2020年09月26日
大統領選挙に科学者が炎を上げる 1 新冷戦(104)
新冷戦(104)
アメリカで発行部数第4位のロスアンゼルス・
タイムズがトランプしは大統領としては不適
格との烙印を捺したということです。カルフ
ォルニア州では新型コロナの感染拡大が続き、
州のあっちこっちで大山火事が発生している
ときに、トランプ氏が視察をし、山火事の原
因は管理局にあると言ってしまいました。地
球温暖化にも、新型コロナにも関心が薄かっ
たら、メディアの餌食になりそうではありま
すが、ロスアンゼルス・タイムズは民主党の
バイデン大統領候補を社説で推薦したという
ことです。投票まで1ヵ月と少々となった大
統領選挙ですが、戦いは激しさを増している
ようです。
アメリカの新型コロナの累計感染者は700万
人に向かって感染拡大中です。死者数は20
万人を超えました。世界最多です。トランプ
大統領も選挙向けの集会をやっているのです
が、マスクなしで行い感染者を出していると
いうことです。ワクチンについては、「完成
は間近」を連呼するが、達成目標と楽観的な
願望とがごちゃまぜになっている、科学性を
無視しているようだということです。
創刊が1845年という世界最古の科学雑誌が
アメリカにあるということです。「サイエン
ティフィック・アメリカン(Scientific
American)」という名称なのですが、科学
者が一般読者向けに記事を書いてきた雑誌と
いうことです。日本では「日経サイエンス」
がこの雑誌だそうです。創刊以来175年の間、
政治的な記事はなかったのですが、その伝統
をあきらめざるを得なかったようです。
この雑誌の10月号は「恐怖から希望へ」とい
うタイトルの社説で特定の政党の大統領候補
を推薦したということです。つまり新型コロ
ナについては、科学性を反映することもでき
ず軽薄な表現で終始した現職の大統領が、世
界最多の死者数20万人を発生させたのは世界
に恥ずかしく、アメリカ国民にとっては恐怖
であるということです。
対抗する民主党のバイデン氏は9月16日「私
が信用するのはワクチンと科学者。トランプ
氏は信用できない、認可、供給が政治的判断
で歪められる事態は絶対にあってはならない」
と答えたということです。「恐怖から希望へ」
の社説は、「トランプ氏は科学を政治的目的
から無視し、誤解し、悪用した」 、「トラン
プ政権下の今の状況は米国の科学政策史上に
おいて最も恥ずべき時代といえる」、「それ
ゆえ、われわれは読者および有権者に米国民
の健康、経済、環境を守るために事実に基づ
く計画を提示しているバイデン候補に一票を
投ずるよう訴えたい」ということです。バイ
デン氏が「希望」となります。トランプ氏へ
の打撃が大きそうなのですが、選挙の結果に
ついては予想がつきません。
2へ続きます
スーパーセル・オハイオ州2016年8月の2
配信
「The Summer of Our Discontent」(われらが不満の夏)
米主要紙ロサンゼルス・タイムズが夏の終わりにこんな文学的な見出しの記事を掲載した。
カリフォルリアが生んだ世界的文豪、ジョン・スタインベックの小説、「The Winter of Our Discontent」(われらが不満の冬)をもじってつけた。
新型コロナウイルス感染が収まらないカリフォルニア州に追い打ちかけた大規模な山火事。
同紙は、(カリフォルニア在住の筆者を含む)州民の生活環境を根底から覆しかねない史上最悪な状態に「われわれの生き方を根本から考え直す時期にきた」と悲鳴を上げた。
史上最悪の山火事の状況を9月14日視察に来たドナルド・トランプ大統領は、キャビン・ニューサム同州知事にこう言い放った。
「山火事の原因は森林管理の不手際にある。地球温暖化とは何ら関係がない」 同紙はトランプ氏視察に合わせるかのようにジョー・バイデン民主党大統領候補を支持・推薦する社説を載せた。
米主要紙が同候補を正式に推薦した第1号だった。
理由はトランプ大統領の新型コロナウイルス軽視と不適切な対応をはじめとする「悪政」の数々を上げていている。
「大統領としては不適格」と烙印を捺したのだ。
■ 再選に向け「ワクチン」連呼
米国の新型コロナウイルス感染者数は9月18日現在671万585人。死者数19万8306人。
一向に感染拡大が収まる兆しはない。それでもトランプ氏は三密を守る気配はない。
選挙運動に各地を飛び回り、集会を開いては、参加者の中から感染者が続出している。
それでもマスクはしない。ここまでくると、信念というよりも意地なのだろう。マスクをつけた時点で選挙には負けると腹をくくっているのかもしれない。
米疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフォード所長(医学博士)は大統領を横にしてこう述べた。
「感染防止にはワクチンよりもマスク着用が有効だ」 同所長が言い終わるか終わぬうちに、トランプ氏は「マスクなんかよりもワクチンの方が大事だ」と吐き捨てるように反論した。
とにかく11月3日の大統領選に勝ち、再選されたいのだ。
一時は反中スタンスを再選戦略の主軸にしてきたが、今やワクチンがそれにとって代わった感がある。
科学者たちが重視する科学的根拠よりもワクチンなのだ。連日のようにワクチンが今日明日中にも完成するかのような発言を繰り返している。
「ワクチンは3週間から4週間以内に完成する可能性がある」(9月15日)
レッドフィールド所長が米上院公聴会で「ワクチンは生産承認されてから接種には6か月から9か月かかる。実際の米国民が受けれるのは早くて来春以降だ」と発言するや、「この男の言うことは間違っている。不正確な情報を基に喋っているだけだ」(9月16日)
「ワクチンは10月に完成する。配布開始は10月か11月の可能性がある。年内に1億回分の接種量が確保できる。それより遅くなるとは思わない」(9月16日)
トランプ氏はいったいどこからこんな情報を得ているのだろうか。
後述するが、トランプ政権が立ち上げたワクチン開発のロードマップに記された達成目標と楽観的な願望とがごちゃまぜになっているのだ。
バイデン氏は、9月16日開かれたデラウエア州での集会でこうコメントしている。
「私が信用するのはワクチンと科学者。トランプ氏は信用できない」 「科学の大きな前進は断じて選挙周期に従わない。そのタイミングや認可、供給が政治的判断で歪められる事態は絶対にあってはならない」
在野のバイデン氏にコロナ関連の情報力・分析力がないというわけではない。
CDCやFDA(米食品医薬局)内部のディープ・ステート(闇の国家=反トランプ分子)からの情報も入手している。
さらにはディビッド・ケスラー前FDA局長(伝染病学)やジョージタウン大学のレベッカ・カッツ教授(免疫学)、ペンシルベニア大学のエゼキエル・イマヌエル教授(生命倫理学)ら各分野の権威からなるアドバイザリー・グループからの助言を得ている。
★実りの秋 フルーツ1
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■ 科学的データvs願望的思惑、軍配は?
科学者たちもトランプ氏の願望的思惑の危うさに危機感を強めている。
そのシンボリックな動きが米国でも最も権威ある科学雑誌「サイエンティフィック・アメリカン」(Scientific American)の10月号掲載の社説だ。 タイトルは「恐怖から希望へ」(From Fear to Hope)。
長文の社説でバイデン氏を大統領候補に推薦したのだ。
同誌は、学術雑誌ではないが、第一線の科学者が執筆する一般向け科学雑誌としては創刊1825年の世界最古の定期刊行誌だ。
外国語版(日本版では「日経サイエンス」)が多数出ており、発行部数は世界で73万2000部。 創刊以来175年間、特定の政党の大統領候補を支持・推薦したことは一度もなかった。
掲載に際して社説は「前例を破ってこう決めるに至った経緯は決して軽々しいものではなかった」と説明している。
理由はただ一つ、トランプ氏の科学拒絶、科学者無視のスタンスと政策に対するレッドカードだった。
「トランプ氏は科学を政治的目的から無視し、誤解し、悪用した」 「トランプ政権下の今の状況は米国の科学政策史上において最も恥ずべき時代といえる」
「トランプ氏は科学的根拠と科学を拒絶することで米国および米国民に大きなダメージを与えている」
「その最たる例が新型コロナウイルスの恐ろしさを直視せず、不適切な対応に終始したことが挙げられる。その結果、9月中旬までに19万人の命が犠牲になった」
「トランプ氏はさらに地球温暖化阻止の動きやメディケアや米国が直面する大規模なチャレンジに立ち向かっている研究者や公共機関を目の敵にしてきた」
「それゆえ、われわれは読者および有権者に米国民の健康、経済、環境を守るために事実に基づく計画を提示しているバイデン候補に一票を投ずるよう訴えたい」
2へ続きます
https://news.yahoo.co.jp/articles/3476ef980a2090c92dfb370f8ddc58432f79c891
★実りの秋 フルーツ2