伊勢神宮(いせじんぐう)は、日本の三重県伊勢市にある神社。正式名称は地名(伊勢)を冠しない「神宮」(じんぐう)であり]、他の神宮と区別するために伊勢神宮と通称される。
「伊勢の神宮」、または親しみを込めて「お伊勢さん」「大神宮さん」[3]とも称される。古来、最高の特別格の宮とされ、現在は神社本庁の本宗(ほんそう。全ての神社の上に立つ神社)であり、「日本国民の総氏神」とされる。
律令国家体制における神祇体系のうちで最高位を占め、平安時代には二十二社の中の更に上七社の1社[注釈 2]となった。また、神階が授与されたことのない神社の一つ。古代においては宇佐神宮、中世においては石清水八幡宮と共に二所宗廟の一つとされた。明治時代から太平洋戦争前までの近代社格制度においては、全ての神社の上に位置する神社として社格の対象外とされた。
祭神
主祭神は以下の2柱。
皇大神宮:内宮(ないくう)
天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおみかみ) - 一般には天照大御神として知られる。
豊受大神宮:外宮(げくう)
豊受大御神(とようけのおおみかみ)
主祭神以外については、各宮の項目を参照のこと。
神宮125社
詳細は「神宮125社の一覧」を参照のこと。
神宮が管理する宮社は125社あり、俗に「神宮125社」と呼ばれる。内訳は内外両正宮に別宮14、摂社43、末社24、所管社42。伊勢市だけでなく、三重県内の度会郡大紀町、玉城町・度会町、志摩市、松阪市、鳥羽市、多気郡多気町の4市2郡に分布する。
正宮(しょうぐう) - 皇大神宮 (内宮)と豊受大神宮 (外宮)の2宮。
別宮(べつぐう) - 「正宮のわけみや」の意味で、神宮の社宮のうち正宮に次いで尊いとされる。
摂社(せっしゃ) - 『延喜式神名帳』に記載されている神社(正宮、別宮を除く)。定義では摂社は全て式内社となるが、戦国時代にほぼ全てが廃絶となり、江戸時代の寛永年間(1630年代)から明治初頭(1870年代)にかけて復興されたため、式内社の比定地とされる場合がある。
末社(まっしゃ) - 『延暦儀式帳』に記載されている神社(正宮、別宮、摂社を除く)。
所管社(しょかんしゃ) - 正宮・別宮・摂社・末社以外の神社。
祭事
総説
伊勢神宮の祭祀は、通例の場合別宮、摂社、末社、所管社を合わせて年間1500回に及ぶが、これらの祭祀は稲作の周期に合わせて巡行するものであり、秋の収穫の季節に行われる神嘗祭に向かって集約される仕組みとなっている。『日本書紀』によれば、稲は天照大御神が天孫瓊瓊杵尊を通じて民のために授けた穀物とされる(斎庭稲穂の神勅)。伊勢神宮では、米を単なる食料としてではなく、神と人とを結ぶお供え物として重んじ、米を中心に大御神の神恩に感謝する祈りを行なっている。
現在の伊勢神宮の祭式は、大正4年に神宮司庁により決議された「神宮祭式行事作法」が概ね踏襲されている。伊勢神宮の祭式作法は、通常の神社と異なる点が多々ある。例えば、通常の神社では玉串は根本を神前に向けて奉るが、伊勢神宮においては根本を自分側に向けて奉る。これは、元々伊勢神宮では太玉串を内玉垣南御門の柱頭に向けて奉っていたからで、案上に奉奠する現在でもその時の本義のままに玉串を奉っているのである。このため、通常の神社では拝礼行事の中に玉串拝礼が組み込まれているが、伊勢神宮では丁重な太玉串の行事の伝統を背景に、拝礼行事と玉串奉奠が別事で行われ、奉幣の儀と神御衣祭で太玉串が奉られる。
また、拝礼では再拝二拍手一拝ではなく、八度拝という特殊な作法が用いられる。これは、坐した状態から起ち、さらに伏しながら坐して拝する「起拝」という作法をまず四度行い、続いて拍手を八つ打ち、さらに一つ打って坐したまま一拝するという作法であり、これを二度繰り返す。ただし、これは祭典に奉仕する神職の作法であり、通常の参拝者が板垣や御垣内で拝礼を行う際にはあくまで通常の作法で行う。この他に、神宮祭祀と他神社の祭祀との相違点として、神宮には拝殿や幣殿が存在しないため祭儀は御垣内の庭上、すなわち屋外で行われること、献饌(神饌の献上)と献幣(幣帛の献上)が別々に行われること、大祭および中祭において御扉の開閉が行われない(三節祭のみで行われる)ことなどが挙げられる。
