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2017年03月15日

アガサ・クリスティから (104) (ミス・マープルと十三の謎*金塊F)







(ミス・マープルと十三の謎*金塊F)






「この海岸の住人は妙な連中たちでね。」
彼は考え込みながら言った。






「密輸と難破船略奪が親譲りで染み込んでいるんだな。船がこの海岸で沈むと、どうしても、自分たちのふところをこやす正当なもうけ口として考えてしまうようだ。」

そうして、彼はぜひ会わせたい人物がいると、ニューマンは言った。
その人物は面白い遺物だと言うことだった。






次の日、晴れてすがすがしい夜明け・・・レイモンドはポルぺランに連れていかれた。
そこで、ニューマンがやとっている潜水夫に引き合わされました。

無表情な、ごく無口な男・・・ああ、もしくは、いや、ばかりしか言わなかった。






彼は専門的な事柄をニューマンと少しやり取りしたあと、レイモンドも入れた3人で(三錨亭=スリー・アンカース)という酒場に席を移した。






ビールが入ると、無口な潜水夫の口がやや、ゆるんだ。

「ロンドンの探偵のおっさんがやって来た・・・去年の11月にここで沈んだあの船はおそろしくでっかい金塊をつんでいたっていうぜ。だがな、その船が初めて沈んだ船じゃあるめえし、それがまた終わりでもねえからな。」







「ヒヤ、ヒヤ、お前の言う通りだ、ビル・ヒギンス。」とスリー・アンカースの亭主があいづちを打った。






「おらあ、本気で思っているんだ、ケルヴィンさん。」とヒンギスが言う。






レイモンドは好奇な目でこの店の亭主を見た・・・髪の毛が黒く、日に焼け、肩幅が妙に広く、目は血走っている男・・・誰でもはっとするような風貌、また人の目を盗むような変にこそこそした様子があった。






この男こそが、ニューマンが面白い遺物だといった当本人ではないのだろうか?とレイモンドは思った。






お店の亭主・ケルヴィンはあらあらしく言った。

「この海岸をよそ者に荒らされるのは御免こうむりてえな。」







「警察のことかね?」
ニューマンは微笑みながら聞いた。







「おまわりと・・・それから他のやつもでさ。忘れねえでくだせえよ、旦那。」
ケルヴィンは意味ありげに言い放った・・・。






〜〜〜





「まるで脅迫されているみたいに聞こえたよ、ニューマン。」

屋敷の方へ丘を上っていくときにレイモンドは言った。







友人はレイモンドに考えすぎだと、笑い飛ばしたのだった。






(次号に続く)




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