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2017年08月07日

外科手術時や交通事故の被害者など止血が必要な患者に使う 血小板の血液製剤 量産のメド


今朝の日経が報じた驚きの新技術

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2017/8/7 2:00日本経済新聞 電子版  

献血頼らず輸血、iPSから血小板量産 国内16社
2017/8/7 2:00日本経済新聞 電子版  

 製薬・化学関連の国内企業16社は体のあらゆる部分になることができる万能細胞「iPS細胞」を使い、血液の成分である血小板を量産する技術を世界で初めて確立した。これまでは献血に頼っていた。大学発ベンチャーのメガカリオン(京都市)の事業に大塚製薬グループやシスメックスなどが協力した。来年にも臨床試験(治験)を始め2020年の承認を目指す。

 今回量産のめどが付いたのは血小板の血液製剤。この血液製剤は外科手術時や交通事故の被害者など止血が必要な患者に使う。血小板の輸血は国内で年間80万人が受けており、国内市場規模は薬価ベースで約700億円。米国は国内の3倍以上の市場規模を持つ。

 血小板は現在は全て献血でまかなっているが、人口減などにより将来的に不足する懸念がある。iPS細胞で血小板が大量生産できるようになれば、献血に頼らず輸血ができるようになる。

 開発主体のメガカリオンによるとiPS細胞を使って血小板を製造するコストは献血を使うよりも大幅に安いという。冷蔵保存できず4日しか持たない献血由来の血小板に比べ、iPS細胞から作れば無菌化により2週間ほど保存できるため保管コストも安くなる。

 ウイルスなど病原体の混入も防げる。献血に混入したウイルスが薬害エイズ事件やC型肝炎の感染拡大などを引き起こしたが、iPS細胞で作ればこのリスクを回避できるようになる。

 メガカリオンは血小板をiPS細胞から製造する技術を持つ。臨床試験に必要な量産技術の研究を大塚製薬工場、日産化学工業、シスメックス、シミックホールディングス、佐竹化学機械工業、川澄化学工業、京都製作所など15社と進めていた。

 安全性などを調べる臨床試験用の製剤を製造し、18年中に試験を開始する。国が定める「再生医療等製品」に該当し、条件付き承認などの早期承認制度が活用できる見込み。実際の製造は生産設備を持つ企業に委託する予定だ。

 iPS細胞を使えば、これまでも研究室で1〜3人分の血小板は作れたが、数千人分を一度に量産するには細かな条件の設定や特殊な添加剤が必要になる。フィルターで異物を除去し、血液製剤を包装する工程などにもノウハウがある。これらの要素技術を各社が持ち寄り、実用化のめどを付けた。

 メガカリオンは東京大学医科学研究所の中内啓光教授、京都大学iPS細胞研究所の江藤浩之教授らが開発したiPS細胞関連技術を基にして11年に設立したベンチャー企業。iPS細胞による血液製剤の製造と安定供給を目指している。


 ▼血小板 血液に含まれる成分で血を固める働きがある。出血を伴う外科手術や大けがの治療の際に不足するため、輸血の最も重要な成分とされる。血小板の輸血が日欧米で年間500万回行われ4000億円の市場規模があるとされる。臓器などを他人のiPS細胞で作ると拒絶反応が起きるリスクがあるが血小板では各患者に応じたものをストックしておき拒絶反応を回避できる。


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タグ:血小板
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