甘草屋敷(かんぞうやしき)は、山梨県甲州市塩山上於曽(えんざんかみおぞ)にある江戸時代後期に建築された民家で、国の重要文化財に指定されている。重要文化財指定名称は旧高野家住宅。
概要
高野家はこの地で長百姓(おさびゃくしょう)を務めた家柄で、代々「伊兵衛」を名乗り、幕末には名主として苗字帯刀が許されていた。高野家は江戸幕府に納める甘草を栽培していたことから、甘草屋敷と呼ばれている。
高野家住宅の主屋は切妻屋根の前面上部に2段の突き上げ屋根を設けた甲州民家と呼ばれる、この地方特有の建築である。江戸時代後期の建築で、蔵などの付属建物や宅地も含め、重要文化財に指定されている。
建築
主屋は江戸時代後期(19世紀前半)の建築。切妻造、屋根裏部屋を含め3階建てで、桁行13間半(24.8メートル)、梁間6間(10.9メートル)。現状は銅板葺きとするが、1960年までは茅葺きであった。切妻の大屋根には2段の突き上げ屋根を設ける。建物内部は三層構造になっており、上層階は甘草の乾燥に用いられた。上層階を設け、採光と通風のための突き上げ屋根を設けた形は、かつてこの地方で盛んに行われていた養蚕に使用された建築形式を受け継いだものである。
主屋は南向きに建てられ、東側(向かって右)を土間。西側を床上部とする。土間の右側(建物の東端)には2室からなる「蔵座敷」がある。これは、もとは馬屋だった場所を居室に改め、隠居部屋としたものである。
床上部は下手(土間寄り)の表側に「いどこ」、奥側(北)に「居間」があり、「居間」の東には土間に張り出す形で「台所」を設ける。「台所」と土間の境に立つ大黒柱は2階の屋根裏まで達する長大なものである。
「いどこ」「居間」の上手(西)は、床高を一段高め、田の字形に4室を配する。室名は南東が「中座敷」、南西が「奥座敷」、北東が「納戸」、北西が「仏間」となっている。「仏間」は藩の役人などの来客があった場合、仏壇を隠して床の間に変更できるように工夫されている。仏間の奥(北)には、長六畳の茶室を設ける。ここはもとは箪笥置き場であった。
文化財
以下の物件が「旧高野家住宅」として重要文化財に指定されている。
主屋
巽蔵
馬屋
東門
文庫蔵
小屋
宅地 4932.07平方メートル(敷地内の井戸、池、石橋、石垣を含む)
附(つけたり)指定物件:地実棚、裏門、屋敷門
交通
JR塩山駅北口より徒歩1分
JR中央本線塩山駅北口の正面にあり、交通の便は至って便利である。
所在地 山梨県甲州市塩山上於曽1651-15
位置 北緯35度42分23.08秒 東経138度44分05.4秒
類型 民家
形式・構造 (主屋)木造、切妻造、甲州民家
敷地面積 4932.07m2
建築年 江戸時代後期
文化財 国の重要文化財
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