2017年03月24日
アガサ・クリスティから (113) (ミス・マープルと十三の謎*金塊【16】)
(ミス・マープルと十三の謎*金塊【16】)
「しかし、われわれは十分な確証もなしに事実をうのみにしているようだね。」
「病院の看護婦の証言を信じる前に彼女が本当のことを言っているのかどうかよく調べなくっちゃね。そんな即座にあげられたアリバイなんて、かえって我々には疑わしく思われますな。」
「ところがもうひとつ女流画家の証言もあるんです。」
とレイモンドは言った。
彼女は痛みのためにほとんど夜中、目を覚ましていた。
もしトラックが出ていけば、普通の音ではないし、嵐の後の静かな夜だったので、聞き逃すはずはないと断言した・・・。
「うむ。」と、牧師が口を開いた・・・。
「確かに新しい事実ですな、ところでケルヴィンは自分のアリバイをはっきりさせていますか?」
レイモンドは説明した・・・ケルヴィンは、家にいて10時から以降は寝床に入っていたと証言した。ただその件についての証人はいなかった。
「看護婦もうたた寝してしまったし、病人もきっと、そうなのよ。だいたい病気の人は、自分じゃあ一晩中まんじりともしなかったなんて思うものなのよ。」
レイモンド・ウェストはペンダー博士をうながすように見やった。
「私にはそのケルヴィンという男が気の毒だと思われるんですがね。犬を殺そうと思ったら、まず狂犬呼ばわりせよ(悪評はなかなか抜けないの意味)ということわざの良い例のように思われますな。ケルヴィンは刑務所にいましたが、たしかにタイヤの跡の一致はさておき、彼に不利なこともとりたててないようです。ただ彼の不幸な前科が悪いだけで。」
「あなたのご意見は?ヘンリー卿。」
元ロンドン警視庁・警視総監であったヘンリー卿は首を振り、「あいにく。」と笑いながら言った。
彼に言わせると、この事件について立場上、知り得ることがあったのだと言う・・・ゆえに皆の推理が終わるまで、しゃべるのを控えるべきだと思ったらしい。
イギリス紳士のフェア・プレイ精神とでもいうべきなのだろう。
「では、さあ、ジェーン伯母さん、何かおっしゃることがあるでしょうね?」
「ちょっと待って。糸目を数え間違えたらしいわ。二目裏編み、三目表編み、すべらし目がひとつと、二目裏編み・・・そう、これでよろしいと。なんですって?レイモンドや。」
(次号に続く)

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