2020年09月29日
大統領選挙に科学者が炎を上げる2 新冷戦(105)
大統領選挙に科学者が炎を上げる 2
新冷戦(105)
新冷戦(105)
1からの続きです
この科学雑誌の編集者は「歴代大統領の中
には科学にそっぽを向いていた者もいる」、
「トランプ大統領は科学に対する基礎知識
はゼロ、支持層の非科学的な思い込みを政
治的理由から鵜呑みにしている」、「ワク
チン開発のために1日に14時間、18時間も
研究室にこもって働いている科学者たちに
エールを送るためだ」ということです。
ある免疫学、公衆衛生学の教授は、トラン
プ氏の熱狂的な支持層である宗教保守エバ
ンジェリカルズ(福音派)は、天災地変や疫
病などは神の御業だと信じて疑わない、当
然新型コロナも含まれている。温暖化を無
視するのは、支持層の石油資本が石油石炭
開発の規制を嫌がるので、歴代の共和党政
権がやってきた選挙戦略の一環だ、という
ことです。
説明を加えると、エバンジェリカルズ(福音
派)の特徴は聖書の言葉はキリストの言葉で
あり、神の言葉であり、一字一句が人類を
救うものと信じている。ウイルスの感染な
ども神の御業なのでマスクや手洗いで防ご
うという考えはあまり持たないようです。
「エバンジェリカルズ(福音派)」の言葉を
辿ると宗教改革のルターまで行きそうです。
もちろんプロテスタントです。アメリカの
福音派は7500万人以上と言われています。
産業が忘れられた中西部地域の福音派は、
中国製品に関税をかけるなどは熱狂的に支
持するということです。
免疫学の教授は、トランプ氏が前大統領の
オバマ氏の政策を目の敵にしたのは、歴代
大統領がやらなかったことを成し遂げると
いう信念を異常なほど持っているからだと
いうことです。現在は新型コロナワクチン
の開発戦略「オペレーション・ワープ・ス
ピード(Operation Warp Speed=OWP)」
を100億ドルの資金で行っているというこ
とです。これはアメリカ政府の厚生省以下
の機関が参加し、農務、エネルギー、退役
軍人の3省も参加する国家的プロジェクト
になっており、ワクチン開発の製薬会社に
は、アストラゼネカに12億ドル、モデルナ
に4億8300億ドル、ジョンソン&ジョンソ
ンには4億5600万ドルが提供されている。
10月22日はトランプ氏とバイデン氏によ
るテレビ中継公開討論会の3回目(最終回)
が開かれる日だ。同じ日、医療・公衆衛生
分野の権威15人からなる委員会で、新た
に開発されたワクチンの効力、安全性、
投薬方法などについて議論する「バイオ
ロジカル・プロダクツ・アドバイザリー・
コミティー」(Biological Products
Advisory Committee=生物由来物資に
関する諮問委員会)の公開会議が開かれ
る日だ。この会議の結果をアメリカ食品
医薬品局FDAへ報告するということです。
トランプ氏が今まで発言していた「ワク
チンは3、4週間で完成する」などは、こ
の諮問委員会で正しいかウソかがアメリ
カ全土に放送されることになります。ト
ランプ氏とバイデン氏の討論会を見て投
票の方向を10月22日に決めるでしょう。
最近のニュースにトランプ氏が選挙に負
けても大統領を止めないと発言したとい
うものがありました。大統領選挙に関心
がある読者は10月22日あたりからニュ
ースに注目するのがいいでしょう。それ
までは新型コロナウイルスから逃げ回っ
ているのがいいでしょう。
スーパーセル・オハイオ州2016年8月の3
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嘘連発のトランプ大統領に、科学者が次々蜂起
配信
配信
1からの続きです
同誌の編集主幹、H・ホールデン・ソープ氏は、ウィアード・コムとのインタビューでこう述べている。
「歴代大統領の中には科学にそっぽを向いていた者もいる」
「ジョージ・W・ブッシュ第43代大統領は天地創造信奉者だったがHIV対策費はふんだんに出したし、ロナルド・レーガン第40代大統領はHIV対策では何もしなかったが、米国の科学インフラ拡充ではよくやった」
「そこに行くと、トランプ大統領は科学に対する基礎知識はゼロ。トランプ支持層にある神憑り的な非科学的な思い込みを政治的理由から鵜呑みにしている」
「本誌が創刊以来初めて政治スタンスを誌上で表明したのは、コロナウイルスに対するワクチン開発するために研究室にこもって1日に14時間、18時間も懸命に働いている科学者たちにエールを送るためだ」 (https://www.wired.com/story/americas-top-science-journal-has-had-it-with-trump/)
■ 反科学・非科学だった共和党
トランプ大統領と科学者との「対決」について、カリフォルニア大学バークレー校のW教授(免疫学、公衆衛生学)はこう解説する。
