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2017年03月13日

アガサ・クリスティから (103) (ミス・マープルと十三の謎*金塊E)







(ミス・マープルと十三の謎*金塊E)






・・・金塊はポケットの中に入るダイヤモンドの首飾りとは違うということ。
重くかさばり扱いにくいものである・・・すべてが不可能なことなんですよ。船が出航する前に奇術みたいにごまかされたということもあり得る。
しかしもしそうでないとすれば、この六カ月の間にどこかへ持っていかれたということになるわけでもある・・・この事件に横たわる不可思議さが、調査の引き金になったらしい。






ニューマンはレイモンドを駅まで迎えに来てくれた。
彼の車はトルロで修繕中らしく、代わりに彼の農場用トラックが待っていた。






レイモンドは彼の横に飛び乗ると、狭い漁村の道をくねくね曲がりながら、坂道を登って行った。



ポル・ハウスはとても魅力的なところだった・・・屋敷は絶壁のところに高くそびえ、大海原の見晴らしはすばらしかった。
建物の一郭は3~400年もたっている古いものと近代的な棟がつぎたされ、屋敷の後ろには広大な畑が広がっていた。






「よく来てくれたね、このポル・ハウスに。」とニューマンは歓迎してくれた。
玄関には、金色のガリオン船の精巧な模型が飾られてあった。






最初の晩は、とても面白く役に立つものだった。
ニューマンはジュアン・ファーナンディズ号に関する写本を見せてくれた。
水路図を風呂げて、点線でいろいろな位置を示したりもした。

潜水装置の設計についても話してくれたが、これについては、レイモンドにとっては、どうも煙に巻かれたような、分からないものだった。







レイモンドがバッジウォース警部に会ったことを話すと、彼は大変、気を惹かれた様子だった。





「この海岸の住人は妙な連中たちでね。」
彼は考え込みながら言った。






「密輸と難破船略奪が親譲りで染み込んでいるんだな。船がこの海岸で沈むと、どうしても、自分たちのふところをこやす正当なもうけ口として考えてしまうようだ。」

そうして、彼はぜひ会わせたい人物がいると、ニューマンは言った。
その人物は面白い遺物だと言うことだった。










(次号に続く)




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