2013年09月17日
赤い花 いつか どこかで
☆I can read in English this story
この話を書こうか、やめようかとずいぶん、迷った。
語ってはいけない。そんな気がして、人に話すこともしていないのに…。
でも反面、何かの形で 書き残しておきたいという気持ちもあって
幼馴染に電話し 書くことにする。
私と幼馴染は 他愛ないお喋りをしながら 神社へ遊びに
いつもの海へと続く坂道を歩いていた
その頃、すでに埋立てが始まっていて、坂をおりきると
高いコンクリートの堤防にぶつかり、道はそこで左右に分かれる。
堤防の右側には ものすごい数のカンナの咲く大きな家があり、
堤防手前の左側に 子供の足の膝元くらいの小さな草地があった。
はじめにそれをみつけたのは私だった
「チコちゃん、みて!赤い花!」
今までみたこともない大きな 真っ赤な花だった。それが草地にポツンと一本。
スッと立っていた。 咲いているというより、立っている。 そう、そんな感じだった。
私はチコちゃんと二人で駆けだし、花をめがけて草地にはいった。 ところが…
「あれぇ、ない。 おかしいなぁ」
「あっ あっちにあるよ!」 指さす方を見ると、そこに花がスッと立っている。
私達はまた走り出した。 ……が、
どういうものか、また見失ってしまった。
「ヘンだなー」
「あっ あそこ!」
再び夢中で走り出す。 今度は、 今度こそ!
しかし……
幾度 そんなことを繰り返しただろう。
そんなに広い空き地ではない。周りはざっと 視界にはいった。
なのに 確かに花に向かって全速力で駆けているのに。
気が付くと 全く違う方向にその花は立っているのだ。
今、思うと、子供心にも何か異質なものを感じたのに違いない。
…走る…焦る 。 出られないっ…!
道路に立つ自分の足が見えた。チコちゃんと顔をみあわせ次の瞬間。
どちらが先ともなく 坂道をかけあがり逃げ出したのだ。
あれはいったい何だったんだろう。
花にからかわれたような、追いかけっこをしたような あの時はいったい。
そしてあの花は……
誰にも言わず、二人だけの秘密にした。 少女の頃は そんな「ごっこ」をよくする。
けれど この話は 人にしてはいけないと思った。 これに関しては本気で。 理由なんかなく。
ずいぶん経って あの花の名前を知った。
その花のもつ云われも聞いて 背筋がひやりとした。
花の名前は「彼岸花」
亡くなった方の この世での仮の姿を現すといわれる花。
赤い花を見たのは 後にも先にもその時だけ。
その後 毎日、その道を通って神社に遊びに行ってたのに ただの一度もみていない。
創作ではない。脚色もしていない。そんな文才もないし しようがないのだ。
思い違いなら 書くのにこんなに悩まなかった。
子供の頃の他愛ない出来事。
でも決して忘れられない不思議な体験。
ただ何故か、いつかどこかで… こんな街中でさえ会えるような、
会いたいような、 そんな気がする。
あの赤い花に……。
幼馴染と二人。 夢をみたのだろうか……。
この話を書こうか、やめようかとずいぶん、迷った。
語ってはいけない。そんな気がして、人に話すこともしていないのに…。
でも反面、何かの形で 書き残しておきたいという気持ちもあって
幼馴染に電話し 書くことにする。
私と幼馴染は 他愛ないお喋りをしながら 神社へ遊びに
いつもの海へと続く坂道を歩いていた
その頃、すでに埋立てが始まっていて、坂をおりきると
高いコンクリートの堤防にぶつかり、道はそこで左右に分かれる。
堤防の右側には ものすごい数のカンナの咲く大きな家があり、
堤防手前の左側に 子供の足の膝元くらいの小さな草地があった。
はじめにそれをみつけたのは私だった
「チコちゃん、みて!赤い花!」
今までみたこともない大きな 真っ赤な花だった。それが草地にポツンと一本。
スッと立っていた。 咲いているというより、立っている。 そう、そんな感じだった。
私はチコちゃんと二人で駆けだし、花をめがけて草地にはいった。 ところが…
「あれぇ、ない。 おかしいなぁ」
「あっ あっちにあるよ!」 指さす方を見ると、そこに花がスッと立っている。
私達はまた走り出した。 ……が、
どういうものか、また見失ってしまった。
「ヘンだなー」
「あっ あそこ!」
再び夢中で走り出す。 今度は、 今度こそ!
