善光寺(ぜんこうじ)は、長野県長野市元善町にある無宗派の単立仏教寺院。住職は「大勧進貫主」と「大本願上人」の両名が務める。本尊は日本最古と伝わる一光三尊阿弥陀如来で、絶対秘仏である(開帳は前立本尊で行う)。本尊の善光寺如来は由緒ある像として権威の象徴とも見なされ、戦国時代には大名がこぞって自領(本拠地)に善光寺如来を遷座させ、各地を転々とした。豊臣秀吉は慶長伏見地震で損壊した方広寺大仏(京の大仏)に代わる新たな本尊として、善光寺如来を方広寺大仏殿に遷座させていたが、死の間際に如来を善光寺へ返還した。それ以降善光寺如来は、他所へ遷座させられることなく今日に至っている。
概要
山号は「定額山」(じょうがくさん)で、山内にある天台宗の「大勧進」と25院、浄土宗の「大本願」と14坊によって護持・運営されている。「大勧進」の住職は「貫主」(かんす)と呼ばれ、天台宗の名刹から推挙された僧侶が務めている。「大本願」は、大寺院としては珍しい尼寺である。住職は「善光寺上人」(しょうにん)と呼ばれ、門跡寺院ではないが代々公家出身者から住職を迎えている(浄土宗では大本山善光寺大本願の法主)。令和4年(2022年)6月時点の「善光寺貫主」(「大勧進貫主」)は前大勧進副住職の栢木寛照[4]、「善光寺上人」(「大本願上人」)は鷹司家出身の121世鷹司誓玉である。
古えより、「四門四額」(しもんしがく)と称して、東門を「定額山善光寺」、南門を「南命山無量寿寺」(なんみょうさんむりょうじゅじ)、北門を「北空山雲上寺」(ほくくうさんうんじょうじ)、西門を「不捨山浄土寺」(ふしゃさんじょうどじ)と称する。
特徴として、日本において仏教が諸宗派に分かれる以前からの寺院であることから、宗派の別なく宿願が可能な霊場と位置づけられている。また女人禁制があった旧来の仏教の中では稀な女性の救済[5]が挙げられる。
本堂
現在の本堂は宝永4年(1707年)竣工。設計は甲良宗賀(幕府大棟梁甲良氏3代)が担当した。本尊の阿弥陀三尊像(一光三尊阿弥陀如来像)を安置する。昭和28年(1953年)、国宝に指定された。二階建のように見えるが、建築形式的には一重裳階付(いちじゅうもこしつき)である。屋根は檜皮葺で、屋根形式は撞木造(しゅもくづくり)という特異なものである。これは入母屋造の屋根を丁字形に組み合わせたもので、堂の手前の部分は南北棟、奥の部分は東西棟になり、上方から見ると大棟の線が丁字状になっている。平面構成は正面5間、側面14間の身舎(もや)の周囲に幅1間の裳階を巡らした形になり、裳階部分を含めた平面規模は正面7間、側面16間となる(以上の説明文中の「間」は長さの単位ではなく柱間の数を表す)。間口24メートル、奥行54メートル、棟高26メートルで、一般的な日本の仏殿と比べて間口に比して奥行が長い。建物南正面の奥行1間分は壁や扉を設けない「吹き抜けの間」とし、その先の奥行4間分が外陣、その次の奥行5間分が内陣、建物のもっとも奥が内々陣となる。内々陣は西(向かって左)に秘仏本尊の阿弥陀三尊像を安置する瑠璃壇があり、その前に常燈明(不滅の法燈)がある。東(向かって右)は開山像を安置する「御三卿の間」である。「御三卿の間」には開山の本田善光と妻の弥生御前、子の善佐の像を安置する。この他、外陣に閻魔王像、内陣に地蔵菩薩像と弥勒菩薩像などを安置する。国宝の附(つけたり)指定となっている厨子は「御三卿の間」にあるもので、寄棟造、本瓦形板葺きとする。
文化財
国宝
本堂(附:厨子1基) -
重要文化財
三門(山門)
寛延3年(1750年)に完成した。平成19年(2007年)に修復工事がなされ、大正から昭和にかけての修理で檜皮葺きになっていた屋根が、創建当初の栩葺きに改められた。栩葺き(とちぶき)とはサワラの板材で屋根を葺く方式である。平成の修復を記念して、平成20年(2008年)4月24日から11月30日まで三門内部の特別公開が行なわれた。内部には、四国八十八箇所の各寺院の本尊の代像が安置されている。また、江戸時代から昭和に至るまでの参拝者による落書きが多数残されている。落書きのうち、江戸時代のものは2階に昇った正面にある「江戸 と組よね」や3階(仏間)の北西側の壁面にある嘉永年号のものなどである。
経蔵
金銅阿弥陀如来及両脇侍立像(前立本尊)
絹本著色阿弥陀聖衆来迎図 1幅(大本願所有)
善光寺造営図(大勧進所有)8幅[12]享禄4年(1531年)4月
源氏物語事書(大勧進所有)
登録有形文化財
鐘楼 - 嘉永6年(1853年)建、大正15年(1926年)改修
仁王門 - 大正7年(1918年)建、昭和52年(1977年)改修
交通
長野駅を出ると善光寺表参道(中央通り)という一本道が通っており、緩やかな坂道となっている。
長野駅(JR・しなの鉄道・長野電鉄)
善光寺口1番バス乗り場よりアルピコ交通の路線バス
「善光寺」方面行きに乗り、「善光寺大門」バス停下車。
長野電鉄長野線 善光寺下駅下車、徒歩約10分。
東京新宿を結ぶ高速バス長野線の一部便は「善光寺大門」バス停を発着する。
所在地 長野県長野市元善町491
2022年12月15日
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