2020年08月30日
NYで味わった新型コロナの恐怖 新冷戦(98)
NYで味わった新型コロナの恐怖
新冷戦(98)
新冷戦(98)
ニューヨーク市の感染爆発、医療崩壊を生
身で体験した医学部教授が新型コロナの凄
まじさを語っています。ニューヨーク市に
あるコロンビア大学医学部の加藤友朗教授
は3月20日頃新型コロナに感染し、3月25
日に入院しました。25日にシャワー中に息
ができなくなって入院したということです。
それから記憶がない状態が3週間続いたと
いうことです。この3週間は、気管内挿管、
ECMO、人工透析とフルサポートだったそ
うです。
そして、後遺症が出たということです。後
遺症は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、
くも膜下出血、腎不全、のどの渇きなどが
が発生したということです。初めは甘く見
ていた、本当に怖ろしさを実感したという
ことです。コロンビア大学医学部の加藤教
授は臓器移植の専門家として世界に知られ
ているのですが、その人が新型コロナの怖
ろしさを隠すこともできないようです。こ
の対談は8月下旬に行われたようなのです
が、意識を取り戻して4カ月以経過して、
やっと普通の生活に戻ったということで
す。
ニューヨークと日本の感染比較では、マス
クをし、3密を避けるというのは分かりや
すく効果があっただろう、ニューヨークで
も日本のこれらを真似るようになった、
「Avoid the 3Cs」というキャンペーンに
なっているということです。
ニューヨークの感染爆発は経済的格差も要
因でしょう。事実として感染のエピセンタ
ーは経済的な貧困地区と重なっています。
狭い家に大家族で住んでいるので家庭内感
染が起こりますし、医療保険に加入してい
ないため病院に行くのが遅れるといったこ
ともあったということです。
感染爆発、医療崩壊を経験したニューヨー
クは市民が恐怖を味わっているので、行政
が強い制限を言っても反対しない。日本で
は第1波でそこまでの恐怖を味わっていな
いので、行政も強いことが言えないし、市
民も厳しく守らないので、第2波の感染に
なったのだろうということです。似たよう
な感覚で、現在のアメリカ南部では芯から
恐怖を味わっていないので規制の緩和を求
め、経済活動を再開したのが早すぎて感染
爆発を起こしているということです。
新型コロナは恐怖の病気と言っても何も恥
ずかしくないですね。
2へ続きます
竜巻・ミネソタ州2020年7月の13
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
NYでコロナに感染した世界的日本人医師からの警告
配信
配信
コロンビア大学医学部外科教授の加藤友朗氏
コロンビア大学医学部外科教授の加藤友朗氏
連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第14回。
感染を抑え込んだニューヨークと第二波を招いてしまった日本。その違いを生んだものとは?
讃井將満医師と加藤友朗教授の特別対談第一弾。
「事実を正確・客観的にとらえ、理性的に判断・行動すること」
新型コロナウイルス感染症をめぐって報道がともすれば正確さを欠き、あるいは感情的になる中で、讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)は本連載でつねにその大切さを訴えてきました。
そのために、集中治療の専門家として医療現場で起こっている事実を記し続けてきました。 讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)
同じように、世論が不安や不満から感情的になっていることを危惧する医師がいます。コロンビア大学の加藤友朗教授です。
「いま日本は、コロナの恐ろしさを心配して政府の政策を批判する意見と、コロナの恐ろしさが過大に誇張されているとして報道の仕方を批判する意見に、極端に二分されている。そんな中、専門家はどちらの意見にもきちんと向き合って説明をする必要がある」
今回、加藤教授を迎えて意見を交換します(ヒューモニー編集部)。
加藤友朗(かとう・ともあき) コロンビア大学医学部外科教授。東京都生まれ。東京大学薬学部、大阪大学医学部を卒業後、1995年渡米。生体外腫瘍切除、多臓器移植、小児および成人の肝臓移植、肝胆道外科における世界的第一人者。
★ ★ ★
讃井 加藤先生はご自身も新型コロナ感染症に感染してECMOに乗るほど重症化したそうですが、いま体調はいかがですか?
加藤 ようやく体力が戻って普通の生活が送れるようになってきたところです。いまは1日に3km程度歩き、週に3回は1kmぐらいジョギングできるようになりました(※ 加藤教授はランニングが趣味で、ニューヨークマラソンを過去7回完走しています)。今月中には手術も始めようかと思っています。
讃井 後遺症(ICU後症候群:Post-ICU Syndrome、PICS)を心配していたので、安心しました。ICUでの闘病やPICSの体験談は、われわれICUスタッフにとってはきわめて貴重ですから、別の機会に詳しくお聞かせ下さい。
加藤 讃井先生は重症患者をたくさん診ているからよくわかっていると思いますが、あんなに急に重症化するとは思いませんでした。まだ新型コロナ感染症がどういったものかわかっていなかった時期ではありますが、私自身感染するまでは甘く見ていたところもありました。経験してみて初めてわかる怖さがあります。
知人、友人、家族が感染し、場合によっては亡くなってしまった──ニューヨークのような悲惨な感染爆発を経験すると、新型コロナ感染症に対して誰もが慎重になるし、行政の厳しい対応を許容するようになります。
逆に、日本のように感染をうまく抑えた国では新型コロナ感染症の本当の恐ろしさを理解するのは難しいかもしれません。いまは身に染みて怖さがわかりますが、もし私が日本にいてニューヨークのようなパンデミックを経験していなければ、おそらく全く違った見方をしていたでしょう。
讃井 日本は甘く見ている?
