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2017年04月21日

アガサ・クリスティから (130) (ミス・マープルと十三の謎*血に染まった敷石【14】)








(ミス・マープルと十三の謎*血に染まった敷石【14】)






「警察はね、・・・ああ、お話しするのも恐ろしいようだけど・・・デニス・デークルがひどいことをするんじゃないかと感づいていたのです。デニスというのは彼の本名ではなかったのです。・・・彼は折々に別の名前を名乗っていました。まず女の子達と知り合いになる。その女の子達はきまって、おとなしく目立たない、そして、系累や友人の少ない女の子です。そして結婚する。そして多額の保険金を掛ける。・・・ああ、怖いことですわ。知人の女性、キャロルと呼んでいた女が本当の妻だったのです。二人はいつも同じ筋書きで行動していました。」






ジョイスは話を続けた・・・。

そして本当のところ、彼らが同じ筋書きを繰り返していたことが、ふたりの運のつきになったのだと。
保険会社がこれは臭いと感づいたのだった。







静かな海岸にまず新妻と一緒にやってくる・・・これは、その筋書きの手始めだったのだ。

そこへもう一人の女が現われ、三人は連れ立って海水浴に行く。


そこで新妻は殺され、もうひとりの女キャロルはその妻の服を着てボートに乗って、夫と一緒に帰る。
それから、キャロルということになっているその女のことを人に尋ねてから、どこでもいいから、その場を去る。

村のはずれまで来ると、キャロルは急いで自分の派手な服を着かえ、けばけばしい化粧をしてから、またその場に戻ってくる。

そして自分の車で消え去ってしまう。

ふたりは潮がどっちに流れるかを調べていた・・・そして新妻の溺死が、その海岸沿いの隣の海水浴場で起こったように見せかけていた。

キャロルは次に大人しく目立たないやぼったい妻になりすまし、どこか人気の少ない浜辺に下りていき、妻の服を岩の側に脱ぎ捨てる。
それからあの花模様の派手な更紗の服に着替えて姿を消す。

次に夫が彼女と落ち合える時まで静かにどこかに身をひそめた・・・。






(次号に続く)




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