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2017年03月21日

アガサ・クリスティから (110) (ミス・マープルと十三の謎*金塊【13】)







(ミス・マープルと十三の謎*金塊【13】)






嵐がすぎて、すっかり晴れたので、彼は11時ごろ散歩に出かけたらしい。

彼は絶壁伝いにしばらく歩いていき、通称『密漁船の入り江』といわれていうところまで来た。
たくさんの洞穴があり、そこからこの通称がついたらしい。







ふと気づくと、数人の男たちがボートから何か荷を降ろしていた。






何をやっているのかといぶかって、ニューマンはぶらりと降りていった。
なんだかわからないが、相当重いものらしく、一番遠い洞穴に運ばれて行くようだった。






何かがおかしい・・・。とニューマンは気づかれないまま、すぐ近くまで来てしまった。







突然、誰か来たぞ!と叫び声がし、・・・二人のたくましい水夫が襲いかかって来た・・・ニューマンはそのまま気を失った・・・。






気が付いた時には車に乗せられて、ゴトゴトと揺られながら、海岸から村に行く小道を登っていた。






そして驚いたことにニューマンの家の門を入って行った。







彼らはひそひそささやきながら、彼を引きずりおろして、邸内にあるなかなか見つからないような深い溝に彼を投げ込んだらしい。






そして、また4分の1マイルほど村の方に寄った別の門から、ニューマンを放り投げたトラックは出て行ったようだった。






何者かは全く分からぬままだったが・・・確かに水夫に違いなく、またこの土地のコーンウォール訛りがあったという。






バッジウォース警部は大変、興味をそそられたようだった。

「きっとそれは例のものが隠されていた場所なんですよ。」と叫んだ。






「どうやって引き上げたのか・・・とにかく難破船から出して、どこか人目のつかない洞穴の中に隠しておいたんですね、我々が『密輸船の入り江』の洞穴を全部捜査して、これからもっと手を広げようとしているのを知った。それで夜になってから金塊を運び出したんだ・・・既に捜査の済んだ洞穴のどれかに移そうとしたわけだ。一度調べたところはなかなか二度とは調べませんからね。あいにく奴らは金塊を始末するのに今まで少なくとも18時間あった訳だし。ニューマンがつかまったのが昨夜なら、今でも何かそこで発見できるとは考えられませんがね。」






それでも警部は急いで調べに出かけた。





想像通りに金塊が隠されていたという歴然とした証拠はつかめたが、その金塊がまた移された後のどこか新しい隠し場所を見つける手掛かりは皆無であった。






(次号に続く)




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