「トランプ氏の熱狂的な支持層である宗教保守エバンジェリカルズは、天災地変や疫病などは神の御業だと信じて疑わない。当然コロナウイルスもそれに含まれている」
「再選するためにはエバンジェリカルズの票は必要不可欠なもので彼らの喜ぶことをやっているわけだ」
「温暖化を無視するのは、同じく支持層で石油石炭開発規制強化を嫌がる石油資本を念頭に入れた選挙戦略の一環でもある。これは歴代共和党政権が行ってきている」
「それにトランプ氏は『歴代大統領がやらなかったことを成し遂げる』という異常なほどな信念を持っている」
「特にバラク・オバマ前大統領を目の敵にして、同氏のやったことの反対のことをやってきた」
「もう一つ、トランプ氏がワクチン開発で希望的な観測をことさら言っているのには、トランプ政権が100億ドルの資金を投じて策定したワクチン開発戦略がある」、「『オペレーション・ワープ・スピード』(Operation Warp Speed=OWP)だ」
米厚生省傘下のCDC、FDA、国立衛生研究所(HID)、国立生物医学高等研究開発研究機構 (BARDA)はじめ国防総省を中心に、薬品会社、医療機関など民間薬品公衆衛生関連企業が一体となってコロナウイルス診断、治療、ワクチンの開発、製造、配布手段を超スピードで見つけ出し、2021年1月末までに3億回分の接種量のワクチンを確保することを目指す官民一体のプロジェクトだ」
「このプロジェクトには農務、エネルギー、退役軍人三省も参加している。まさに国を挙げての国家戦略だ」 このプロジェクトではアストラゼネカと英オックスフォード大学のワクチン開発に12億ドル、モデルナには4億8300億ドル、ジョンソン&ジョンソンには4億5600万ドルが提供されている」
「トランプ氏が『ワクチンが3週ないし4週間以内に完成する可能性がある』と豪語しているのはこのOWPを念頭に入れての大風呂敷ということになる」
「ただ問題なのは、急ぐあまりにワクチンの安全性が疎かになることだ」
「CDCのレッドフィールド所長などが慎重な発言に終始している背景には、HIV感受性株に対する活性が期待されて開発されたヒドロシクロロキンが当初、生命を脅かす重篤な副作用を起こした前例があるからだ」
「新薬の接種許可権限を持っているFDAの生物製剤査定調査センター長のピーター・マークス博士などは『万一、的確なデータのないままに新ワクチンの接種許可を求めらるような場合には職を辞する』とまで言っている」
★実りの秋 フルーツ1
◇◇◇◇◇◇
■ 10月22日は奇しくも最終公開討論会
こうしてみると、トランプ氏がいかに大言壮語を繰り返そうとも、それはあくまでも素人のたわごとでしかないことが分かってくる。 さらにFDAが許可する前にワクチン使用の是非を決める全国民に公開される「御前会議」がある。
開催時期は10月22日。 2019年12月31日に設置(2年間の時限立法で設置)された「バイオロジカル・プロダクツ・アドバイザリー・コミティー」(Biological Products Advisory Committee=生物由来物資に関する諮問委員会)が行う公開会議だ。 (会議は通常は年4回開催されることになっている) 統括閣僚はアレックス・アザー厚生長官とマーク・エスパー国防長官。
15人の医療・公衆衛生分野の権威15人からなる委員会で、新たに開発されたワクチンの効力、安全性、投薬方法などについて議論し、その結果をFDAに勧告する。
コロナ関連で会議が延期されることがなければ、10月22日は奇しくもトランプ氏とバイデン氏によるテレビ中継公開討論会の3回目(最終回)が開かれる日だ。
その日、トランプ氏のウソがバレるのかどうか。バレた上でバイデン氏の猛攻をどう受けて立つのか。 新型コロナウイルスは米大統領選のど真ん中にどっしりと座り込んで動きそうにない。
高濱 賛
開催時期は10月22日。 2019年12月31日に設置(2年間の時限立法で設置)された「バイオロジカル・プロダクツ・アドバイザリー・コミティー」(Biological Products Advisory Committee=生物由来物資に関する諮問委員会)が行う公開会議だ。 (会議は通常は年4回開催されることになっている) 統括閣僚はアレックス・アザー厚生長官とマーク・エスパー国防長官。
15人の医療・公衆衛生分野の権威15人からなる委員会で、新たに開発されたワクチンの効力、安全性、投薬方法などについて議論し、その結果をFDAに勧告する。
コロナ関連で会議が延期されることがなければ、10月22日は奇しくもトランプ氏とバイデン氏によるテレビ中継公開討論会の3回目(最終回)が開かれる日だ。
その日、トランプ氏のウソがバレるのかどうか。バレた上でバイデン氏の猛攻をどう受けて立つのか。 新型コロナウイルスは米大統領選のど真ん中にどっしりと座り込んで動きそうにない。
高濱 賛
★実りの秋 フルーツ2
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タグ:ニュース