しかし……
幾度 そんなことを繰り返しただろう。
そんなに広い空き地ではない。周りはざっと 視界にはいった。
なのに 確かに花に向かって全速力で駆けているのに。
気が付くと 全く違う方向にその花は立っているのだ。
今、思うと、子供心にも何か異質なものを感じたのに違いない。
…走る…焦る 。 出られないっ…!
道路に立つ自分の足が見えた。チコちゃんと顔をみあわせ次の瞬間。
どちらが先ともなく 坂道をかけあがり逃げ出したのだ。
あれはいったい何だったんだろう。
花にからかわれたような、追いかけっこをしたような あの時はいったい。
そしてあの花は……
誰にも言わず、二人だけの秘密にした。 少女の頃は そんな「ごっこ」をよくする。
けれど この話は 人にしてはいけないと思った。 これに関しては本気で。 理由なんかなく。
ずいぶん経って あの花の名前を知った。
その花のもつ云われも聞いて 背筋がひやりとした。
花の名前は「彼岸花」
亡くなった方の この世での仮の姿を現すといわれる花。
赤い花を見たのは 後にも先にもその時だけ。
その後 毎日、その道を通って神社に遊びに行ってたのに ただの一度もみていない。
創作ではない。脚色もしていない。そんな文才もないし しようがないのだ。
思い違いなら 書くのにこんなに悩まなかった。
子供の頃の他愛ない出来事。
でも決して忘れられない不思議な体験。
ただ何故か、いつかどこかで… こんな街中でさえ会えるような、
会いたいような、 そんな気がする。
あの赤い花に……。
幼馴染と二人。 夢をみたのだろうか……。
☆I can read in English this story
この話を書こうか、やめようかとずいぶん、迷った。
語ってはいけない。そんな気がして、人に話すこともしていないのに…。
でも反面、何かの形で 書き残しておきたいという気持ちもあって
幼馴染に電話し 書くことにする。
私と幼馴染は 他愛ないお喋りをしながら 神社へ遊びに
いつもの海へと続く坂道を歩いていた
その頃、すでに埋立てが始まっていて、坂をおりきると
高いコンクリートの堤防にぶつかり、道はそこで左右に分かれる。
堤防の右側には ものすごい数のカンナの咲く大きな家があり、
堤防手前の左側に 子供の足の膝元くらいの小さな草地があった。
はじめにそれをみつけたのは私だった
「チコちゃん、みて!赤い花!」
今までみたこともない大きな 真っ赤な花だった。それが草地にポツンと一本。
スッと立っていた。 咲いているというより、立っている。 そう、そんな感じだった。
私はチコちゃんと二人で駆けだし、花をめがけて草地にはいった。 ところが…
「あれぇ、ない。 おかしいなぁ」
「あっ あっちにあるよ!」 指さす方を見ると、そこに花がスッと立っている。
私達はまた走り出した。 ……が、
どういうものか、また見失ってしまった。
「ヘンだなー」
「あっ あそこ!」
再び夢中で走り出す。 今度は、 今度こそ!
しかし……
幾度 そんなことを繰り返しただろう。
そんなに広い空き地ではない。周りはざっと 視界にはいった。
なのに 確かに花に向かって全速力で駆けているのに。
気が付くと 全く違う方向にその花は立っているのだ。
今、思うと、子供心にも何か異質なものを感じたに違いない。
…走る…焦る 。 出られないっ…!