国宝
玉篇 巻第廿二
重要文化財(国指定)
紙本著色伊勢新名所絵歌合
神宮古神宝類(明細は後出)
太刀 銘吉信(附 糸巻太刀拵)
太刀 銘次家
太刀 銘俊忠(附 糸巻太刀拵)
刀 折返銘有国
毛抜形太刀
古事記上巻 1冊 応永三十三年春瑜書写奥書
古事記裏書 1冊 応永三十一年道祥書写奥書
古文尚書 13巻 自正和元年至正和三年清原長隆伝授奥書
神宮法楽和歌 16巻 霊元天皇以下歴代天皇宸翰
日本書紀私記 応永三十五年髪長吉叟書写奥書
日本書紀私見聞(道祥自筆本、応永三十三年抄出奥書)1冊・日本書紀私見聞(春瑜自筆本)2冊
皇太神宮儀式帳残巻・等由気太神宮儀式帳
度会氏系図(元徳元年十一月注進本)
天養記
神鳳鈔(附:神鳳鈔御巫本)
氏経卿神事記
氏経卿引付 7冊
金銅透彫金具 - 静岡県浜松市浜北区根堅出土
据台付子持はそう(「はそう」の漢字は左が「瓦」、右が「泉」)福岡市西区羽根戸出土
角屋家貿易関係資料(明細は後出)
渋川春海天文関係資料(明細は後出)
神宮祭主職舎本館(旧慶光院客殿)- 所在:伊勢市宇治浦田
出典:2000年までの国宝・重要文化財指定物件については『国宝・重要文化財大全 別巻』(毎日新聞社、2000年)の「所有者別総合目録」「名称総索引」「統計資料」による。
国の登録有形文化財
神宮徴古館
神宮農業館
国の選択無形民俗文化財
伊勢の「お木曳き」行事
伊勢の「白石持ち」行事
国の史跡
旧林崎文庫(伊勢市宇治今在家町所在)
おみくじ
伊勢神宮にはおみくじがない。神宮側の見解としては、おみくじは日頃から参拝できる身近な神社で引くものであることと、「一生に一度」とされたお伊勢参りをした日が大吉でないわけがないことを理由として挙げている。「伊勢神宮では個人的な吉凶を占うことがはばかられるから」という別の説もある。
おかげ横丁では、犬の置物とセットになった「おかげ犬」のおみくじや「おかげ干支みくじ」が売られているほか、第三銀行おかげ横丁出張所では利用明細票に運勢を表示するおみくじ機能付き現金自動預払機(ATM)を設置している。
所在地
内宮(皇大神宮):三重県伊勢市宇治館町1
外宮(豊受大神宮):三重県伊勢市豊川町279
交通
内宮まで
鉄道
最寄駅:近鉄鳥羽線 五十鈴川駅
徒歩:約30分
バス:約10分 - 宇治山田駅・伊勢市駅・外宮からの路線
近鉄山田線・鳥羽線 宇治山田駅
バス:約15分
JR東海参宮線・近鉄山田線 伊勢市駅
バス:約15分(路面電車型バス「神都バス」も運行される)
自家用車
伊勢自動車道 伊勢西ICから、三重県道32号伊勢磯部線(御木本道路)を南へ2分、のち「浦田」交差点から伊勢街道を南へ2分。
駐車場:宇治橋周辺の参拝者用駐車場を利用。
混雑時には自家用車は浦田町交差点から内宮方面へ進入禁止の規制が行われるため、宇治浦田町の伊勢市営駐車場や、近隣の三重県営総合競技場(五十鈴公園)に併設されている駐車場などを利用(有料)。
初詣の期間には大晦日深夜より正月三が日を含む数日間は、三重県営サンアリーナ駐車場とバス専用レーンを利用したパークアンドライドが行われている(2003年初詣期間以降)。またゴールデンウイーク期間中も同様にパークアンドライドが実施されている(2010年時点)。
外宮まで
鉄道
最寄駅:JR東海参宮線・近鉄山田線 伊勢市駅 (徒歩約5分)
近鉄山田線 ・鳥羽線 宇治山田駅(バス約6分)
バス
三重交通「外宮前」バス停下車 (下車後徒歩すぐ)
三重交通「伊勢市駅前」バス停下車 (下車後徒歩5分)
自家用車
伊勢自動車道 伊勢西ICから、三重県道32号伊勢磯部線(御木本道路)を北へ約5分
駐車場:北御門前に434台収容の無料駐車場あり。内宮同様正月の混雑時にはパークアンドライドが行われている。
補足事項
外宮から内宮へは、徒歩で約50分(バス運行あり)。
大鳥居より内には犬の同伴は不可である。内宮、外宮ともに大鳥居の横に位置する警備室で犬の預かりがある。
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