加藤 そうですね。ニューヨークから見るとそんな気がします。その背景には、やはり3月から4月の第一波でうまく抑え込めたことがあると思います。
讃井 抑え込めたといっても、実際の医療現場はぎりぎりでした(第2回参照)。
それでも結果的に医療崩壊にいたらなかったのは、医療アクセスの良さ、マスクをする習慣、日ごろからの衛生意識の高さ、さらに血栓のできにくさ(アジア人は欧米人より血が固まりにくいとされる。それが新型コロナ感染症の重症化をおさえている可能性がある)など、さまざまな因子が作用したと考えられます。
加藤 「3密」というわかりやすい標語も功を奏したと思います。アメリカでもそれを真似て、「Avoid the 3Cs(Closed spaces、Crowded places、Contact settingsの3密回避)」キャンペーンを始めました。 いずれにしろ日本が抑え込んだのは素晴らしいことです。
対してニューヨークは感染の封じ込めに失敗して感染爆発を起こしてしまいました。 その原因はいくつも考えられて・・・たとえば、マスクをする習慣がないこと。また、ニューヨークの人は東京と同じで電車で通勤するので満員電車もあります。
そして、ニューヨークはヨーロッパからの観光客が多いのですが、最初に武漢で発生したため、中国からの入国者ばかりをマークしていて、ヨーロッパからの人の流れに対してノーマークだったこと。
経済的格差も感染を広げた要因でしょう。事実として感染のエピセンターは経済的な貧困地区と重なっています。狭い家に大家族で住んでいるので家庭内感染が起こりますし、医療保険に加入していないため病院に行くのが遅れるといったことがあったわけです。そういった中、一気に火が燃え広がり消せなくなってしまいました。
ところがそのニューヨークが、経済活動再開後もいまの所は感染を抑え込んでいます。逆に日本はふたたび感染が拡大している。
ただ、日本の感染者は拡大したと言っても、ようやく収束したニューヨークの数と同じぐらいなのですが、意識の違いを生んだのは、新型コロナ感染症の怖さを身に染みて感じているか否かだと思うんです。
ご存じの通り、アメリカでもフロリダやテキサスでは感染が拡大しています。その原因ははっきりしていて、経済再開を急いでしまったからです。
ニューヨークが感染爆発を起こしていた頃、フロリダやテキサスでは感染者はあまり多くありませんでした。本当の意味での怖さを経験していなかったんですね。
それで、「ロックダウンもステイホームもやり過ぎだ!」「行政やマスコミが恐怖を煽ったせいで経済が滅茶苦茶になった。どうしてくれるんだ!」といった声が大きくなり、規制の基準をどんどん緩めていきました。その結果、感染が爆発しているんです。
まだまだ感染の規模は全然違いますが、いま日本で言われていることはちょっとフロリダやテキサスに似ていませんか?
讃井 たしかに、加藤先生の指摘は当たっているかもしれません。ただ、現在の感染拡大について現場の印象としては、第一波と明らかに異なるわけです。感染が拡大し、重症患者も増えているけれど、第一波に比べて重症患者の増え方はかなりゆっくりしています(第13回参照)。
コロンビア大学医学部外科教授の加藤友朗氏
連載「実録・新型コロナウイルス集中治療の現場から」の第14回。
感染を抑え込んだニューヨークと第二波を招いてしまった日本。その違いを生んだものとは?
讃井將満医師と加藤友朗教授の特別対談第一弾。
「事実を正確・客観的にとらえ、理性的に判断・行動すること」
新型コロナウイルス感染症をめぐって報道がともすれば正確さを欠き、あるいは感情的になる中で、讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)は本連載でつねにその大切さを訴えてきました。
そのために、集中治療の専門家として医療現場で起こっている事実を記し続けてきました。 讃井將満医師(自治医科大学附属さいたま医療センター副センター長)
同じように、世論が不安や不満から感情的になっていることを危惧する医師がいます。コロンビア大学の加藤友朗教授です。
「いま日本は、コロナの恐ろしさを心配して政府の政策を批判する意見と、コロナの恐ろしさが過大に誇張されているとして報道の仕方を批判する意見に、極端に二分されている。そんな中、専門家はどちらの意見にもきちんと向き合って説明をする必要がある」
今回、加藤教授を迎えて意見を交換します(ヒューモニー編集部)。
加藤友朗(かとう・ともあき) コロンビア大学医学部外科教授。東京都生まれ。東京大学薬学部、大阪大学医学部を卒業後、1995年渡米。生体外腫瘍切除、多臓器移植、小児および成人の肝臓移植、肝胆道外科における世界的第一人者。
★ ★ ★
讃井 加藤先生はご自身も新型コロナ感染症に感染してECMOに乗るほど重症化したそうですが、いま体調はいかがですか?
