2017年08月15日
空き家対策 政府が発表 しました
2017/8/15 2:00日本経済新聞 電子版
空き家解消へ市町村が転用仲介 国交省、税優遇も検討
2017/8/15 2:00日本経済新聞 電子版
国土交通省は人口減を背景に全国で増える空き家問題への対応で、市町村の役割を強化した新たな制度を導入する。市町村が空き家の情報を積極的に集め、土地や建物の売買のほか公園への転用などの仲介役まで担うようにする。所有者が分からない空き家が多い実情を踏まえ、市町村は個人や世帯の情報をつかみやすいとみて、行政主導で解消につなげる。買い手への税優遇も検討する。
来年の通常国会で、都市再生特別措置法の改正案を提出し、新制度を設ける。各市町村に、使われていない空き家や空き地の利用を促す対策案をつくるよう求める。
空き家は直近で約820万戸あり、日本の住居の14%に上る。賃貸用が429万戸と最多だが、最大の問題は所有者不明や破損などで活用が難しい空き家が272万戸に上ることだ。野村総合研究所は世帯数の減少に伴い、空き家の割合は2030年代に30%を超えると予測する。所有者が分からない空き家を特定する作業が急務になっている。
これまで市町村には空き家の情報を集める機能はあったが、所有者が不明な空き家は放置されたままだった。空き家が社会問題化している現状を踏まえ、新制度では各市町村に専用の組織を設けて人を配置し、行政の関与を強める。
市町村は空き家情報を一括して集め、そのうえで売りたい人と買いたい人を事実上、仲介。まちづくりの計画にも組み込みながら処理を加速する。空き家や空き地を統合して公園や集会所など地域のコミュニティースペースへの転換も促す。
例えばある地域に3戸の空き家が点在する場合、自治体が率先して空き家の所有者を調べ、1戸は子供部屋を増築したい隣の住民に売る、残り2戸は統合して公園に変えるというイメージだ。住民間で空き家と私道を等価交換し、駐車場を設けることも想定できる。
税制上の新たな対応も検討する。国交省は18年度の税制改正要望に、空き家の流通・取得に関わる税優遇、特に買い手側の恩恵が大きい措置を盛り込む。
地域の不動産市場で、空き家の売買が活発になるように、登録免許税と不動産取得税の軽減を検討する。2000万円の土地・建物であれば、流通に関する税は現状では約120万円かかる。買い手の負担を軽くすることで、空き家・空き地の流動性を高め、住民の売買意欲を少しでも引き出す狙いがある。
市町村であれば登記簿や税務当局から所有者を把握しやすく、住民からも空き家情報を広く集めることができる。市町村は「空き家バンク」として情報を公開しているものの、「空き家を売買したい人だけが利用しており、放置されている家屋の問題解消につながっていない」(国交省)。住民や所有者にとっての窓口機能を強化する必要があると見ている。
国交省は賃貸用などを除く空き家を25年度に400万戸程度に抑えたい考えで、一連の対策をとらない場合と比べ100万戸減らす目標を掲げる。
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