2020年11月21日
NHK抜本改革進まず テレビ届け出義務化見送り
写真日経電子版 2020/11/20
NHK抜本改革進まず テレビ届け出義務化見送り
日経電子版 2020/11/20 20:49 (2020/11/21 5:05更新)総務省は20日、NHKの経営改革に向けた制度改正で、NHKが求めていたテレビ設置届け出の義務化は見送る方針を明らかにした。NHKは特殊法人として受信料に支えられ、法人税免除などの恩恵がある。インターネット配信などで民間並みに経営の自由度を高めようとしつつ、保護強化の要望を先行させる姿勢に視聴者の反発は大きいと判断した。
同日の有識者会議で制度改正の素案を示した。NHKは受信料徴収のコスト削減をめざし、テレビ設置届け出の義務化や未契約者の氏名を照会できる仕組みなどを求めていた。今回は「不適当」として制度化を見送る。
受信料の徴収率は8割を超えるものの、海外の公共放送に比べると低水準にとどまる。現状では戸別訪問などで費用がかさむのは事実だ。
コスト削減策としては未契約世帯への割増金の導入を検討する。テレビを持っているのに不当に契約を結ばない場合のペナルティーだ。ただ「対象者の特定が難しく経費減につながらない」との声がNHK内にある。
総務省は放送と通信の融合が進む下での公共放送のあり方について今春から議論を重ねてきた。今回、繰越剰余金の一部は受信料引き下げの原資として積み立てる案を示したが、全体に改正案は小粒にとどまった。
NHKは受信料体系の見直しなど抜本改革に及び腰だった。2021年度からの次期経営計画案は衛星放送やラジオのチャンネル数の削減を掲げたが、受信料水準は据え置くとした。
NHKはテレビ設置届け出の義務化などの要望を先行させた。日本民間放送連盟は「視聴者に新たな義務を課すことでテレビの購入を控える人が増える」と反対を表明。19年度末時点で1200億円超の剰余金がありながら視聴者への還元を後回しにする姿勢には秋の臨時国会でも「順序が違う」との声が上がった。
「携帯電話料金と一緒で、新型コロナウイルス禍において公共放送として受信料の低廉化を図ることは当然だ。NHK自身があるべき姿を国民に示していただきたい」。武田良太総務相は20日の記者会見で強調した。
テレビチューナーなしの大型モニターで米ネットフリックスなど月額1千円前後の動画配信サービスを視聴する若者は増えている。NHKの受信料は月額2千円を上回る。改革像を示せなければ視聴者は離れていく。
NHKも番組のネット同時配信サービスを今春から始めた。10日にはネット事業費の上限を年200億円とする案を総務省に申請し、そのまま認可を受ける見通しだ。ただ受信料を原資としたネット活用事業の肥大化は民業圧迫の懸念が強い。ネット時代の公共放送と民放の役割分担などの大きな論点も残っている。
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