2016年09月04日
アガサ・クリスティから (64) (作者アガサ・クリスティ自身のミステリー*失跡事件その8)
(作者アガサ・クリスティ自身のミステリー*失跡事件その8)
世間を騒がせていたアガサ・クリスティの失踪事件は、11日間で幕を閉じた。
アガサ・クリスティが別人の名前(テレサ・ニールという夫の愛人の姓を名乗っていた。)を使用し、滞在していたホテルで発見されるまでの間、センセーショナルな報道により、彼女および家族のプライベートな部分も流出していた。
最愛の母の死。夫の浮気・・・・・そして現在、離婚協議中であることも・・・・・。
もちろん、世間は夫に疑惑の目を向けたのだった。
アガサがいなくなると、一番得をするのは夫であるアーチボルト・クリスティ大佐であった。
愛人と一緒になるために邪魔になるアガサを亡き者にしようとしたのではないか?という悪意ある憶測も乱れ飛んだ。
そんな状態に夫は、完璧なアリバイを提示したうえで、【アガサの失踪に関して有力な情報を提供してくれた方には500ポンド(当時のレートから換算すると現在の約200万円)の謝礼を払います。】と新聞広告を載せたのである。
街には懸賞金目当てで、謎を探す人たちが集まっていた。
一説によると、一攫千金=懸賞金目当ての人達は、約15,000人程も集まったとのこと。
また有名な推理小説作家コナン・ドイル(あのシャーロック・ホームズの産みの親)などにも捜査を協力していたほどであった。
当時、オカルトに凝っていたコナン・ドイルは、霊媒師の元にアガサが使用していた手袋を手渡し、謎を解明しようとしていたとも言われている。
大騒動の末にあっけない幕切れ・・・
しかし、当時も今も、真相に謎が残ったままである。
またアガサ・クリスティ自身、当時もその後も、亡くなるまで失踪事件について、詳細を言及しないままであった。
それゆえに、”謎”は謎のまま、解明されずに眠ったままになったのである。
真贋ないまぜになった、その混沌とした中で、彼女の謎の失踪事件について前述(アガサ・クリスティから(63) 作者アガサ・クリスティ自身のミステリー*失踪事件その7を参照。)したようにいくつかの仮説や憶測がたてられた。
代表的なものを当時の記録などを元にいくつか検証していきたいと思う。
@記憶喪失説
・・・・・確かに当時のアガサ・クリスティに係るストレスは、相当ひどいものであったに違いない。
◎推理小説家としては、有名な「アクロイド殺害事件」における前代未聞のトリック、それを支えたプロット、意外な真犯人などが、他の推理小説家やミステリーファンまでも巻き込んだ❝フェア❞か?❝アンフェア❞か?の大論争。
今までにない注目を浴びたのも事実ではあるが、一方で、今までに味わったことがない過度のストレスはあったに違いない。
◎最愛なる母との死別。
この件だけでも、最大ストレスがかかっている。
◎夫の浮気のみならず、離婚を要求されてもいた。
ストレスは最大限まで、彼女を深刻な悩みに追いやっていた・・・。
ひとつでもストレス指数はかなり高いものをいくつも抱え、彼女は限界に近く、不眠や食欲不振にさいなまれ、精神的にかなり危うい状態だったとされる・・・・・。
極度のストレスによる記憶喪失と、我を忘れるヒステリー状態が原因と言えなくもない。
草むらから見つかったアガサの車・・・自動車事故による強い脳震盪などが原因の記憶喪失もあげられていた。
実際、アガサが発見された後、引き取った夫は、精神科医の【記憶喪失】という診断書を提出している。
しかし、当時も今も世間はこの診断に納得せず、疑問を抱く者もいた。
〜〜記憶喪失とは符号しない事実〜〜
アガサは失踪当時、カーディガン・ニットのスカート・ベロアの帽子といった普段着で、数ポンドの現金しか持っていなかったはずだが・・・発見された時のアガサは高価な流行服で身を着飾り、300ポンドもの大金を所持していた。
失踪した日は12月3日(金曜日の夜)
翌日4日(土曜日)の朝8時過ぎには、サリー州郊外で、道路脇斜面を滑り落ちて、ライトがついたままの状態のアガサの車が草むらで発見された。
車にアガサ自身はおらず、スーツケースや彼女の免許証など、いくつかのものが残されていたのである。
それゆえに事件性がある失踪事件として、大規模な捜査も行われたのである。
しかしながら、失踪翌日(12月4日の午前3時〜8時までの間)に彼女は、夫アーチボルトの弟キャンベル宛てに手紙を出したことが、後に判明している。
キャンベルには、 アガサの行き先ハロゲート・ハイドロパシックホテルであることを示唆する文面があったとも言われている。
また失踪翌日4日朝、彼女はハロッズ百貨店にダイヤモンド指輪の修理を依頼して、7日にヨークシャーで受け取っているのだ。
失踪翌日4日といえば、アガサの車が自宅から離れた所の草むらで発見され、事件性がある失踪事件としてサリー州警察本部にも連絡が行き、翌5日からの大捜査に繋がった日でもある。
ハロゲート・ハイドロパシックホテルの給仕長が、アガサの失踪事件を新聞報道で知り、テレサ・ニールという滞在客が失踪した女流作家にそっくりであると警察に通報。
それを受けた警察は数日に渡り、ひそかに調査していた。
その時に判明したことが、2つあった。
ひとつは、夫の愛人の名前はナンシー・ニールであり、滞在客のテレサは、愛人の姓ニールを名乗っていた。
もうひとつは、【最近、アフリカから戻ったテレサ・ニールの所在を知っている方はご一報を。EC4タイムズ社私書箱R702】という奇妙な広告をタイムズ紙に掲載していることが分かったのであった。
(これについては、後述したいと思うが、彼女の作品「予告殺人」に新聞広告をアリバイ工作に使っていたことを彷彿させるような事柄でもある。もちろん、目的や動機は全く異なるのではあるが、新聞広告という手段は同じである。)
警察や新聞社、世間を巻き込んでの大捜査の間、本人であるアガサは高価な流行服に身を包んで、夫の愛人の姓を名乗って、ハロゲート・ハイドロパシックホテルに滞在し、他の滞在客とダンスや散歩を楽しみ、優雅に過ごしていたという。
また失踪翌日の居場所を示唆するような夫の弟への手紙投函と、ダイヤモンドリングの修理をハロッズ百貨店に依頼するなど、本当の記憶喪失者ならば腑に落ちない事柄が多い。
〜〜真相は藪の中である〜〜
その他の説
A計画説
B共犯との復讐説
C売名行為説
●風変わりなものでは、Dトリック実験説なるものもあった。
彼女の書いている作品の中に使用するトリックの実験を行っているのではないか?という推測であった。
また次号では、A計画説・以降の説を取り上げていく予定です。
(次号に続く)
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