加藤 ようやく体力が戻って普通の生活が送れるようになってきたところです。いまは1日に3km程度歩き、週に3回は1kmぐらいジョギングできるようになりました(※ 加藤教授はランニングが趣味で、ニューヨークマラソンを過去7回完走しています)。今月中には手術も始めようかと思っています。
讃井 後遺症(ICU後症候群:Post-ICU Syndrome、PICS)を心配していたので、安心しました。ICUでの闘病やPICSの体験談は、われわれICUスタッフにとってはきわめて貴重ですから、別の機会に詳しくお聞かせ下さい。
加藤 讃井先生は重症患者をたくさん診ているからよくわかっていると思いますが、あんなに急に重症化するとは思いませんでした。まだ新型コロナ感染症がどういったものかわかっていなかった時期ではありますが、私自身感染するまでは甘く見ていたところもありました。経験してみて初めてわかる怖さがあります。
知人、友人、家族が感染し、場合によっては亡くなってしまった──ニューヨークのような悲惨な感染爆発を経験すると、新型コロナ感染症に対して誰もが慎重になるし、行政の厳しい対応を許容するようになります。
逆に、日本のように感染をうまく抑えた国では新型コロナ感染症の本当の恐ろしさを理解するのは難しいかもしれません。いまは身に染みて怖さがわかりますが、もし私が日本にいてニューヨークのようなパンデミックを経験していなければ、おそらく全く違った見方をしていたでしょう。
讃井 日本は甘く見ている?
加藤 そうですね。ニューヨークから見るとそんな気がします。その背景には、やはり3月から4月の第一波でうまく抑え込めたことがあると思います。
讃井 抑え込めたといっても、実際の医療現場はぎりぎりでした(第2回参照)。
それでも結果的に医療崩壊にいたらなかったのは、医療アクセスの良さ、マスクをする習慣、日ごろからの衛生意識の高さ、さらに血栓のできにくさ(アジア人は欧米人より血が固まりにくいとされる。それが新型コロナ感染症の重症化をおさえている可能性がある)など、さまざまな因子が作用したと考えられます。
加藤 「3密」というわかりやすい標語も功を奏したと思います。アメリカでもそれを真似て、「Avoid the 3Cs(Closed spaces、Crowded places、Contact settingsの3密回避)」キャンペーンを始めました。 いずれにしろ日本が抑え込んだのは素晴らしいことです。
対してニューヨークは感染の封じ込めに失敗して感染爆発を起こしてしまいました。 その原因はいくつも考えられて・・・たとえば、マスクをする習慣がないこと。また、ニューヨークの人は東京と同じで電車で通勤するので満員電車もあります。
そして、ニューヨークはヨーロッパからの観光客が多いのですが、最初に武漢で発生したため、中国からの入国者ばかりをマークしていて、ヨーロッパからの人の流れに対してノーマークだったこと。
経済的格差も感染を広げた要因でしょう。事実として感染のエピセンターは経済的な貧困地区と重なっています。狭い家に大家族で住んでいるので家庭内感染が起こりますし、医療保険に加入していないため病院に行くのが遅れるといったことがあったわけです。そういった中、一気に火が燃え広がり消せなくなってしまいました。
ところがそのニューヨークが、経済活動再開後もいまの所は感染を抑え込んでいます。逆に日本はふたたび感染が拡大している。
ただ、日本の感染者は拡大したと言っても、ようやく収束したニューヨークの数と同じぐらいなのですが、意識の違いを生んだのは、新型コロナ感染症の怖さを身に染みて感じているか否かだと思うんです。
ご存じの通り、アメリカでもフロリダやテキサスでは感染が拡大しています。その原因ははっきりしていて、経済再開を急いでしまったからです。
ニューヨークが感染爆発を起こしていた頃、フロリダやテキサスでは感染者はあまり多くありませんでした。本当の意味での怖さを経験していなかったんですね。
それで、「ロックダウンもステイホームもやり過ぎだ!」「行政やマスコミが恐怖を煽ったせいで経済が滅茶苦茶になった。どうしてくれるんだ!」といった声が大きくなり、規制の基準をどんどん緩めていきました。その結果、感染が爆発しているんです。
まだまだ感染の規模は全然違いますが、いま日本で言われていることはちょっとフロリダやテキサスに似ていませんか?
讃井 たしかに、加藤先生の指摘は当たっているかもしれません。ただ、現在の感染拡大について現場の印象としては、第一波と明らかに異なるわけです。感染が拡大し、重症患者も増えているけれど、第一波に比べて重症患者の増え方はかなりゆっくりしています(第13回参照)。
★ポスター ヘップバーン
タグ:ニュース