいたら良いかと思います。

〜2024年7月2日 追記〜
 先日、2年ぶりにオープンウォーターのアクアスロン大会に参加しました(昨年は右肩の脱臼により断念しました)。まだまだオープンウォーターのスイムにトラウマがあり、ウォーミングアップ時やレースの泳ぎ始めこそ、軽いパニックはあったものの、今回は基本的に平常心で泳ぎ切ることができました。慣れてきたら水中の景色(小魚の群れやチンアナゴみたいな魚等)を見て楽しむ余裕もありました。

 今回の大会参加でも、パニックにならないコツみたいなものを2点ほどつかむことができました。
 コツの1点目は、前を見て泳ぐということ。
 私は今まで基本的に下を見て泳いでいましたが、下を見ていると地面に足がつかない深さであることを過度に意識してしまいやすく、また水の濁りで視界が悪いと、恐怖心を抱きやすくなります。一方、前を見て泳ぐと、自然とヘッドアップのような泳ぎ方になり、水の上の状況(進行方向や他の選手の状況)が確認しやすく、また視界の良い水の上を見ながら泳ぐことは安心感にもつながります。
 コツの2点目は、息継ぎする際にしっかりと息を吐くこと。
 パニックになると息を吸うことばかりに意識が向き、短い間隔で吸いすぎて過呼吸になるのですが、息を吸う前にしっかりと息を吐くことで、しっかりと息を吸うことができ(しっかりと息を吸って良いという安心感につながり)、自然と深呼吸になります。

 これら2点のコツに加え、もう1点の安心材料として、どうしても息が苦しいと感じる場合は顔出し平泳ぎや立ち泳ぎをするのですが、ウェットスーツの浮力により、脚を使わなくてもほぼほぼ手でかいているだけで、水面に浮いている状態(水面に顔を出している状態)をキープできます。つまり、周りにブイ等のつかむものが無くても、休みたい時に水面に浮いて休めるということです。これはかなり安心感につながります。パニックになった際、まずは慌てずに立ち泳ぎをし、深呼吸をして呼吸を整え、落ち着いたら再び泳ぎだす、この流れを覚えておけば、大丈夫でしょう!


40 溺れる.png


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