立ってる自分の足が見えた、道路だ…。 チコちゃんと顔を見合わせ次の瞬間
どちらが先ともなく 坂道を上へと向かって ふりむきもせず逃げ出したのだ。
あれはいったい何だったんだろう。
花にからかわれたような、追いかけっこをしたような あの時はいったい。
そしてあの花は……
誰にも言わず、二人だけの秘密にした。 少女の頃は そんな「ごっこ」をよくする。
けれど この話は 人にしてはいけないと思った。 これに関しては本気で。 理由なんかなく。
ずいぶん経って あの花の名前を知った。
その花のもつ云われも聞いて 背筋がひやりとした。
花の名前は「彼岸花」
亡くなった方の この世での仮の姿を現すといわれる花。
赤い花を見たのは 後にも先にもその時だけ。後で見に行ったけれどなかった。
その後 毎日、その道を通って神社に遊びに行ってたのに ただの一度もみていない。
創作ではない。脚色もしていない。そんな文才もないし しようがないのだ。
思い違いなら 書くのにこんなに悩まなかった。
子供の頃の他愛ない出来事。
でも決して忘れられない不思議な体験。
ただ何故か、いつかどこかで… こんな街中でさえ会えるような、
会いたいような、 そんな気がする。
あの赤い花に……。
幼馴染と二人。 夢をみたのだろうか……。
この話を書こうか、やめようかとずいぶん、迷った。
語ってはいけない。そんな気がして、人に話すこともしていないのに…。
でも反面、何かの形で 書き残しておきたいという気持ちもあって
幼馴染に電話し 書くことにする。
私と幼馴染は 他愛ないお喋りをしながら 神社へ遊びに
いつもの海へと続く坂道を歩いていた
その頃、すでに埋立てが始まっていて、坂をおりきると
高いコンクリートの堤防にぶつかり、道はそこで左右に分かれる。
堤防の右側には ものすごい数のカンナの咲く大きな家があり、
堤防手前の左側に 子供の足の膝元くらいの小さな草地があった。
はじめにそれをみつけたのは私だった
「チコちゃん、みて!赤い花!」
今までみたこともない大きな 真っ赤な花だった。それが草地にポツンと一本。
スッと立っていた。 咲いているというより、立っている。 そう、そんな感じだった。
私はチコちゃんと二人で駆けだし、花をめがけて草地にはいった。 ところが…
「あれぇ、ない。 おかしいなぁ」
「あっ あっちにあるよ!」 指さす方を見ると、そこに花がスッと立っている。
私達はまた走り出した。 ……が、
どういうものか、また見失ってしまった。
「ヘンだなー」
「あっ あそこ!」
再び夢中で走り出す。 今度は、 今度こそ!
しかし……
幾度 そんなことを繰り返しただろう。
そんなに広い空き地ではない。周りはざっと 視界にはいった。
なのに 確かに花に向かって全速力で駆けているのに。
気が付くと 全く違う方向にその花は立っているのだ。
今、思うと、子供心にも何か異質なものを感じたに違いない。
…走る…焦る 。 出られないっ…!
立ってる自分の足が見えた、道路だ…。 チコちゃんと顔を見合わせ次の瞬間
どちらが先ともなく 坂道を上へと向かって ふりむきもせず逃げ出したのだ。
あれはいったい何だったんだろう。
花にからかわれたような、追いかけっこをしたような あの時はいったい。
そしてあの花は……
誰にも言わず、二人だけの秘密にした。 少女の頃は そんな「ごっこ」をよくする。
けれど この話は 人にしてはいけないと思った。 これに関しては本気で。 理由なんかなく。
ずいぶん経って あの花の名前を知った。
その花のもつ云われも聞いて 背筋がひやりとした。
花の名前は「彼岸花」
亡くなった方の この世での仮の姿を現すといわれる花。
赤い花を見たのは 後にも先にもその時だけ。後で見に行ったけれどなかった。
その後 毎日、その道を通って神社に遊びに行ってたのに ただの一度もみていない。
創作ではない。脚色もしていない。そんな文才もないし しようがないのだ。
思い違いなら 書くのにこんなに悩まなかった。
子供の頃の他愛ない出来事。
でも決して忘れられない不思議な体験。
ただ何故か、いつかどこかで… こんな街中でさえ会えるような、
会いたいような、 そんな気がする。
あの赤い花に……。
幼馴染と二人。 夢をみたのだろうか……。